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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第3章 ナマク村

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ex.4

第3章は完結です。

第4章は2/20(日)、21時に更新します。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


感想、レビュー、ブクマ、評価など、お待ちしております。

 エルフィン王国に位置する、とある場所にて。


「しかし、なにもここまでする必要があるのか?」


 そう尋ねたのはスーツ姿の女性だった。

 赤いネクタイを締めた姿はさながら要人の護衛を務めているかのような雰囲気を醸し出している。

 矢筒と共に弓を背負い、黒の髪をひとくくりにまとめている。


「目的地は秘匿されてるからな。少し前の国王と盟約を結んでから交流が再開されたが、いまだに部外者には厳しいんだよ」


 その横を歩いているのは黒ぶちのある灰色の髪をした男性だった。

 名はザハ。

 作務衣のような独創的な服装に加え、腰に下げている剣もまた独特な装飾が施されている。


 双方共に耳に水色の宝石のピアスをしており、その正体を知るものからすれば目を疑う光景に見えるだろう。

 それほどまで彼らはこの世界で有名人だった。


「分からなくはないが、貴様が言えば問題ないんじゃないか?」

「それはそれ、これはこれだ。メツバのこと知らない以上、礼儀は弁える必要があるだろ?」


 彼らが歩いている森は決して平坦と言える代物ではなかった。

 木々は人の背丈を優に超えており、その根っこですら人の背丈の倍以上はある。

 地面から大きく露出しているため、元の地形が全く分からないほどであった。


 倒れた木々が朽ちたのか、あちこちに大きなくぼみができており、小さな水流がさながら河のようになっている。


 二人はそんな地形を物ともせず、散歩にでも来ているかの気軽さで颯爽と歩みを進める。

 彼らからしたらこの程度の地形、障害と言えるほどのものではなかった。


 そうして歩いていると、ぴたりとザハが歩きを止めた。

 メツバはそのことに気が付き、すぐ近くによる。

 ザハは近くの木に触れ、押し込むようにぐっと力を込めた。


 直後、ガラスが割れたような音がした途端、緑色の光がある方向からこちらを照らしている。

 ザハはそれを確認すると、その光が射す方向へと歩き始める。


「なるほどな。こうやって結界を解除するのか」

「そういうこった。因みに結界の要の位置は解除される度に変わるらしい」

「それは便利だ」


 そうしてたどり着いた場所に、小さな集落があった。

 建物の数は十程度で、どれも決して大きいとは言えない代物だった。


 なにより、人の気配がまるでない。

 さながら無人の廃墟のような有様だった。


「面白い。これなら確かに隠すには向いてる」

「だろ?おーい!オレだ!ザハだ!用があって参上した!」


 そう叫ぶと、近くに生えている木の幹の一部がガコンと音を立てる。

 円形の扉のように開いた穴から現れたのは一人の老人だった。

 ただしその顔立ちは、ザハやメツバとは大きく異なる。


「これはこれは、お久しぶりです。ザハ殿」

「急に来て悪いな、爺さん」

「なに、外部との接触を断っているのですから、急になるのは当然のことです」


 すると、あちこちの木々でも同様の音がしたと思うと、ぞろぞろと人が姿を現した。

 彼らは皆一様に耳が尖っており、どこか芸術のような美貌を兼ねている。


 ここはエルフの森。

 彼らははるか昔の戦争の際、多くの同類を迫害され、現在はこの森の中でひっそりと生活している。

 エルフィン王国とは講和を結んでおり、ザハがリーダーを務めている『フェンリル』もいくつかの依頼を受けた過去があった。


 そしてそういった背景があることから、彼らは住居を立てるのではなく、巨大に成長した木々の中に生活拠点を構えているのだ。

 そのため、一目見ると寂しいように映る集落も、実際は木々の中では不向きな作業を行うための場所として用意されたものである。


「で、だ。早速で悪いが、一人雇わせてくれ。報酬はそっちの言い分で構わない」

「ザハ殿の頼みでしたら問題ありませんが、北の国へと向かわれるのですか?」

「いや、そっちじゃなくて和那の国に用事があってな」

「なるほど分かりました。今すぐに同行させますか?」


 そう尋ねられると、ザハは思い出したかのように手を振った。


「あぁ、いやその前にちょいと寄るとこがあってな。そいつとは港で合流にしてくれると助かる」

「了解しました。では、請求は後払いでよろしいでしょうか?」

「問題ないぜ。むしろ助かるくらいだ」


 二人が話をしている間、メツバは周囲を簡単に散策していた。

 あちこちからこちらを見ているが、誰一人として近づこうとしてくる者はいなかった。

 できることなら会話でも、と思っているのに、目が合うとあっという間に逃げ隠れてしまう。


 どことなく寂しそうにしているメツバを、ザハは呆れた様子で眺めていた。


「まったく、どこにいってもアイツはあぁだな」

「あのお方は新しいメンバーですか?」

「いや、同じ八傑の一人だよ。『韋駄天』って言えば分かるか?」

「あぁ!あの『ワルキューレ』の団長ですか。噂通りの美人ですね」

「本人に全く自覚がないってのもある意味迷惑だけどな。おかげでどこ行っても目立つ」


 『韋駄天』のメツバ。

 『闇夜の牛』に所属する『ワルキューレ』の団長であり頭目。


 弓の腕は歴代でもトップレベルであり、その容姿から『歩く女神』ともいわれるほどの有名人。

 そのため男女問わず人気者で、冒険者でなくても姿を知っている者すらいるほどだ。


 打ち立てた功績より容姿の方が有名であり、ザハとは対極にいる人物だ。

 本人はそのことを気にしている様子だが、ザハから言わせれば贅沢極まりない悩みである。


「さて、とりあえずはそんなとこなんだが、アイツはどうした?」


 アイツ、とザハが言うと、その老人は表情を曇らせた。


「相変わらず、と言ったところです。なにせ表立って止めに行くわけにもいきませんので」

「そっか。まぁ、そりゃそうだわな…………」


 その返事を聞いたザハは、何かを思案するかのように顎に手を当てた。

 数秒後、顔を上げたザハは老人に向けてこう告げる。


「一つ、いいことを思いついたんだが」

「いいこと、ですか?」


 してやったりといった表情を受けべるザハは、そのいいことを説明していく。

 それを遠目で見ていたメツバは、どこぞの悪代官のようだな、と他人事のように思うのだった。

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墜星のイデア ~生まれついて才能がないと知っている少女は、例え禁忌を冒しても理想を諦められない~
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