第49話 ダブルダンジョンマスター。
っつーわけで早々とボス戦前まで進行だよ。
但し前半はスキルの話だし後半はダンマスの話だ!
そして文字数が増えたorz<メシ食ってるので
結局、81層から90層まで、ほぼオレの魔法でアンデッドを一掃するという雑な進行をしてしまった。
いや、リケラもちゃんと働いてたけどね。
この世界のアンデッド系、物理の効きが悪いから、これが最高効率なんだよ、しょうがない。
ゲームならじっくり腰を据えて、なんてやるだろうけど、これは残念ながら現実なうえに、ドロップすら、なーんにもないからな。さっさと抜けるしかないだろ?
86層からは敵がフレッシュコープスからスケルトン、それとレイスに変わったので、益々オレ無双になっちゃったけど。
スケルトン、骨のくせに打撃が大して通らんもんで、レイス共々光魔法をぶっかけるだけの雑っぷり!
いや、ここでオリジナリティのない名称が来たんだし、そのくらいの応対でいいんじゃないかなって!!メタるな?そうだな!
あとやっぱり、びっくりするくらいどの層にもトラップが多い。
しかもがっつり殺意の高い奴。
毒霧も槍衾の落とし穴もつるりと滑ってひっくり返る床も釣り天井もだいたい完備だ。やなエリアだな!
幸い誰も踏まなかったので、死人は出ていない。
というか、ノノが意外なくらい、そういうのはきっちり避ける。
なお敵のレベルはどうやら階層数+50になっている模様。
なのでノノさんを殴られると流石にまずいんで益々オレの無双が捗るって訳だな!
「うぉ?レベル上がった!」
そしてなんと、姉ちゃんのレベルが途中で上がった。
「おお、おめでとー?」
「アズちんのレベル上がるの随分久しぶりよね?」
「そうね、半年ぶりくらいかも。587かあ」
「リケラも上がったりして」
「どうだろ?流石に1520からはそう簡単には上がらないよね」
「凄い……レベル、高いのです……」
そういうノノのレベルも既に150に到達している。上がりすぎだよなあこれ。
ただ、そのおかげで、スキル【持衰】の状態は完全にデフォルトに戻った。
「改変がなければ次段に進化できてたかもしれないのに……あのアホども……」
リケラが本人より悔しそうにしているのが印象的だね……
「スキルの進化先って本当に複数あるのですか」
「【持衰】に関しては複数ルートがあるだろうって予測はされているんだけど、調査の途中で君が行方不明にされたもんだから、実証が止まってましたー」
「会社の人は、蘇生以外ゴミルートってずっと言ってましたけど……」
「蘇生こそがゴミルートよ!最悪怪異が爆誕する、世界にとっての爆弾ルートよあれ!」
まさかの:リケラがマジ切れだこれ。
「スキルというのはね、本来持ち主を殺すようなもんじゃないのよ。
持ち主を助けるのがスキルの本来の存在意義なんだから。
身代わり蘇生なんて実行したら、厄災化待ったなしじゃないかな」
「えぇ……あのクソボンの会社、そういうルートを狙ってたってことかよ?」
「胡散臭いってレベルじゃないわね?」
あーでも、多分だけど。
そういう厄災を生み出して、地獄の窯の蓋辺りに投入する計画でもあったんじゃなかろうか。
そんなエグいもの突っ込むような案件、他になさそうだし。
噂通りのアホボンなら、お前だけ生き残れる+英雄になれる計画だって言ってやればホイホイ乗っかっただろうしな。
厄災化した時に自我が残ってるとは到底思えないし、そもそも人類側に立つようコントロールできるような存在なら、厄災なんて呼ばれ方しないんだがな!
おまけに、仮に地獄略対策にとはいえ、そんなこと実行できてしまったら、砂に埋まってただろうけどな、この国。
世界樹さんが見捨てるレベルの禁じ手だぞ、それ。
彼女は、生贄って奴が大嫌いだそうだし。
なんか昔エルディムでやらかした部族があるとリケラとの雑談で聞いたからな……
だからこそ、リケラも激怒してるんだろうけど。
「……マジでオレが通りがかったの、ラッキーだったな……あいつらの計画が完遂されてたら多分日本が砂に沈むって推測ができちゃったぞ」
「でーすーよーねー!」
「うわあ、ガチの危機一髪だったんじゃない……!」
思わず漏らしたら、リケラには全力で同意され、姉ちゃんにはドン引きされた。
いやオレに引いたわけじゃないだろうけども。
っつかオレの推測、あくまでも推測なのに否定しないんだなあ、姉ちゃん。
ざっくりと群がるアンデッドを始末しきったら、ボス部屋の前だ。
ここのボス部屋の扉、ここまでと微妙に仕様が違うな。
具体的に言えば、妙に重厚度が増している。
「……ここ、100あるよねえ?」
「オレの技能判定だと100ちょうどだな」
リケラが不思議顔になったので、そう答える。
あ、そうか、ダンマス二人いる話、してねえや。
「あと技能判定結果だけど、ダンマスが確定で二人います。手前はフロア特性通りアンデッドだろうから多分元教授」
「おじいちゃんは余命宣告受けてたから、多分そうだと思います」
「同じ迷宮にダンマス二人?そんなのあるんだ」
「エルディムでも滅多になかった奴!
……ってことは、層の浅い方は……自分からダンマスになることを、選んでる」
ここでノノから新情報だ。そしてそこから嫌そうな顔になったリケラからも情報が追加だ。
滅多にない、とは、つまり何例か程度は前例があったということだからな。
「たぶん、それもそうだと思います。おじいちゃんは、体調を崩してからも、まだまだ研究がしたいってずっと言っていました。
ちょっとボケかけてる兆候がありましたし、正常な判断力が足りてない状態だったと思います」
「あー、科目選択前の1回だけ講義受けたけど、何言ってるか判りにくいし、同じこと三回くらい繰り返して、ようやっと次に行く感じだったなあ……」
助手っぽい人が誘導に苦労していた記憶はある。
入学式では教授の挨拶はなかったし、結局その講義は選択しなかったから、オレの姫酸実教授の記憶は、それだけだ。
「えーとつまり」
「おじいちゃんには、休んでもらわないといけません……」
おじいちゃんは好きだったけど、人類の敵に自分から回ったのなら。
レベルが上がったせいか、すっかり冷静な話し方になったノノはそう述べると、静かに扉を見据えた。
のだが……
「……覚悟キマったところで申し訳ないんだけど、休憩ぷりーず」
すみません!普通になう魔力半分割ってます!
そんな状態でこんな深層のボス、しかもアンデッドっつかエルダーリッチ戦は、絶対的レベル差があるといっても嫌っす!!
「少年に頼りまくったからガス欠はしゃーなし」
「……おやつですね?」
「むしろ時間的にガチめにご飯タイムだけど……臭いが残ってるのがねえ」
「そのくらいはなんとかするので!!」
というわけで、臭いもシャットアウトできる結界を構築して、結界内部に〈クリーン〉をかけたら、飯タイムだ。
「少年の結界が器用すぎる……結界に除外設定……?」
「魔法と科学知識の複合!除外設定はエクステンド枠だから使える人が限られてるとも聞いたけど、こっちだとどうもオプション枠で行けそうな予感もする?」
「あー、似たようなこと言ってる人、前にいたわねえ」
「凄いです……臭いが消えました……!」
結局ノノは体質的にも嗜好的にも食べられないものは特にないんだそうで、それなら、と、紙袋に入ったバーガーセットを人数分取り出す。
「ダブルチーズとダブルパティとトマト増量とてりたま、どれがいい?」
「ダブチ!」
「トマト増量にしよっかな!」
「あ、あの、てりたま、ください」
幸い綺麗に票が割れたので、姉ちゃんにダブチ、リケラにトマト増量、ノノにはてりたまと書かれた袋を渡し、自分はダブルパティを開封する。
なおバーガー以外のセット内容はどれも同じで、オニポテと林檎ジュースだ。
「コーラじゃなくてジュースなのね」
「流石にクラフトコーラ開発まではやってなかったなあ、材料がそもそも足りないって話だったし」
確かコーラ自体あんまり好きじゃないって言ってたんだよな、セットの製作者。
あと熱帯系香辛料が足りてないとも言ってたな。
代替品はそれなりに入手はできていたけど、クローブやらオールスパイスがどこにもないとか聞いた気がする。
流石に座って食事って雰囲気ではないので、紙袋から順次取り出しながら立ち食いです。
まあだからこそこのセットを出したんだけども!
「うまーい!このトマト、味が凄くしっかりしてる。種蒔けないかなあ」
「それは流石に試したことがないけど、多分完熟トマトではあるはず」
そしてリケラは、トマトの種部分を小さな袋に入れてしまいこんだ。
……確かごく普通の移入種のトマトって聞いてるから、この世界でも大丈夫な気はするけど……
いやなんかありそうなら世界樹さんか会長の爺ちゃんにお任せしちゃうか……!
世界樹さん:あら、新しい品種ですねえ!(にこにこ)




