第一劇『裏月』
『天と地』第一部の続編です。第二部で全ての謎が解明します。第一部では語られなかった登場人物達の真実、運命が明らかになっていきます。どうぞ、『天と地』の完結編をお楽しみ下さい。
天満の語り「あの『オルテナ』での出来事から一年が過ぎた。学校も元通りになり、そして何事もなく月日が流れた。だけど、俺は知らなかった。新たな戦いの足音が、すぐ近くまで来ているということに…。」
天満「じゃあ母さん、行ってくるね。」
母「気を付けて行ってらっしゃい。」
天満「うん、行ってきます!」
母「…早いものね。あれからもう一年経つのね。でもここ最近…妙な胸騒ぎがするわ…。何事もなければいいのだけれど…。」
天満「…あ、真雪!」
真雪「天くん!おはよう!」
天満「おはよう。」
真雪「テスト勉強やった?」
天満「まあ…一応ね…。」
真雪「今日は英語と数学と化学!天くんの苦手な科目勢揃いだね!」
天満「言うなって〜!どうせ真雪みたいに全科目得意じゃないよ!」
真雪「私は勉強するのが好きなだけだよ。」
天満「はぁ…剣斗や琴花も徹夜して、顔がスゲエことになってんじゃないかなぁ。」
真雪「アハハ!そうかも!あ、二人だよ!琴花ーーー!」
琴花「…ん?ああ…おはよ……。」
天満「やっぱり徹夜したみたいだな!てことは剣斗もか?」
琴花「いや…コイツは…。」
剣斗「おーっす!さあ、今日も張り切って行きましょう!」
天満「あれ?元気だな…異様に……まさか…。剣斗…テスト勉強…したか?」
剣斗「してないっ!」
天満「はは…やっぱり。」
真雪「ちょっと剣ちゃんいいの?」
剣斗「とりあえず何とかなるだろ!アハハ!」
琴花「開き直れるアンタが羨ましいよ…。」
天満「アハハ!じゃあ行こう。」
(テストが終わる)
真雪「天くん、どうだった?」
天満「はは……聞くな…。」
真雪「琴花は?」
琴花「はは……燃え尽きたさ…真っ白に…。」
真雪「はは…剣ちゃんは…大丈夫か。」
剣斗「ナッハハハハハ!テストが何じゃい!俺達の価値はテストでは測れない!故に、俺達は!テストが駄目でしたぁーーー!」
生徒達「おーーーう!」
真雪「な、何か…新しい宗教が成立したみたい…。」
天満「そ、そうみたいだな…。ふぅ、さて帰るか真雪。」
真雪「そうだね、琴花も行こ!」
琴花「うん…。」
真雪「ほら元気出して!」
剣斗「我々は手にしているはずだ!テストでは測ることができないモノを!それは……愛だ!愛こそ全て!皆、愛があればテストなんて要らない!そうだろっ!」
生徒達「その通りだぁぁぁーーー!」
剣斗「よぉーし!これはクーデターだ!今から職員室に駆け込み…!」
琴花「恥ずかしいからもうやめろっ!」
剣斗「ぐはっ!」
生徒達「ああ…剣斗様が…。」
琴花「アンタらも、いつまでものるなっ!ほら行くよ剣斗っ!」
剣斗「皆……忘れるな…愛が……愛こそ…。」
琴花「まだ言うかっ!」
剣斗「皆……我死すも……信念死なず…。」
琴花「うるさいっ!さっさと行くよ!」
天満「はは…剣斗の奴、尻に敷かれてるね。」
真雪「琴花も苦労しそうだね。」
琴花「ちょっとぉ、何してんの!行くよ、二人とも!」
天満「行くか。」
真雪「そうね。」
(謎の集団)
?「ではそろそろ始める。皆、位置に着け。」
?「マジいよいよか!これで『天球』もマジ救われんだな!」
?「ん〜あれあれぇ?『ユナイマ』がいないけどぉ?」
ユナイマ「遅れてすみません…。」
?「テメエ、マジどこ行ってたんだよ!」
ユナイマ「『オルテナ』の様子を伺ってきたのですよ。」
?「時間ぐらいマジ守れよな!」
ユナイマ「ですから謝ってるじゃないですか。」
?「二人とも…いいかげんにしろ…さっさと…『エリア』を…広げろ…。」
?「マジ分かってるよ!」
ユナイマ「『レベル』は?」
?「『2つ』だ。」
ユナイマ「おや?それでよろしいんですか?」
?「まだ一段階だ。それでいい。」
ユナイマ「分かりました。」
?「よし、やるぞ。」
(天満は)
天満「ん?何か暗くない?」
真雪「本当だわ…どうしてだろ…?」
琴花「あ、太陽が欠けていってる!」
剣斗「『月食』だな!」
真雪「『日食』よ!」
剣斗「…。」
天満「でも、『日食』なんてテレビでも言って無かっ…!」
琴花「きゃぁぁぁっっ!」
剣斗「うわぁぁぁっっ!」
天満「琴花!剣斗!」
真雪「天くん、二人だけじゃないわ!」
生徒達「うわぁぁぁっっ!」
天満「皆が石になっていく!何でだよ!」
琴花「…真……雪…逃げ……。」
真雪「琴花ぁっ!」
剣斗「くっ……天…満……。」
天満「剣斗ぉっ!」
生徒達「………。」
天満「一体何で…?真雪、無事か?」
真雪「う、うん…でも…どうして私達は無事なの…?」
天満「…はっ!母さん!」
真雪「あ、天くん!」
(家に到着)
天満「母さん!あ……ああ…母…さん…。」
真雪「天くん!あっ!天くん……。」
天満「一体何なんだよ…。」
真雪「天くん…。」
天満「真雪…。」
?「天満!」
天満「えっ!この声は!」
真雪「『シャウト』さん!」
シャウト「真雪も無事だったのか!」
天満「シャウト!剣斗達が!」
シャウト「分かっている。こっちも石化する者達が多数いるんだ。」
天満「『オルテナ』もか!」
真雪「一体何が起こっているんですか?」
シャウト「詳しくは分からない。ただ…こっちに起こったことを説明したい。お前達に『オルテナ』に来てもらいたい。」
天満「『オルテナ』に?でもどうやって?」
シャウト「あの時の駄菓子屋があった所に来てくれ!」
天満「分かった!」
真雪「天くん!」
天満「真雪は残れ!」
真雪「え?」
天満「また『オルテナ』なんだ…真雪に危険があるかもしれない…。」
真雪「嫌よ!私も行く!」
天満「駄目だ!今度は絶対に!」
真雪「…一人にしないで…。」
天満「え?」
真雪「一人は嫌だよ…。」
天満「でも…。」
真雪「前の時は…足手まといにしかならなかった…。だから今度こそ…天くんの『力』になりたいの!」
天満「真雪…。」
真雪「お願い……天くんの側にいたいの。」
天満「…一つだけ約束してくれ。」
真雪「…何?」
天満「絶対いなくならないでくれ。」
真雪「天くん……うん。」
天満「…行こう。」
(駄菓子屋に到着)
天満「あった!……懐かしいな。」
シャウト「久しぶりだな、天満に真雪。」
真雪「本当にお久しぶりです。」
天満「シャウト…。」
シャウト「…積もる話もあるだろうが、来てくれ。お前達にとっては、懐かしき『オルテナ』にな。」
天満「でも剣斗達が!」
シャウト「それも説明する。とにかく来てくれ!」
天満「分かった!」
真雪「はい!」
シャウト「よし、行こう!」
(『オルテナ』に到着)
天満「暗い…ここも同じか…。」
?「天満ぁぁぁーーーっ!にゅーーっっ!」
天満「え?うわっ!……痛つつ……に…にゅう!」
にゅう「にゅ〜!会いたかったにゅ〜!天満ぁ〜!」
天満「無事だったのか、にゅう!良かったぁ!」
にゅう「天満も無事にゅ〜!良かったにゅ〜!にゅーーー!」
真雪「にゅう、久しぶりね。」
にゅう「ま、真雪……にゅーーー!真雪真雪真雪真雪にゅーーーっ!」
真雪「あは!元気だった?」
にゅう「元気にゅ〜!とても元気にゅ〜!」
天満「シャウト、他の人達は?ミラァやララァさんや、ソリッドさんやシンセーテンやジアスは?」
シャウト「……。」
天満「ま、まさか!皆…石化したのか?」
シャウト「ああ…全滅だ。」
二人「!」
天満「そ、そんな…。」
真雪「で、でも…どうして私達やシャウトさんは無事なんですか?」
にゅう「にゅうも無事にゅ〜!」
シャウト「それは私達が『資格者』だからだそうだ。」
天満「『資格者』?」
真雪「それって何ですか?」
シャウト「その説明は『ある奴』がしてくれる。私も詳しくは知らないんだ。少し聞いただけなんでな。」
天満「『ある奴』?」
シャウト「お前達もよく知っている人物だ。」
天満「誰…?」
?「僕ですよ!」
天満「え?ゼ…『ゼロ』!」
ゼロ「どうも〜お久しぶりですね、天満くんに真雪さん。一年ぶりくらいですか?」
シャウト「約束通り、説明してくれ。」
天満「約束?」
シャウト「ああ、ゼロが言ったんだ。天満が来たら全てを話すと。」
天満「……。」
ゼロ「そう、今回も天満くんに関係があることなんです。というより、ディークさんがらみと言った方が正確ですか。」
天満「どういうことだ?」
ゼロ「この出来事の全ての発端……それは『月』からの侵略者です。」
シャウト「何だと!」
天満「侵略者?」
真雪「な、何のためにですか?」
ゼロ「侵略者達は『月』のことを『天球』と呼んでいます。その『天球』を『地球』のような青く、生命溢れる星にするためです。」
天満「何だって!」
シャウト「………。」
真雪「その人達は、何をしているんですか?」
ゼロ「『地球』に住む者達から、生体エネルギーを取り、『地球』そのものからもエネルギーを吸収しているんです。そしてそのエネルギーを『天球』に注入しているんですよ。」
真雪「エネルギー…ですか?」
ゼロ「皆さんもご存知の『錬』ですよ。」
真雪「『錬』って、生命力…ですよね?」
ゼロ「…はい。」
天満「じゃあ…母さん達は…。」
ゼロ「大丈夫です。まだ間に合います。侵略者達がしていることを止め、再びエネルギーを『地球』に送り込めばね。」
真雪「でもディークさんが関係しているのは何故ですか?」
シャウト「…『月』というのはな、ディークの創造物なんだ。」
二人「!」
シャウト「そうか……侵略者は…『アイツ』なのだな?」
ゼロ「さすがはシャウトさんですねぇ。…その通りです。」
天満「知ってるのか、シャウト!」
シャウト「もう一人の…ディークだ。」
天満「どういうことだ?」
ゼロ「正確にはディークさんが生み出した自分の分身みたいなものですね。『月』を保護する役目として生み出したんです。」
真雪「一体どんな方なんですか?」
ゼロ「見た目はディークさんにそっくりな方ですよ。」
真雪「そういえば、さっき侵略者達って言いましたよね?達っていうことは一人だけじゃないんですか?」
ゼロ「ええ、彼が組織した者達がいるんです。『叢雲』と呼ばれる、六名からなる組織……創立者の名前は…『ユエ』…。」
天満「そいつが、もう一人のディーク…。」
シャウト「ああ、そうだ…私は会ったことは無いがな。だが『ユエ』はディークと違うところがあるんだ。」
真雪「違うところ…ですか?」
シャウト「ディークは『力を統べる者』で、奴は『知を統べる者』で、主に『錬』についての研究を………あ…そうか!」
ゼロ「気がつきましたか?」
天満「どうしたんだシャウト?」
シャウト「ネオスの封印を解いたのは……『ユエ』…だな…。まさか!奴は『エリア』を完成させたのか!」
ゼロ「その通りです。」
天満「『エリア』って何だ?それに封印を解いたって………ディークの分身なのに、何故封印を解いたりしたんだよ!」
ゼロ「『月』を…『天球』を繁栄させるためですよ。」
天満「何故封印を解くことが、繁栄に繋がるんだ?」
ゼロ「ネオス様は利用されたんですよ。『ユエ』さんにね…。」
天満「全然分からない…。」
シャウト「『ドリューマ』の復活だな?」
ゼロ「…はい。」
シャウト「膨大なエネルギー体の奴を『天球』に注入することができればと考えたのだな?だからネオスを解放した。」
ゼロ「そうです。」
天満「大体止めるって言ったって、『月』にいる奴らなんてどうすればいいんだよ!それにさっきも言ったけど、『エリア』って何なんだよ!」
シャウト「それは……そうだな…。」
ゼロ「ん〜論より証拠、百聞は一見にしかず!とりあえず目で見て頂きますよ!僕の『エリア』をね…。」
次回に続く