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微笑みの詩  作者: ここたそ
第二章
38/57

大声

歌う曲により、為人が何となくわかる。

例えていうとすれば、健人はノリのよい洋楽を好んで歌う。

健人の雰囲気には、ピッタリなチョイスだ。


一方、美奈子は安室奈美恵から西野カナまで幅広く女性ボーカリストのものを歌っている。

美奈子は、容姿だけでなく歌声まで人を魅了する物がある。

特別、声域が広いわけではないが、優しく嫌味がなく、耳にスっと入り込んでくる声だ。

そういう意味では、女性ボーカリストものを美奈子が歌うと際立つ物がある。



詩衣はというと…、正直何を選択していいのか迷いはてていた。

自分の歌声に自信のない詩衣としては、カラ

オケに来たとしても『聞き専』だ。

それでも流石に周りから促された時は歌うが、歌の上手い下手があまり目立たないアイドル系のお元気ソングで誤魔化すことがほとん

どだ。

しかし今日は、その様にノリがいい曲を歌う気分ではない。

このまま、歌うことなくやり過ごそうかと思っていた丁度その時に…、


「うたちゃん、全然歌ってないじゃん!次い

れなよ!」

と、有難くない健人からの提案があったため、その場の雰囲気から詩衣は歌う羽目になった。


仕方ないので、詩衣は今の気持ちにピッタリなバラードを選択した。


その曲のイントロが流れた時、健人と美奈子の動きが止まった。


『いつも一緒にいたかった…』から始まるその曲を歌おうとした時、美奈子がストップをかけた。


「ちょっと!!まった!」


直ぐ様、健人も突っ込んだ。


「うたちゃん…、流石に笑えない。」


軽く頷いた後、美奈子がまた続けた。


「もぉー、どうしてプリプリの『M』選曲するかなー。いい曲だけど、今の詩衣の気持ち

にピッタリすぎて、聞いているこっちまで切なくなってくるじゃん…。」


━━━しまった、ミスったか…。

内心でそう思うも、この場をどう取り繕いでいいかわからない詩衣はひたすら苦笑いをして誤魔化していた。



するとその時、健人が機械を操作し出した。

どうやら、新しい曲を入れ直しているみたいだ。


「しょうがねーな、ほら。」

そう呟くと、健人はマイクを詩衣に手渡した。

しかし、健人ももう一本のマイクを握ったまま何やら歌う体制を整えている。

詩衣が混乱しているうちに、イントロが流れだした。

その曲は、ブルーハーツの『リンダリンダ』だった。


「ほら、一緒に歌おう。」

健人はそう言うと、詩衣の頭にポンっと軽く手を置いた。


健人に促された詩衣は、大声で歌った。

ひたすら歌った。


すると、心の中のモヤモヤが少しだけ晴れたような気がした。

歌っている間だけは、頭から篤紀のことが消えた気がした。

成る程、失恋したら歌ってスッキリするって昔何かのアンケートで見た気がするけど、その気持ち分かる気がするな。



歌い終えると、健人はニカっと白い歯を覗かせて笑顔を振りまいた。

すると、いきなり詩衣の耳元に口を近づけてきた。

詩衣が驚いた表情を浮かべていると、


「そういうところ、可愛い。」


そう、ボソッと囁いた。


思わず、詩衣は硬直し赤面を浮かべてしまった。

その脇で、美奈子は健人の弁慶の泣き所当たりを思いっきり蹴った。


「そこ!口説くの禁止!」


「…!いっっってぇぇえ!」


余程痛かったのか、うずくまっている健人を尻目に美奈子は歌い始めた。



そんなカラオケは、結局この後5時間続いた。




引用

プリンセスプリンセス『M』

THEブルーハーツ『リンダリンダ』


一応書いておいたほうがいいのかな?

よくわかんないので、書いときます。汗

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