止まった時計7
時間なんかわからない。
仕事鞄を投げ出して、視界に映る時を見る。
10時10分。
食器棚に打ち掛けられた時計時間。
ショップの袋を開けて引っ張り出すプラケース。
緑の葉に包まれた白い塊。
ぺたりと指に張り付く粘りが不愉快。
木目のフローリングに座り込んでぺろりと葉っぱを剥いて口に入れる。
白くまろい塊は震えることなく齧られる。
口の中にひろがる甘さは甘ったるい小豆。
帰り道見送った空を泳ぐ魚たち。
繋がれ、どこにも行けない。
ただ、その場で尾を揺らす。
ぽいと足を投げ出して壁にもたれる。
力はない。
希望はない。
艶も色もない。
10時10分。
時間は止まる。
動かない。
ただ、掛けられた装飾品。
意味はない。
それは、私と等しい。
どこまでも動けない。
意味はもたずただ、そこにある。
電池は換えない。
こどもの日