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微笑みの詩  作者: ここたそ
第二章
57/57

微笑

あれからどれくらい時は流れたのだろうか。


時の流れは過去を浄化し、人の心を成長させる。



太陽が照りつけるような、眩しい日差しを見て思い出すのはやっぱり君の姿。


篤紀と華さんが別れたという話を、風の噂(というか健人)から聞いたのはつい昨日。



「別れたの?」


「らしいよ、篤紀がこの間飲みに来たんだけど、まぁ絡み酒で厄介だった。」


健人の話から、篤紀の姿を想像して手を口にあてクスクス笑うと、


「あれ?凹んだり、篤紀のこと心配したりしないの?」


「うん、もう過去の話だし。」



この詩衣の言葉をうけて、健人は眉に皺をよせた。


「うわー、女って切り替えはやくて嫌になるね。」


そう?と呟くと、詩衣は上目遣いで健人を見た。

健人は相変わらずシェーカーを降る姿がカッコ良く、女性客のファンも急増中らしい。


そんな健人の姿をジッと見つめてると、


「あんまり見つめるなって、うたちゃん。」



どこまで本気なのか、そんなことを言ってくる。


最近は健人とは、専らこんな会話の繰り返しで、そこには何の生産性もないような気もするが、当たり前の光景ってやっぱりどこか愛おしいと思う。



篤紀と付き合ってた一年という期間も、当たり前に隣には大好きな人がいて、そんな毎日が愛おしかった。



浮気されてすごく苦しかったけど、それでもやっぱりほんの少しの愛があったと今なら思える。



苦しかったり、愛おしかったり、寂しかったり、楽しかったり…



きっとこれからもそんな当たり前の感情を抱いて生きていくのだろう。




ブーブーブー、


鞄の中で携帯のバイブ音と共に、振動が伝わる。


中を開いて相手を確認すると、




「千里だ」



詩衣の声に反応したのか、健人はバーカウンター越しに詩衣の様子をちらちら確認する。



『あ、詩衣?今ね傑と買物してるんだけど、これから浩介さんも誘って四人でご飯食べない?…実はね、浩介さん詩衣に会いたいって傑に喋ってるんだって。』



何となく足元を眺めてた視線を、顔をあげ元に戻す。

すると健人と視線が絡み合った。


電話の内容が聞こえてたのか、健人は詩衣の反応を気にしてる様子。



『わかった、すぐ行くね。』


電話を切ると、依然として詩衣を見つめてるといる健人。



「と、言うことで今日は帰りますね。」


口角をあげ、妖艶な笑みを見せつけながら健人に言うと、



「俺も結構長いこと片思いしてるんだけどなー、不毛。」


ちょっと項垂れながら健人が答えた。


「健人さんには口喧嘩相手の美奈子ちゃんがいるから大丈夫ですよ。」



帰ろうとして、隣のイスに置いたバッグを手に取ろうとすると、



「なぁ、そのうちまた飲もうよ。…あいつも誘ってさ。」



遠慮がちに健人が誘ってくるもんだから、



「…考えておきます。じゃ、私今日は約束が出来たのでこれで。」


満面の笑みを覗かせながら答えた。



健人もニンマリ、優しい顔を見せつけじゃあね、と手を降る。





そして希望の扉を開けると、地上まで続く長い長い階段を疾走のごとく駆け出した。



───きっと、私はこれからも恋をするだろう。




胸に決意を秘めて、駆けていく後ろ姿はどこか微笑んでいるようにも見えた。





《完》

やっとこさ完結いたしました。

ここまで読んで下さったかた…いや、一行でも読んで下さった皆さんに感謝です。

初めて書いた小説で何もわからず書いたのですが、中にはコメントくれたり感想下さるかたもいたり…。

もともと飽き性の私が最後まで書けたのもそういった人達のおかげかと。

本文では書ききれなかった話がまだあるので、番外編という形で時間ができたら投稿しようかと思います。

また、微笑みの詩と半ば同時進行で書いてた新作があるので、明日くらいからアップしていこうかと思います。

もしよければそちらも目を通して頂けると幸いです。

本当に拙い文章で、読みぐるしい点多かったと思いますがありがとうございました。

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