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微笑みの詩  作者: ここたそ
第二章
42/57

軽快

篤紀と別れて約ひと月ほどたったその日、詩衣は都内のとある居酒屋にいた。


何の用事でかと言うと…合コンだ。



篤紀と別れてからというもの、千里が事あるごとに合コンの話を持ちかけてきていた。

実際、今日誘われたのも4回目だ。

流石に断りきれなくなった詩衣は、渋々承諾した。


とは言え、正直今はまだ篤紀以外の男のことを考える余裕など詩衣は持ち合わせていない。



「千里、私今はまだ誰かと付き合うとか考えられないよ。」


男性陣が到着するのを待っている間、詩衣と千里は先に一杯飲んでいた。


「そう言うかなと思ってたんだよね。大丈夫、今日来る二人は両方とも私の友達だから。」


「…そうなの?」


合コンと聞いていたため身構えていた詩衣だったが、千里の友達とわかり少しだけ安堵の表情を浮かべた。


「うん。だからあんまり緊張しなくて平気だよ。」


言いながら千里は軟骨を食べている。

軽快なリズムが千里の口内から響き渡った。



「ねぇ…どんな人?」


「う~ん、二人とも私が大学の時にバイトしてたガソリンスタンドでのバイト仲間なんだけど…。」


「千里、ガソリンスタンドでバイトしてたの?!」


意外な情報に、思わず質問とは関係ないところに喰いつきそうになったちょうどその時、二人の男性が詩衣と千里が座っている半個室風のテーブル席へと向かってきた。



そして二人の男性は千里に気がつくと、目の前のイスに腰を降ろした。


千里の目の前に座ったのは小動物系の笑顔が可愛らしい茶髪の男性で、詩衣の前には目尻の皺が特徴的なお兄さん風の男性が腰掛けた。


「久しぶり~元気だった?」


千里の問いに答えたのは小動物系の男性の方だった。


「元気!千里も相変わらずだな。」


隣のお兄さん風の男性が相槌をうつようにハハッと笑った。


「詩衣、紹介するね。私の前に座っているこいつが松田傑まつだすぐる。年は一つ下だったけ?」


「そうそう、千里とはガソリンスタンドのバイトで知り合って。今もそこで働いてます。よろしく。」


言い終えると、小動物みたいに人懐っこい傑は詩衣に手を差し伸べてきたので、詩衣はそれを受け取り握手を交わした。


そして程よく、千里が詩衣の前に座るお兄さん風の男性の紹介を始めた。


「それで、こっちが浩介さん。境浩介さかいこうすけがフルネームね。大学も私と偶然一緒だったからバイトでは結構お世話になったんだよねー。」


「初めまして、詩衣ちゃん。」


そう言うと、お兄さん風の浩介は優しく微笑んだ。


「浩介さんは、確かうちらの二個上だったかな?」


千里の問いに浩介が答えた。


「ああ、俺が大学3年のとき千里がバイトに入って来て、その時千里1年だったからな。」


そう言うと浩介はグラスに口をつけた。



特別かっこいいわけではない。

でもなぜか、浩介がふと見せる優しげな表情と、笑ったときに出来る目尻の皺に惹きつけられている詩衣がいた。



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