スキル『元カノ』発動。
スキル『元カノ』を発動します。
「え?」
頭の中で声が聞こえた。
「……ま、あなたに今さら裸を見られたところで恥ずかしくもないか」
シルフィード様はそう発言をして、全裸のまま両手に小剣を握りダンジョンへと足を進める。
「し、シルフィード様!!僕たち出会ったばかりですぅ~」
僕は全裸のシルフィード様のあとを追った。
僕もすっかり忘れていたスキル『元カノ』
10歳の時に全員が授かる女神様からの恩恵『スキル』
僕が授かったのは意味不明な『元カノ』というスキルだった。
当時は未知のスキルと囃し立てられ、国の偉い魔術師が調べにもきたが、剣術ダメ、魔術ダメ、おまけに生活魔法を扱えなかった僕に呆れてゴミスキル認定をされたから僕もスキルのことは忘れていた。
「もう、ミズキ歩くの遅い!手を繋がないと歩くの遅いところ変わってないんだから」
シルフィード様は僕の手を取る。
今日、出会ったばかりのシルフィード様が全裸で僕の手を引く。しかし、僕はモジモジしてうまく歩くことができない。
「もう、ミズキったらこんなとこでオッキしちゃったの?しかたないわね……」
シルフィード様は股間を隠している僕の両手を振り払うと、勢いよくズボンをずり下ろす。
「し、シルフィード様!?」
「ミズキはかわいい顔して、相変わらずそこだけはオーク並ね……。また、昔のように口でしてあげるわ。感謝しなさい」
「え!?え!?え――!!?」
僕はパニックになり体が硬直し、シルフィード様にされるがまま身を委ねた。
「んく……んく……んっ、飲み込めたわ。さ、行くわよ」
シルフィード様は喉をゴクンと鳴らし、立ち上がるとダンジョンの奥へと歩みを進めた。
「は、はひ…………」
僕は気の抜けた返事をしながらヘコヘコと後を追った……。
<つづく>