オープニング
(壮大でミステリアスなオープニングテーマ曲が流れ始める。宇宙空間を思わせる映像の中に、光の粒子が集まり、「歴史バトルロワイヤル」のロゴが浮かび上がる。続いてサブタイトル「魂のメガヒットメーカーズ会議~音楽は世界に愛と平和をもたらすか?~」が重なる。テーマ曲がクライマックスに達すると、画面はゆっくりとスタジオの全景を映し出す。中央には、これから始まる奇跡の対談を象徴するかのように、静かに輝くスターゲートが設置されている。内装は、壁面に流れるような巨大な五線譜が描かれ、そこに平和の象徴である白い鳩やオリーブの枝が繊細にあしらわれている。床は磨き上げられた地球を模したデザイン。コの字型に配置されたテーブルは、メタリックな先進性と木の温もりが調和した独特の質感を放っている。背景には「歴史バトルロワイヤル」の番組ロゴが掲げられている。)
(テーマ曲がフェードアウトし、スタジオ中央に柔らかなスポットライトが当たる。そこに、司会者のあすかが静かに立っている。彼女は白を基調とした、流れるようなシルエットのドレスを身にまとい、胸元には小さな鳩のブローチ、髪には音符をかたどった繊細な飾りが輝いている。手には古代の石板のようでもあり、最新のデバイスのようでもある不思議なタブレット「クロノス」を抱えている。)
あすか:「こんばんは。『歴史バトルロワイヤル』へ、ようこそいらっしゃいました。」(カメラに向かって優雅に一礼する)
「私は本日、時空を超えた物語の声を聞き、皆さまにお届けする案内人、あすかと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
(にっこりと微笑むと、スタジオ全体を見渡し、クロノスに目を落とす)
「今宵、この特別な場所に、音楽という名の魔法で世界を揺るがし、数えきれない魂に深く、そして鮮烈な影響を与えてこられた伝説のメガヒットメーカーたちをお招きいたしました。」
「彼らと共に探求するテーマは…『音楽は世界に愛と平和をもたらすか?』。それは、時に素朴で、時にあまりにも壮大で…しかし、この混迷の時代だからこそ、私たち一人ひとりが改めて心に問いかけるべき、魂のテーマです。」
(あすかは少し間を置き、決意を秘めた表情でクロノスをそっと操作する)
「それでは、早速、時空の扉を開き、今宵の主役であるレジェンドたちをお迎えいたしましょう。クロノス、お願い。」
(あすかがクロノスに指を滑らせると、スタジオの一角に設置されたスターゲートが「ウィーン…」という神秘的な音と共に起動し、眩い光を放ち始める。光の渦が安定すると、ゲートの向こう側が時空のトンネルのように揺らめく。)
あすか:「さあ、最初のお客様が到着されたようです。彼がステージに立てば、世界が揺れる。その歌声とパフォーマンスで、人種の壁も、国境線も軽々と飛び越え、愛と希望、そして子供たちの未来への祈りを叫び続けた永遠のキング・オブ・ポップ!ご紹介しましょう、マイケル・ジャクソンさんです!」
(スターゲートから、眩い光と共にマイケル・ジャクソンが姿を現す。スパンコールが散りばめられた黒のジャケットに、白いグローブ。少し緊張した面持ちだが、その瞳には好奇心と純粋な輝きが宿っている。彼は軽くムーンウォークのようなステップを踏みながらゲートを抜け、スタジオの雰囲気に驚いたように周囲を見回し、あすかに向かってはにかむように小さく頷く。そして、指定された席へと、まるでステージを歩むかのように軽やかに進む。)
マイケル:(小声で)「…Hello.ここは…すごい場所だね。」(席に着き、少し落ち着かない様子で手袋を触る)
あすか:(温かい微笑みでマイケルを見守りながら)「マイケルさん、ようこそお越しくださいました。…続いてのお客様です。その鋭くも優しい眼差しで社会を見つめ、シンプルながら心に深く突き刺さるメロディとリリックで、愛と平和の本質を問い続け、一つの時代を創り上げた伝説のロックスター!ジョン・レノンさん、どうぞ!」
(スターゲートから、ジョン・レノンが少し気だるそうな、しかしどこか挑戦的な雰囲気で登場する。トレードマークの丸眼鏡の奥の瞳は鋭く、白いシャツにジーンズというラフなスタイル。彼はゲートから出ると、肩を軽くすくめ、スタジオを面白そうに見渡し、あすかに片手をひらりと振って応える。そして、少し猫背気味に、しかし確かな足取りで席に向かう。)
ジョン:「やあ。なかなかサイケデリックなご招待じゃないか。愛と平和ね…そいつは俺の得意分野でもあるし、一番厄介なテーマでもあるな。」(ニヤリと笑い、席にどっかりと腰を下ろす)
あすか:(ジョンの言葉に微笑み返し)「ジョンさん、ありがとうございます。…さあ、三人目のお客様をお迎えしましょう。カリブの太陽と大地のリズムをその身に宿し、レゲエという魂の音楽に乗せて、抑圧からの解放と精神の自由、そして『ワン・ラブ』のメッセージを世界に届けた、ジャマイカが生んだ精神的指導者であり、偉大なるシンガー!ボブ・マーリーさんです!」
(スターゲートから、ボブ・マーリーがゆったりとした足取りで現れる。ラスタカラーを編み込んだドレッドロックスが揺れ、デニムのシャツからは自由な魂のオーラが放たれている。彼の表情は穏やかだが、その瞳の奥には燃えるような情熱と深い叡智が感じられる。スタジオに入ると、彼は胸の前で軽く手を合わせ、周囲に漂う空気を感じるように深呼吸し、ゆっくりと席に着く。)
ボブ:「Greetings.JahRastafari.(ヤー、ラスタファーライ)この場所に呼ばれたのも、きっとジャー(神)の導きだろう。愛と平和…そいつは俺たちの永遠の戦いだ。」(深く頷き、落ち着いた様子で周りを見渡す)
あすか:(ボブの言葉に敬意を込めて頷き)「ボブさん、そのお言葉、胸に刻みます。…そして、今宵最後にお迎えするお客様です。クラシックの殿堂から電子の荒野まで、そして映画という総合芸術の世界まで、その類まれなる知性と美的センスでジャンルの境界線を融解させ、常に新しい音の地平を切り拓き、音楽を通じて社会と、そして人間存在そのものと静かに対話し続けた孤高の探求者!坂本龍一さん、どうぞ!」
(スターゲートから、坂本龍一が静謐な雰囲気の中に強い意志を湛えて登場する。黒を基調としたミニマルながらも洗練されたデザインのジャケットをまとい、その佇まいは知的でクール。彼はゲートを抜けると、まずスタジオ全体を冷静に見渡し、次にあすかに向かって丁寧にお辞儀をする。そして、無駄のない動きで指定された席に着き、背筋を伸ばす。)
坂本:「どうも。このような不思議な集まりにお招きいただき、光栄です。非常に興味深いテーマですね。」(落ち着いたトーンで語り、他のメンバーを静かに観察する)
(四人のレジェンドがコの字型のテーブルに着席し、スタジオには一種荘厳でありながらも、これから何かが始まるという期待感に満ちた空気が漂う。あすかは、ゆっくりと全員の顔を見渡し、クロノスをそっとテーブルに置く。)
あすか:「マイケルさん、ジョンさん、ボブさん、そして坂本さん。今宵は、時空を超えたこの『歴史バトルロワイヤル』のスタジオにお集まりいただき、心より感謝申し上げます。」(改めて深く一礼する)
「先ほども申し上げましたが、今宵皆さまと共に語り合いたいテーマは、『音楽は世界に愛と平和をもたらすか?』です。」
(あすかは、一呼吸置き、真摯な眼差しで問いかける)
「この壮大で、そしてあまりにも人間的な問いかけを、皆さまは今、この瞬間、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか?音楽家として、表現者として、そして一人の人間として…。まずは率直な第一印象や、このテーマに対する皆さまの基本的なスタンスをお聞かせ願えますでしょうか。それでは、キング・オブ・ポップ、マイケルさんからお願いできますでしょうか。」
マイケル:(少し緊張した面持ちで、しかし瞳を輝かせながら)「…うん。音楽は…僕にとっては、愛そのものだから。世界中の子供たちが笑顔になれるように、傷ついた心が少しでも癒されるように…そう願って、僕は歌ってきたんだ。だから…音楽はきっと、愛と平和をもたらす力があると信じたい。信じているよ。」(胸に手を当て、真摯に語る)
ジョン:(腕を組み、少し斜に構えながらも、マイケルの言葉に小さく頷き)「信じたい、ね。気持ちはわかるよ、マイケル。俺もヨーコと『ベッド・イン』をやったり、『イマジン』を歌ったりしてきたわけだからな。音楽が人を動かす力があるのは間違いない。ただ、それが本当に“世界”を変えるほどの平和に繋がるのかどうか…そいつは、そう単純な話じゃないぜ、きっと。」(指で眼鏡を少し押し上げる)
ボブ:(ジョンの言葉を受け、静かに、しかし力強く)「音楽は魂の言葉だ。言葉が通じなくても、肌の色が違っても、音楽は魂と魂を繋ぐことができる。俺たちの音楽、レゲエは、抑圧された人々の叫びであり、祈りであり、そして戦うための武器でもあった。愛と平和は、ただ願うだけじゃ手に入らない。音楽はそのための力を人々に与えるんだと、俺は信じているよ、ヤーマン。」(拳を軽く握り、胸に当てる)
坂本:(皆の言葉を静かに聞き、少し間を置いてから、落ち着いた口調で)「非常に…重いテーマですね。音楽が人間の感情に深く作用することは、論を俟ちません。喜びも、悲しみも、怒りも増幅させ、共有させる力がある。そして、その感情の共有が、時に人々を融和させ、平和的な連帯感を生むこともあるでしょう。しかし、ジョンさんがおっしゃるように、それが恒久的な世界の平和に直結するかは…慎重に考えなければならない。音楽は、その使われ方によっては、逆の作用ももたらし得ますから。」(冷静に分析しつつ、他のメンバーの顔を見渡す)
あすか:「マイケルさん、ジョンさん、ボブさん、坂本さん、ありがとうございます。テーマに対する皆さまの熱い想い、そして多様な視点、確かに受け止めさせていただきました。まさにこれから始まる議論への期待が、このスタジオに満ち溢れてきたように感じます。」
(あすかはにっこりと微笑み、クロノスを手に取る)
「それでは、魂のメガヒットメーカーズ会議、最初のラウンドへと進んでまいりましょう。」