↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/56

第45話 体調不良とはまた違う。

 割と真面目な話が続くような、そうでもないような。

 やや胸糞な推測含みですが、残念ながらだいたい合っている。

 食事と水分補給で小休止のあとは、再びノノを小脇に抱えての迷宮行だ。


 高山ルートの40台も、基本はさっきのヒポ層と同じだ。

 要するに、空から寄ってくるワイバーンを魔法で叩き落すだけ。

 今回は使い慣れた雷魔法、〈雷針《ルシュガ》〉が大活躍だ。

 たまに第三世界の魔法、〈ウォーターカッター〉辺りも混ぜる。貫通属性便利だよね。

 第三世界の魔法は上級だけ魔力消費が増えているので、中級までをメインに使う。

 第一世界の魔法でできないことができたりするので、使い分けは大事だ。


 さっくりボス部屋まで辿り着き、ボス自身はといえば、八重詠唱《オクタスペル》で〈ストーンランス〉に〈雷撃《クルガロ》〉を纏わせて放つことで、だいたいなんとかなった。


 流石にリケラみたいに一発でとはいかなくて、3発ほど撃ったけど。

 反撃されたけど結界で普通に防げたので何の問題もないね。



 その次は、湖沼地帯。

 結界を纏って、無理やり最大速度で駆け抜ける。

 ノノには二重に結界を追加だ。


 その結果、ボス前にたどり着いたら既にドアが開く状態だった。

 つまりなんだ?結界で跳ね飛ばして、運動エネルギーで轢き潰したって事かな?

 ……そうらしい。ドロップ品が収納に増えておられる。


「……」

 ノノが無言で水浸しになって震えていたので、慌てて〈クリーン〉をかける。

 この魔法、こういう時には水分除去もしてくれるから便利だよなあ。原理が謎過ぎるけど。


 勇者セットの魔法には、そういうのも多い。なんでこれで動作してるの?っていう。

 彼らの世界の勇者伝承や他所から齎された勇者の情報をこれでもかと詰め込んだ欲張りセット、とは最終バージョンの開発者の弁だったか。


 ……ダンジョン対応とか解錠とか入ってるの、これどこかの世界のゲーム的勇者のデータが紛れ込んでるだろ絶対。


 ちょっと顔色も悪くなっているノノに治癒魔法もかけておいて、ボス戦だ。

 といってもなー、このヒドラはな―。オレだとちょっとめんどくさいんだよなあ?

 と、考えながら扉を開けたら……中身が違った。


 おーい、なんでヤマタノオロチがいるんですかー?いやこれも本家ヒュドラーの方の亜種と言えなくはないか……?


 なおやること自体は同じでした。

 というか魔法反射がない分ヒドラより楽だったね……

 3本目の首でそれに気が付いたので、残りの首はまとめて〈ウィンドエッジ〉で刈って、多重詠唱の〈ファイアボール〉で切り口を焼いたら終わった。


 ここも箱は一つ。ドロップの方がヒドラと違って武器と皮だった。

 ……え?武器?なんで?


「武器出るんだこの迷宮」

「……うぇ……も……だめ……げぇ……」


 思わず呟いたところで、ノノが弱弱しい声を上げる。


 え?と思ったら……生暖かいものが腕を濡らす。少し遅れて、酸っぱい匂い。

 え?なんで?どうしてそこで吐くの??

 いや疑問に思うところじゃない、治癒魔法かけて、クリーンをかけて!!


「……ごめん、抱え方がきつかった?」

「……い、え……レベル酔い、です……」


 レベル酔い?とノノのレベルを見れば、なんと、Lv90になっている。

 え?そんなに経験値高いのこのエリア?!


 しょうがないのでここでも休憩だ。

 幸いボス違いだったせいか、第一の50層と違って地面が乾いているから、敷物が置ける。


 レベル酔いという現象自体は、迷宮管理組合が作っている探索者育成ガイドに記述があるから知ってはいる。

 パワーレベリングの弊害は、基本的にこのレベル酔いと、行動に応じたステータスの蓄積がない事の二つ。

 ただ後者は、病気の治療などが目的の人には関係ないから、そういう人は進んでパワレベを受けるとはいう。


 でも確か自力攻撃手段がないとパワレベって成立しないんじゃないっけ?と思うだろ。

 例外がいくつかあるんだよね。

 攻撃性のないスキルしか持っていない人のうち、強化系と治癒系を持つ人は、この制限の対象にならんのだ。

 存在してるだけでパーティに貢献していることになるらしいよ。


 そして、ノノのスキル、【持衰《じさい》】は、実は強化系スキルだ。

 本人にダメージが入る代わりに、パーティメンバーの負傷の程度を浅くする、という身代わり系の技能なんだよ、本来は。

 で、その身代わり系の技能としての究極を突き詰め昇華させると、一人だけ自己犠牲で蘇生できる、になるようなんだけどね。


 これもおかしいんだよなあ。

 最初に究極系だけが表示されて、レベルが上がってから、やっと本来の効果が見えるようになるスキルってどういうことよ?


 改めて、ノノをスキルできちんと調べる。観察と鑑定と診断のフルセットで、だ。


 ……だめだな。自称アパレルの『ナイジェラ』だったか。

 グレーどころか、ヤーさんも真っ青の真っ黒犯罪集団じゃねえか、これ?


 オレの鑑定結果はこうだ。

《スキル【持衰】に、人為的な改変の痕跡あり。

 レベルアップにより改変が抹消され、本来の機能に七割復旧するも、未だ影響あり、今後も要観察》


 人為的なスキルの改変は、現在の世界では、全面的に禁止事項だ。

 というのも、エルディム融合の最初の年に、人類側が結構やらかしていてですね。

 そう、今は砂に埋まっている大陸の国辺りとか、北の方とかでね。

 その結果、生き残った国家では公には完全禁止条項になっている。

 やらかしたら即投獄で、スキルや魔力、レベルがあったならエルディム式で剥奪処分を受ける奴。

 強制レベルドレインあるんだってよ、エルディムの技術。こっわ。


 んでまたさあ、それとは別に、やはり恒常的に虐待を受けていた形跡があるんだよね。

 但しそれは生まれてからずっとではなく、ここ3年ほどの話ってのがオレの技能判定だ。

 この3年前というのが、ノノが『ナイジェラ』に……表向きは保護、実際には売り飛ばされたらしい頃合いだ。


 3年前って事は、今中一のノノは小学生だよ?

 小学生に、性的ではないにせよ、恒常的に暴行を加えていた輩が所属してる可能性が高いわけだよあの企業。表だろうが裏だろうが、アウトおぶアウトだろ。



 ただ、今現在のノノが、吐くほど体調が悪くなっていたのは、純粋にレベル酔いだけが原因だ。

 幸い時間経過がそれなりにあったので、食べたものを吐き出すことはなかったんだが、いや本当に申し訳ない事をしてしまった……


「レベルが上がってしまったって事は、吐いたのとは関係なくまたお腹すいたろう?」

 まずは口直しに、手持ちの中でも比較的飲みやすいレモン味の弱炭酸水を渡す。


「……のみやすいです……はい、落ち着いたら、お腹が空きました……」


 本人も同意したので、また卵サンドだ。

 ワンパターンというなかれ。本人にっこにこになったし、実際このレベルの食品で回復できるなら、その方がポーション漬けにするより経過がいいんだよ、こういうのは。


 今回はオレは食べない。その代わりにエナドリを一本。

 うむ、懐かしい味だなー!

 ってこれも魔法コピー品なせいか、微弱な魔力回復効果、あるな?

 迷宮の特性かもしれないけど。地上で飲んだ時にはそんな感覚なかったはずだ。


「それも……特別おいしい、のですか?」

「うん?これは昨日コンビニで買ったやつだから、そこらへんの普通の味だよ」

「でも、すごく美味しそうにしていました」


 そうかな?そうかもしれないな?


「久しぶりに飲んで、懐かしい味だなって思ってたから、そう見えたのかもな」


 簡単に答えてから、ちょっと引っかかる。

 この子、年齢の割に言葉がなんか……時代めいているかと思えば、時々妙にたどたどしくないか?

 いや、発音が怪しいだけか?うーん?だめだ、判らん。


 取り合えず、ノノのレベルが上がって、スキルが本来の技能をだいたい取り戻したおかげで、61層以降の安全もほぼ確保が決まったから、そこはタナボタなんだけどね。


 その分オレの負荷は多少増えるが……あの程度なら倍返しになったとしても、トレーニング用の負荷にもならん範囲だし、まぁいいか。

 自称アパレルというかちゃんとしたアパレル会社もやってはいるんだよ。


 裏で創業者一族がろくでもないことしてるのも事実だが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。