表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

ラウンド3:光と影~音楽と商業主義、そしてプロパガンダ~

あすか:「皆さま、ラウンド2では、歌詞とメロディ、そしてそれらが織りなす音楽の普遍性について、実に示唆に富んだお話をありがとうございました。音楽が持つ、国境や文化を超えるコミュニケーションの力、その豊かさを改めて感じ入りました。」

(あすかはクロノスに新たなテーマを映し出し、その表情には先ほどよりも少し緊張感が漂う)

あすか:「さて、続くラウンド3では、音楽の持つ力の、いわば『光と影』という側面について議論を深めてまいりたいと思います。テーマはこちらです。『光と影~音楽と商業主義、そしてプロパガンダ~』。音楽は純粋な芸術であると同時に、時に巨大なビジネスとなり、また、大きな影響力を持つがゆえに、特定の意図を持って利用される危険性も孕んでいます。まず前半は、『音楽と商業主義』という側面からお話を伺ってまいりましょう。」

(あすかは、まずマイケル・ジャクソンに視線を向ける)

あすか:「マイケルさん、あなたは『キング・オブ・ポップ』として、音楽史上空前の商業的成功を収められました。その一方で、莫大な私財を投じて慈善活動にも熱心に取り組まれ、楽曲を通して平和や環境保護といったメッセージも発信し続けてこられました。その巨大な成功と、ご自身の伝えたい純粋なメッセージ、そして社会への貢献というものの間で、どのようにバランスを取ろうとされてきたのでしょうか。そこに葛藤はありましたか?」


マイケル:(静かに頷き、少し遠くを見るような目をする)「…バランス…そうだね、それはいつも僕の心の中にあったテーマだったかもしれない。僕は、ただ最高のエンターテイメントを創りたかった。世界中の人が、僕の音楽とダンスを見て、一瞬でも日常を忘れて、夢の世界に浸れるような…そんな魔法を届けたかったんだ。」

(マイケルは指を組み、真摯な表情で続ける)

「レコードがたくさん売れたり、コンサートがソールドアウトになったりすることは、もちろん嬉しかった。それは、僕の音楽がそれだけ多くの人に届いているっていう証だからね。でも、お金自体が目的になったことは一度もなかったよ。僕にとって成功の本当の意味は、より多くの人にメッセージを届けられる可能性が広がること、そして、恵まれない子供たちや、苦しんでいる地球のために、何か具体的な助けになることができるということだったんだ。」

「だから、ツアーの収益を寄付したり、チャリティーソングを作ったりするのは、僕にとってはごく自然なことだった。『We Are the World』の時もそう。みんなで力を合わせれば、大きなことができるって信じていたから。」

(少し声を落とし、内面を吐露するように)

「でも…葛藤がなかったと言えば嘘になるかな。時には、僕の意図とは違う形でビジネスが動いてしまったり、メディアに面白おかしく書きたてられたりすることもあった。純粋に音楽を届けたいという気持ちと、巨大産業の中で巨大な商品として扱われる自分との間で、どう心を保てばいいのか、悩んだ時期も確かにあったよ。でも、そんな時でも、ステージに立って、ファンの笑顔を見れば…やっぱり僕は音楽を続けるしかないんだって、いつも思えたんだ。」


あすか:「純粋な想いと、巨大産業の中での葛藤…。マイケルさんのその誠実なお気持ち、痛いほど伝わってきます。クロノス、マイケルさんがその成功をどのように社会貢献に繋げてこられたか、その一端を示す記録を少しだけ。」

(モニターに、マイケル・ジャクソンが世界各地の子供たちと触れ合う姿、病院を慰問する様子、大規模な慈善活動への参加や寄付に関するニュース映像などが映し出される。)


ジョン:(映像を見ながら、腕を組んで頷く)「…まあ、君の規模になると、金の心配なんかしなくてもいいくらい儲かっただろう。それをどう使うかは、確かに人間性が出るものだ。ビートルズだって、気が狂うほど儲かった。最初はただ好きな音楽やってただけなのに、いつの間にか世界中が俺たちのレコードを買って、俺たちの顔が商品になっていった。」

(ジョンは少し皮肉っぽく笑い、続ける)

「俺もヨーコも、その金を使って平和活動をやったり、前衛芸術のパトロンになったり、色々やった。『ベッド・イン』だって、金がなきゃあんな派手なパフォーマンスはできなかったかもしれないね。アップル・コアを立ち上げたのも、既存のレコード会社の搾取構造からアーティストを解放して、もっと自由に創作できる場所を作りたかったからだ。まあ、理想通りにはいかないことだらけだったよ、あの会社も。」

(ジョンは肩をすくめる)

「結局のところ、商業主義ってのは怪物みたいなもんだ。うまく乗りこなせばどこへでも行けるが、一歩間違えれば食い殺される。俺は、その怪物とどうにかこうにか渡り合って、自分の言いたいことを言い続けてきたつもりだ。時には噛みついたり、時には無視したりしながら。」


あすか:「商業主義という怪物と渡り合う…。ジョンさんらしい表現ですね。アップル・コアの設立は、まさにその格闘の一つの形だったのですね。ボブさん、あなたの音楽、レゲエは、もともとジャマイカのゲットーというアンダーグラウンドな場所から生まれ、やがて世界的な現象となりました。その過程で、やはり商業主義との関わりは避けられなかったと存じます。ご自身のメッセージや音楽の魂が、商業化の波の中で薄まってしまうことへの懸念や、それをどう守ろうとされたのか、お聞かせいただけますか?」


ボブ:(静かに目を閉じ、ゆっくりと息を吸い込む。そして、落ち着いた、しかし力強い声で語り始める)「そうだ、シスター。俺たちの音楽は、魂の叫びであり、ゲットーの人々の生活そのものだった。そこに金儲けの匂いなんて、最初は微塵もなかったよ。ただ、自分たちのメッセージを、ジャー(神)から与えられた音楽に乗せて、一人でも多くの同胞に届けたかった。それが始まりだ。」

(ボブは、クリス・ブラックウェル率いるアイランド・レコードとの出会いを振り返るように、少し遠くを見る)

「クリス・ブラックウェルが俺たちの音楽を世界に広めたいと言ってきた時、俺たちは考えた。俺たちのメッセージは、ジャマイカだけじゃなく、世界中の抑圧された人々にも届くべきものじゃないか、と。そのためには、ある程度の『システム』に乗ることも必要かもしれなかった。だが、決して魂を売るようなことはしなかったよ。」

「俺たちが歌うのは、ラスタファーライの真理であり、バビロンシステムへの抵抗であり、アフリカへの回帰の呼びかけだ。そのメッセージの核心は、どんな契約書にもサインするより前に、俺たちの心に深く刻まれている。レコード会社は、俺たちの音楽を商品として売るかもしれない。だが、その商品の中に込められた魂のバイブレーションまでコントロールすることはできない。俺たちは、ステージの上で、インタビューで、そして日々の暮らしの中で、常に真実を語り続けることで、音楽の魂を守ってきたつもりだ。」

(ボブは胸に手を当てる)

「タフゴング・レコードを自分たちで設立したのも、自分たちの音楽を、自分たちのやり方でコントロールするための一つの手段だった。商業主義の波は大きい。だが、その波に飲み込まれるんじゃなく、逆にその波に乗って、俺たちのメッセージをより遠くまで運ぶんだ。それが、俺たちのやり方だった。」


あすか:「魂のバイブレーションはコントロールできない…タフゴング・レコードの設立に込められた強い意志、確かに感じ入りました。クロノス、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズがアイランド・レコードと契約し、世界へと羽ばたいていった当時の状況、そしてタフゴング・レコードの理念について、補足情報を。」

(モニターに、ボブ・マーリーの国際的な成功を伝える記事や映像、タフゴング・スタジオの様子などが映し出される。)


マイケル:(ボブの言葉に深く頷き)「ボブの言う通りだね。どんなに大きなビジネスになっても、中心にある魂…スピリットが一番大切なんだ。僕も、レコード会社の人たちと意見がぶつかることはたくさんあったよ。もっと売れる音楽を、とか、もっと派手なことを、とかね。でも、僕は自分の心に嘘はつけなかった。自分が本当に良いと思えるもの、自分が本当に伝えたいと思えるものしか、世に出したくなかったんだ。」


ジョン:「ハッ、レコード会社の連中なんて、いつだってそうだ。奴らは芸術家じゃない、商人だからね。俺たちを利用して金儲けすることしか頭にないのさ。だからこそ、俺たち自身が賢くならなきゃいけない。自分の音楽の価値を自分で決めて、安売りしないことだ。まあ、それが一番難しいんだけどね。ディック・ジェイムズの件はみんなが知っている通りだ。」(苦笑する)


坂本:(静かに三人の会話を聞いていたが、ここで口を開く)「皆さんの経験は、非常に示唆に富んでいますね。商業主義と芸術性のバランスというのは、いつの時代の音楽家にとっても大きな課題です。私自身、YMOで大きな商業的成功を経験しましたし、その後も映画音楽やCM音楽など、様々な形で商業的な音楽制作に関わってきました。」

(坂本は、少し考えるように言葉を選ぶ)

「CM音楽を作るということは、明確なクライアントがいて、商品があり、伝えたいメッセージが規定されている。その制約の中で、いかに自分の音楽的個性を発揮し、質の高いものを作るか。それはある種の挑戦であり、パズルのような面白さもあります。映画音楽も同様ですね。監督の意図を汲み取り、映像と一体となって物語を効果的に伝える音楽を作る。そこには、純粋な自己表現とは異なる、職人的な技術と他者とのコラボレーションが求められます。」

「YMOの場合も、当初は非常に実験的な音楽グループとしてスタートしましたが、結果的に大きな商業的成功を収めました。それは、私たちの音楽が、幸運にも時代の気分と合致したということでしょう。しかし、私たちは常に、商業的な成功に安住することなく、新しい音楽的実験を続けようとしてきました。そのバランス感覚が、YMOというグループの個性だったのかもしれません。」

「重要なのは、商業的な要請に応えつつも、そこにいかに批評性や実験精神、あるいは個人的な美意識を潜り込ませるか、ということではないでしょうか。完全に自由な創作というのは、実は幻想に近い。何らかの制約の中でこそ、創造性は刺激されるという側面もあるのですから。」


あすか:「制約の中でこそ創造性は刺激される…。坂本さんならではの深い洞察、ありがとうございます。商業主義という大きな流れの中で、それぞれの信念を貫き、メッセージを届けようとされてきた皆さまの姿が浮き彫りになってきました。まさに音楽の『光』を追求するがゆえの、影との戦い、あるいは共存のあり方と言えるかもしれませんね。」

(あすかは、少し間を置き、スタジオの雰囲気を変えるように、クロノスの画面を操作する)

「さて、音楽が持つ影響力は、商業的な側面だけでなく、時に政治や権力と結びつくことで、さらに複雑な様相を呈してきます。次の論点として、『音楽とプロパガンダ』という、より影の深いテーマに踏み込んでまいりたいと思います。」

(あすかの表情が引き締まり、スタジオの空気も緊張感を帯びる。彼女はクロノスを操作し、その画面を一同に見せる。)

あすか:「音楽は、その高揚感や一体感を生み出す力ゆえに、歴史上、しばしば国家や特定の政治勢力によって、大衆の意識を操作し、思想を植え付けるための強力な道具…すなわちプロパガンダとして利用されてきました。クロノス、そのいくつかの事例を。」

(モニターに、ナチスドイツ時代の勇壮な軍歌と行進の映像、旧ソ連時代の体制を賛美する合唱曲とマスゲームの映像、あるいは特定の指導者を神格化するような歌が流れる映像などが、重々しい音楽と共に映し出される。音楽の持つ力が、明らかに特定の方向へ人々を導こうとしているのが見て取れる。)


マイケル:(映像から目をそむけるように、悲しそうな表情で小さく首を振る)「…Oh,no…音楽が…こんな風に使われるなんて…心が痛いよ。」


ジョン:(苦々しげに舌打ちし、モニターを睨みつける)「チッ…いつの時代も権力者ってのは、ろくでもないことを考えるもんだ。人の心を操り人形みたいにしようって魂胆だろうが、反吐が出る。音楽を、そんな汚ない目的のために使わないでもらいたいね」

「俺自身、アメリカで平和活動を始めたら、FBIに監視されたり、国外追放されそうになったりした。俺の歌や発言が、連中にとっては都合が悪かったんだろう。『パワー・トゥ・ザ・ピープル』なんて歌を作れば、そりゃあ警戒もされるだろうさ。でもね、音楽は民衆のものであって、権力者の道具じゃ断じてないんだ!」(拳を握りしめる)


あすか:「ジョンさんのその強い憤り、そして権力と対峙されたご経験…。ボブさん、あなたは音楽を通じて、抑圧からの解放と真理を訴え続けてこられました。音楽がプロパガンダとして利用されることの危険性について、どのようにお考えでしょうか?」


ボブ:(深く息をつき、その瞳には怒りと悲しみの色が浮かぶ)「音楽は、ジャー(神)が人々に与えた聖なる贈り物だ。魂を浄化し、真理へと目を開かせ、人々をひとつにするためのもの。それが、一部の権力者の嘘や欲望のために、人々を欺き、憎しみを煽り、戦争へと駆り立てる道具にされるなど…断じて許されることじゃない。」

(ボブの声に、普段の穏やかさとは異なる、厳しい響きが帯びる)

「俺の歌『ウォー』の歌詞は、エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ1世の演説から取ったものだ。“ある人種の優位性が最終的かつ永久に信用を失い放棄されるまで…どこでも戦争だ”と。それは、権力者が振りかざす欺瞞や不正義に対する、俺たちからの宣戦布告だった。音楽は、そういう偽りのプロパガンダを打ち破り、人々に真実を伝えるための武器であるべきなんだ。決して、その逆であってはならない。」


坂本:(静かに、しかし鋭い分析を込めて語り始める)「音楽が持つ感情への訴求力は、非常に強力です。特定の旋律やリズム、ハーモニーは、私たちの生理的な反応を引き起こし、高揚感や連帯感、あるいは恐怖心や憎悪といった感情を短時間で、しかも集団的に醸成することができる。歴史的に見ても、軍隊の士気を高めるための軍楽や、国家の祝祭における賛歌などは、その典型でしょう。」

「問題なのは、その力が、理性的な判断を飛び越えてしまう危険性を常にはらんでいるということです。音楽に酔いしれることで、批判的な思考が停止し、無意識のうちに特定の思想や価値観を受け入れてしまう。作り手側も、その力を自覚し、倫理的な配慮を持たなければなりませんし、受け手側もまた、音楽に対してただ受動的になるのではなく、それが自分にどう作用しているのかを冷静に見つめる『クリティカル・リスニング』とでも言うべき態度が必要なのではないでしょうか。」

(坂本は少し間を置き、自身の経験を振り返るように続ける)

「私自身の作品が、例えば映画の中で特定のイデオロギーを補強する形で使われた場合、それが意図せぬプロパガンダに加担してしまう可能性もゼロではない。その危険性は常に意識しています。音楽家は、自分の音楽が社会の中でどのような文脈で受容され、どのような影響を与えるのかということに対して、無自覚であってはならないのです。」


マイケル:(坂本の言葉に真剣に聞き入り、深く頷く)「クリティカル・リスニング…本当にそうだね。音楽は、愛や喜び、希望を伝えるものであってほしい。それが僕の心からの願いだ。でも、ジョンやボブ、そして坂本さんが言うように、その力が悪用されることがあるのなら…それは本当に悲しいことだ。」

(マイケルは胸に手を当て、感情を込めて語る)

「僕の歌『ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス』では、社会の不正や権力者の無関心に対して、強い怒りのメッセージを込めたつもりだ。音楽が、ただ人々を気持ちよくさせるだけじゃなく、時にはそうした社会の暗部に光を当てて、人々に『これはおかしいんじゃないか?』って考えさせるきっかけになることも大切だと思うんだ。プロパガンダのような、人を欺く力に対して、音楽は真実を叫ぶ力で抵抗しなきゃいけない。愛と真実の力でね。」


あすか:「愛と真実の力で抵抗する…。皆さまの強い意志と、音楽の力に対する深い洞察、そしてその危険性への警鐘、確かに受け止めました。しかし、音楽の力が常に影として作用するわけではありませんよね。歴史を振り返れば、音楽が社会運動を後押しし、人々に勇気を与え、変革への大きなうねりを生み出した『光』の事例もまた、数多く存在します。クロノス、その希望の側面も私たちに見せてください。」

(モニターの映像が切り替わり、アメリカ公民権運動でプロテストソングを歌う人々、南アフリカのアパルトヘイト撤廃を訴えるコンサートの熱狂、ベルリンの壁崩壊時に歓喜の中で歌われる「自由の歌」などの感動的なシーンが、希望に満ちた音楽と共に映し出される。)


ジョン:(映像を見ながら、少し表情が和らぎ)「ああ、そうだ。音楽は、こういう時のためにあるべきなんだよ。『ウィ・シャル・オーバーカム』…あの歌がどれだけ多くの人々に勇気を与えたか。音楽は、抑えつけられた人々の声を一つにし、巨大な力に変えることができる。俺たちの『ギブ・ピース・ア・チャンス』だって、ベトナム戦争反対のアンセムになった。無力だと感じていた一人ひとりが、歌を通じて連帯し、大きな声を上げることができるんだ。」


ボブ:(モニターの映像を、まるで我がことのように見つめ、深く頷く)「そうだ、ブラザー。これが音楽の真の力だ。人々を分断し、憎しみ合わせるのではなく、人々を愛で結びつけ、自由と平等のために立ち上がらせる。南アフリカの同胞たちが歌い続けた自由の歌…あれこそ、バビロンの壁を打ち砕くハンマーだった。音楽は希望の種を蒔き、それが育つのを助ける太陽の光なんだ。」


マイケル:(映像に感動し、瞳を潤ませている)「…素晴らしい。音楽には、こんなにもポジティブな力があるんだ。人々を一つにし、勇気を与え、そして世界をより良い場所に変えていくことができる。僕も、ずっとそれを信じて歌い続けてきた。この映像を見ると、改めてその思いが強くなるよ。」


坂本:(静かに映像を見つめ、そして語る)「ええ。音楽は、社会の変革期において、しばしば人々の感情的な支柱となり、連帯の象徴となります。それは、音楽が個人の内面的な思いを、集団的なエネルギーへと昇華させる触媒の役割を果たすからでしょう。ただし、忘れてはならないのは、それがどのような『変革』であるかを見極める目もまた必要だということです。光に見えるものが、別の側面から見れば影である可能性も否定できませんから。」


あすか:「ありがとうございます。光と影、それは表裏一体であり、音楽の力がどちらに作用するかは、それを使う人間、そして受け取る人間の意志と良識にかかっているのかもしれませんね。」

(あすかは、スタジオ全体を見渡し、ラウンド3のまとめに入る)

「さて、ラウンド3では、『音楽と商業主義』そして『音楽とプロパガンダ』という、音楽の持つ力の光と影について深く議論してまいりました。皆さまのお話から、音楽家として、その強大な影響力とどう向き合い、自らの信念を貫き通すかという葛藤、そしてその力を真に愛と平和のために使おうとする高潔な魂に触れることができたように思います。」

「音楽は、時に純粋な芸術から離れ、巨大なビジネスの流れに乗り、また時には権力によってその牙を剥くこともある。しかし、それでもなお、皆さまが音楽を通じて真実を、善を、そして愛と平和を希求し続けるその姿勢こそが、私たちに大きな希望を与えてくれるのではないでしょうか。」

(あすかはクロノスに視線を落とし、静かに次のラウンドへの準備を始める)

「音楽が持つ力、その光と影を自覚した上で、私たちはその力をどのようにして、より良い未来のために活かしていくことができるのでしょうか。次のラウンドでは、いよいよその核心に迫ってまいりたいと思います。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ