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第十四劇『月中』

天満「………っ!……ここは?」


サリーオ「着いたよ。」


天満「じゃあここが?」


サリーオ「ああ、『月』だ。」


アイズ「こんな短時間で…。」


サイガ「ああっ!」


アイズ「どうした!」


サイガ「息は出来るんか?もしかしたら………あ……あかん…死ぬ…。」


天満「アハハ、大丈夫だよサイガ。」


シャウト「話せてるってことは、しっかり空気があるってことだろ?」


サイガ「え…そうなん?」


アイズ「…は…恥ずかしい…。」


サイガ「いやぁ、アハハ!スマンスマン!」


ゼロ「ところでサリーオさん、ユエさんの所へはどのようにして行くんですか?」


サリーオ「ああ、ここを出たら、『月の三爪』って場所がある。その先に、ユエの本拠地がある。まあ、研究所だな。」


ジウ「素直に行かせてくれればいいがな。奴のことだ、また何かを企ててやがるに違いないからな。」


サリーオ「ああ、心してかかるんだ。」



(天満達は『月の三爪』へ向かう)



天満「へぇ、『月』ってこんななんだ。そうだ…ディークが作った『月』なんだよな…。」


真雪「うん、凄く神秘的…。でも、何だか寂しい感じがするわ…。」


天満「…上は星一杯で凄く綺麗なんだけどなぁ。ここには、何も無いもんな…。」


サリーオ「…着いたよ。ここが『月の三爪』の入口だよ。」


アイズ「入口が三つあるぞ。」


サイガ「まさか一つだけ正解で、間違ったら永久に出られへん迷路に迷い込むとかちゃうやろな。」


真雪「嫌なこと言わないで下さいよ!」


サリーオの心「いや…ユエのことだ、おそらくは三つとも行くように……アタシ達がバラバラになるよう仕向けてるだろうね。そしてその先には…。」


シャウト「とりあえずどちらに行くか決める前に、ここに来たことがあるサリーオに聞いてみたらどうだ?」


天満「そうだね、サイガじゃないけど、俺達には迷ってる時間なんてないしね。」


真雪「うん!」


サリーオ「さて…。」


天満「サリーオさん、どこが正解なんですか?」


サリーオ「…。」


天満「サリーオさん?」


サリーオ「ん?ああ…この『月の三爪』はね、入る度に姿を変えるんだよ。」


アイズ「どういうことだ?」


サリーオ「正解の道なんて分からないさ。入る度に変わるんだからね。まあ、正解の道なんて、ユエしか分からないだろうね。」


ゼロ「なるほど、ということは、三つの道全てに行かなければならないというわけですか。ですが一つ一つ、全員で行ってる時間があるかどうか…。」


サリーオ「……天満。」


天満「はい?」


サリーオ「アンタが決めな。全員で行くか、それとも三方向に分かれて行くか…。」


天満「俺が!でも…。」


真雪「いいじゃない天くん!決めて!」


天満「…いいのか、みんな?」


アイズ「ネオスの城に攻める時もお前が決めたんだ。僕はお前の判断に従う。」


サイガ「ワイもや!」


シャウト「うむ。」


ゼロ「任せましたよ。」


にゅう「天満はリーダーにゅ〜!」


ジウ「ふ…。」


天満「みんな…分かった。それじゃ……三方向に分かれよう!俺達には時間が無いしな!それに…たとえバラバラになっても、俺は皆を信じてるから!」


アイズ「天満。」


真雪「うん!」


天満「それじゃ、アイズとサイガとサリーオさんは左の道、シャウトとゼロは右の道、俺と真雪とにゅうとジウさんは真ん中に!」


ジウ「成程な。」


ゼロ「『フォンス』を覚醒させ、『エリア』を使いこなせる者をそれぞれに分けた。」


アイズ「よし!」


サイガ「行くで!」


サリーオ「待ってなよ、ユエ!」


にゅう「気合いにゅ〜!」


真雪「天くん!」


天満「ああ!じゃあ皆、気を付けて!ユエの所で会おう!」


皆「おうっ!」



(アイズ達)



アイズ「ところでサリーオ、アンタはユエと戦うのか?」


サリーオ「…。」


アイズ「アンタがユエと戦う理由なんて無いんじゃないのか?」


サイガ「サリーオ…。」


サリーオ「…戦う理由ならあるさ。」


アイズ「…。」


サリーオ「アンタ達が気に入った。それじゃ、ダメかい?」


アイズ「…いいのか?そんな理由で…。」


サリーオ「ふふ、それにユエには借りがあるからね。それを返さなきゃ、アタシの気がすまないよ。」


アイズ「覚悟はあるんだな?」


サリーオ「何だい?生意気だね。アタシより遥かに年下のガキのくせに。」


アイズ「む…。」


サイガ「アハハ!まあ、ホンマにまだまだガキやからな、アイズは!」


アイズ「年齢なんか関係ないだろ!大体年齢なんてのは不確定なものだ!実際に評価されるべきは…!」


サイガ「は〜いはい、そやってムキになるとこがガキなんやで?」


アイズ「……知らん!」


サリーオ「…ふふ。」


サイガ「ん?どないしたん?」


サリーオ「いやいや、アンタ達は何の為に戦うのかと思ってな。」


サイガ「戦う理由か?せやな…。」


サリーオ「アイズは?」


アイズ「…昔は……仇を討つ為だった。」


サリーオ「仇?」


サイガ「アイズ…。」


アイズ「だけど今は……生きたいからさ。」


サイガ「…。」


アイズ「僕の体の為に必死で戦ってくれる奴がいる。そいつの想いに答えるためにも、そして…自分のためにも生きたいから戦うんだ。」


サイガ「へへ…。」


サリーオ「さっき言ったこと、取り消すよ。」


アイズ「え?」


サリーオ「アンタは生意気だが、ただのガキじゃないよ、大したガキだよ。」


アイズ「な、結局ガキじゃないか!」


サリーオ「ハハ!そうだったね!」


サイガの心「せや…アイズはホンマに大した奴なんや……。」


サリーオ「そういや、サイガはどうなんだい?」


サイガ「ワイか?ワイは…。」


アイズ「…。」


サイガ「…死なせたない奴がおるからや…。」


サリーオ「なるほどね…。ふ…ますます気に入ったよ!さあ、もうすぐで着くはずだ!」


アイズ「…ん?……ここがそうか?行き止まりだぞ?」


サイガ「ハズレっちゅうことかいな。」


サリーオ「いや…どの道もハズレじゃないさ。」


アイズ「一体どういうこと…。」


?「パンパカパーン!三名様ご到着〜!」


サイガ「何や?」


サリーオ「この声は…。」


?「ああ!サリちゃんじゃん!やっほー、サリちゃん!元気してたぁ!」


サリーオ「…はあ。」


アイズ「知ってるのか、サリーオ?」


サリーオ「また煩い奴に出迎えられたもんだねぇ。…アタシにとってはハズレだねこりゃ…。」


?「アレアレ?む〜聞こえてないのかなぁ…よし!」


アイズ「何!消えた!」


サイガ「後ろや!」


?「お久しぶりぶりだね、サリちゃん!」


サリーオ「アンタも相変わらずのようだね、『リアリィ』?」


リアリィ「まっかせてよぉ!元気元気のリアリィちゃんだよ!」


アイズ「あの一瞬で僕の後ろにいたサリーオの目の前に…。」


サイガ「サリーオの後ろにいたワイでも、見えへんかったで…。」


リアリィ「ほぇ〜。」


アイズ「な、何だ!」


アイズの心「また一瞬で僕の目の前に…。」


リアリィ「キレイな顔してるんだね!ちょっとタイプかも!」


アイズ「は?」


リアリィ「何歳?」


アイズ「答える義務はない!」


サイガ「十五歳やで。」


アイズ「答えるなっ!」


リアリィ「そっか…リアリィより五個も年下なんだぁ。」


アイズ「はあ?」


サイガ「ちゅうことは…二十歳!」


アイズ「嘘だ!」


サイガの心「あの姿で二十歳……どう見たって十歳くらいやで…。」


リアリィ「こう見えてもリアリィは大人なんだよぉ!胸だって少しはおっきくなったし!サリちゃんのメロンには負けるけどね。でもね、リアリィだっていつかはムチムチプリンになる日が来るはずなんだよね!そのために毎日毎日、女を磨いて努力してるんだよぉ!キャハ!」


アイズ「一体何なんだコイツ…。」


サイガ「よう喋るやっちゃな…。」


サリーオ「はあ…やっぱハズレだわ…。」


リアリィ「ところでサリちゃん!」


サリーオ「ん?」


リアリィ「何しに来たの?」


サリーオ「……ユエに会いに来た。」


リアリィ「ふぅ〜ん…何で?」


サリーオ「奴のしてることを止めるためだよ!」


リアリィ「…そっか……じゃあ……敵ってことだね!」


アイズ「ぐっ!何だコイツいきなり!雰囲気が変わったぞ!」


サイガ「空気が痛い!」


サリーオ「当たり前だよ。」


アイズ「え?」


サリーオ「リアリィは『叢雲』の一人なんだ。最高レベルの『エリア使い』さ。」


サイガ「せやったな…戦闘モードはケタがちゃうってことやな!」


リアリィ「サリちゃんには悪いけど、ユエの邪魔はさせないよ。」


サリーオ「来るよ!」


リアリィ「『叢雲』が一人、『木』のリアリィ、行っくよぉ!」



(その頃『オルテナ』では)



?「今の『光』は何だったんだろ?『月』に向かって伸びていったけど…。はあ…これからどうすればいいんだ?先生達は石になっちゃうし、変な所には来るし…。何であんなことに……『おじさん』…。」



(皆が石化になる前、『地球』では)



?「『北川先生』、この本はどこに運ぶんですか?」


北川「その本は園長室にお願いするわ。」


?「おじ…いや、園長室ですね。」


北川「お願いね。」


?「はい。……失礼します。あ、『おじさん』!」


おじさん「ん?何だ『聖地セイジ』か、どうした?」


聖地「この本、届けて欲しいって北川先生が。」


おじさん「おお、そうか。ありがとう聖地。」


聖地「何の本なんですか?……『記憶と体』…『脳の役割』……これって…。」


おじさん「…勝手なことをしてすまないな。」


聖地「勝手なことなんて!」


おじさん「まだ記憶が戻らないんだろう?」


聖地「…はい。」


おじさん「私はな聖地…記憶というのは素晴らしいものだと思っておる。言い換えれば思い出だからな。私は思い出が人をつくり、人が思い出をつくると思っておる。だが今のお前はそれを忘れている。自分をつくりあげてきたものを覚えていないのはな、苦しいものだ…悲しいものだ。」


聖地「おじさん…。」


おじさん「だから私は取り戻させてやりたい。聖地という人間をつくった、素晴らしいものをな。」


聖地「……おじさんには、いつも感謝しています。一年前…僕を引き取って頂いた時からずっとです…。何も覚えていない僕に…この『ひいらぎ幼稚園』の前で倒れていた僕に…優しく微笑んで、抱きしめてくれました。とても嬉しかった…。」


おじさん「聖地…。」


聖地「確かに記憶が無いのは寂しいです。でも、僕にはおじさんや先生達、ここに通ってる子供達がいてくれます。それが今の僕の…全てです!」


おじさん「聖地…。」


聖地「だから、これからもよろしくお願いします!」


おじさん「…何を言う…当然だ。お前はもう、私の家族なんだからな。」


聖地「おじさん…。」


おじさん「……ん?外が騒がしいな。」


聖地「そうですね…。僕ちょっと見てきます!…………何だ?暗い……太陽が欠けていく!」


北川「きゃぁぁぁっ!」


聖地「北川先生っ!はっ!子供達が!」


子供達「お母さ〜ん!うわ〜ん!」


聖地「何だ…みんなっ!」


子供「聖…地…お兄…ちゃ……ん…。」


北川「聖地…く…ん…。」


聖地「北川先生っ!みんなっ!何だよこれ……みんなが石に……おじさんっ!……はあはあはあ…おじさんっ!」


おじさん「聖地…逃げ……。」


聖地「何なんだよ………何なんだよぉぉぉーーーーっ!」



次回に続く



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