超法規委員会
「あの、その超法規委員会ってのは何なんですか?」
名前の意味が分からず思わず聞いてしまった。
学園の秩序どうこう言われても、いまいちピンとこない。
詳細な説明が欲しいところだ。
「ん?ああ、んーと………」
視線を上の方へと向けて頭を掻き、先生はどうやって答えればいいのか絞り出すようにして考えていた。
「この学園は最早、小国と言っても過言ではない。部活や委員会や個人が学園内において権力だったり何だったり、色々力を持ち過ぎて暴走したりする事がある。そういう事態に対して超法規、校則を超えて事態に対応できる組織って事だ」
なるほど、分かりやすい。
要は第三者委員会的な事なのだろう。
まあこれだけの規模の学園なのだから、こういう組織があっても不思議ではない。
その組織に私が選ばれた理由はよく分からないが。
「で?俺たち3人がその何とか同好会として学園を監査すればいいのか?」
私が先生の話を咀嚼している間に男の子が言った。
「その通りだよ。岩沢。活動期間は卒業までの3年間。うちの大学にくるならプラス4年だけど、取り敢えずは3年間やってもらうことになる」
「おれがそれをやるメリットはあんの?」
「特にないね」
ないのか!?
先生は腕を広げて手放しで言う。
学園の監査など忙し過ぎるだろう。メリット、報酬無しでやる様なものではないはずだ。
ただ………
「君らはやるだろう?」
何でも見通しているかのような目。
学園入学にあたってそれぞれの事を調べてはいるはずだ。
それ故に私が断らないことを分かっているのだろう。
多分この2人も私と同じように断らない。
そんな雰囲気が見て取れた。
「いいね、面白そう。やらせて貰おうじゃない!」
先程まで布団の上に寝転がって漫画を読んでいた赤髪の少女はいつの間にか立ち上がって、私の横で仁王立ちしていた。
寝転がっていたから分からなかったけど、横に立たれると分かる。
滅茶苦茶スタイルが良いッ!
岩沢くん?も死ぬほどスタイルが良いけど、この子も負けず劣らず完璧な肢体をしている。
2人とも手足が長く、制服というシンプルな服装が途轍もなくお洒落なものに見えてくる。
うわぁ、この2人と同じ委員会で動くことになると考えると複雑だ。
近くで美男美女が見れて幸せだけど、その度に自分との差に打ちのめされそうである。
「じゃあ茅原。お前が委員長って事でいいか?」
「無問題」
「そうか!なら、あとは任せたぞ!」
先生はそう言って走って教室を出ていった。
もう一刻も早く帰りたいといった様子で走って出ていった。
もしかすると入学式で何か仕事があったのかもしれない。
入学式?
そういえば今日は入学式だった。
そういえば私は新入生だった。
『これにて私立蒼林学園の入学式を終了いたします』
え?
「あっ、入学式終わったな」
故郷のお母さん。
元気ですか?
私はどうやら入学早々、式典をサボるような悪い子になってしまったようです。