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微笑みの詩  作者: ここたそ
第一章
11/57

素直

「何ていうか…すごくいいこなんだよな」

「いや、その表現陳腐すぎるだろ」

すぐさま健人は篤紀に対し率直な感想を述べた。

彼、佐々木健人ささきけんとは篤紀と同じ高校の出身だ。ついでに言うと大学も同じ、さらには学科まで一緒ときたものだから自然と仲良くなった…というよりならざるをえなかった相手だ。

まあとは言え高校の時は話したことさえなかった。こいつの独特の雰囲気というか軽率さが、野球部に所属していたスポーツ少年の篤紀とはそぐわないところがあったからだ。

しかし、何の因縁か同じ大学に進学することになり渋々会話を試みているうちに、見た目ほど悪い奴でもないかもなという気になってきた。

奇抜な茶髪にやたらと長い襟足も今となってはだいぶ見慣れてきた。

そんな健人は、卒業後も篤紀の事を月に一度のペースで呼び出し飲みに誘う。

今日も誘われて、大好物の砂肝をつまみにいただいている時に詩衣のことを聞いてきたのだ。

「陳腐っていうけどさ、ほんとに俺が望む事全てをやってくれるんだ。いい子としか言いようがないだろ」

「ふーん、例えばやらせろって言ったら速攻でやらしてくれるの?」

この男はそういうことしか頭にないのだろうか。

だから、いい歳していつまでもフリーターなんだ。無論、健人に言わせるとフリーターではなく夢追いゆめおいびとらしい。全く口だけは達者だ。

気を取り直し篤紀は言った。

「何でそうなるんだよ。そういうのじゃなくてさ、俺が仕事遅くなってそれでも味噌汁飲みたいって言ったら本当に作ってくれたりとかさ…」

「なるほどねー」

そう言いながら健人はニタニタとにやけている。その顔はひどく気味が悪い。

「何だよ?」

何か言いたげな健人に対して篤紀は問いただした。

「そのさ、うたちゃん?まるではなとは正反対のタイプだと思ってさ」



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