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微笑みの詩  作者: ここたそ
第二章
54/57

(閑話休題)篤紀と華…episode2

詩衣と健人の話は、作者も混乱してきたので少し置いといて…苦笑


以前書いた、篤紀と華の昔話の続きです。

最近ちょっと気になる女の子は、思わず見惚れてしまう様な白い肌と整った容姿の子で。



外見とは相反して気が強い性格。



けれども、恋愛のことになるとそれが一転、ときどき弱さを垣間見せる。





厄介なのは俺の友達の彼女…という事実。





「篤紀、今日のお昼外で食べよ?」



グッと近づけてきた顔に、思わずドキッとして胸が熱くなる。




真夏のギラつくような太陽も、少し落ち着いてきたようなそんな季節。


まだまだ秋の訪れなんて感じないけど、ダラダラとした汗が滴らなくなっただけ幾分かマシ。





度々、華から相談を受けているうちに少しずつ二人の距離感は縮まってきていた…ような気がする。



まぁ、前よりは華のことわかる様にはなってきた。




華は俺に相談したいことがあるとお昼を誘う。




本当は俺なんかじゃなくて、健人と一緒に食べたいんだろうな…。




健人はというと、最近はじめたバーテンのバイトにのめり込み、日中は専ら睡眠時間になってるらしい。





いい加減、大学こいよ。


単位も落とすし、お前が華を突き放すから俺が放っとけなくなるじゃん。






「…何考えてるの?」





暫く思考がフリーズしていたらしい俺を見て、華はクスクスと笑った。





…可愛い顔して笑ってくれちゃって。




「…はぁー、」



俺は不毛な自分の淡い恋心に思わず溜息をつくと、




「篤紀の分もサンドイッチ買ってきたよー。」





そんな俺の気持ちなんか置いてけぼりにして、華は俺の手にそれを差し出した。



正門近くに植えられている銀杏並木。その麓に丁度いい具合で並べられているベンチの一つに、腰を降ろした。



この銀杏並木が美しい銀世界を創る季節ももう少しかな、なんて考えながらパクリ、サンドイッチを頬張る。



うん、美味い。




「そういえば昨日ね、学校帰りによった書店で雑誌を読んでたんだけどー、」



俺は相槌を打つ代わりに、コクリ頷く。


華は基本、お喋りが好き。



まあ、華に限らず女はみんなそうみたいだけど。




「恋愛占いのページがあって、私と篤紀、なんと相性バッチリなのー、」



ゴホッゴホッ、


思いも寄らない華の発言に、飲み込んだお茶を思わず戻しそうになった俺。


むせた、かっこわりぃ。




つーか何だよ、それ。


この子俺の気持ちわかって言ってんの?



…期待しちゃうじゃんかよ。




「…健人は?」


ボソリ呟いた俺の言葉に、華の肩はピクリ震えた。



…え?あ…地雷…踏んじゃった?俺…



「もうね、ダメ。」



言葉とは裏腹に、一生懸命笑顔をつくる華。



…華、その顔すっげー切ないよ…。




「健人とは、きっともうダメ…なんだよね。だってあの浮気癖は治らないもん。いつかきっと、とか思いながら待ってるのキツくなってきた…かも。」



あはは、なんて自虐的な笑みをこぼす華。



何て言っていいのかわからない俺は、そっかなんて曖昧な返事。情けない。




「…そんな顔しないでよー、」


辛気臭い顔をしていたらしい俺に、華は相変わらず笑顔を絶やさずそう言った。




「辛いんなら、泣けば?」



全部受け止めるし、と内心で呟く俺。



ううん、と華は首を横に降る。




「もうね、泣かない。だって散々泣いたし。これ以上健人のために涙流すもんか、」



クスクス、鈴がなる様な綺麗な声で笑う華。




はな、はな…、




好きだ。







昼食を取り終えると、午後の講義が急に休講になった俺たちはそのまま駅に向かった。




二人の目に飛び込んできたのは、健人と知らない女の子。



指を絡ませ合い、楽しそうなその様子を、俺と華はただただ呆然と眺めてた。




ふと、隣をみると一滴の涙を流す華。




…馬鹿、こんな時まで強がるな。思いっきり泣けよ。




その涙は透明で澄んでいて…、




思わず華を抱きしめた。






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