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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第3章 ナマク村

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21

 同時刻。

 ナマク村にて。


「あの、本当によろしかったのでしょうか?仕事を頂けるだけでも有難いのに、更に泊めて頂けるなんて…………」

「いいのいいの!ベットは余ってるし、それにシェルア一人を数日泊めるくらい大したことないよ」


 既に太陽が殆ど沈んだころに、シェルアの初めての仕事は終わりを迎えていた。


 レストランは未だに営業を続けているが、夜に働く人が他にいるためこの時間での終了となる。

 料理人などは継続して働くらしく、退勤する際も忙しそうに働いていた。


 本来であれば村にある小さな宿で宿泊をするようリーゼが手筈を整えていたが、一人で外泊させるのが不安ということで、ライナが自分の部屋に泊まることを提案したのだ。


 金銭という面ではまだ余裕はあるものの、節約できるのであればするに越したことはない。

 なにより、一人きりで寝ることが生まれて初めてのことで、ほんの少しだけ不安だったのは本人だけの秘密だった。


「ここが私の部屋。そんなに広くないけど勘弁してね」


 そう言って案内されたのはギルド支部の建物の一室だった。


 どうやら従業員が居住空間を併設しているらしい。

 部屋にはクローゼットと机、それとベットが二つずつ、鏡合わせのように配置されていた。


「思ってたより、簡素なんですね…………」


 恐る恐る中に入り、第一印象をそのまま口にしていた。

 シェルアの部屋には大量の本が散乱していたし、あれだけの制服を収集している割に部屋に物が少ない。。


 なにより、リーゼが整えていた花瓶や絵画といった類がないのも大きいだろう。

 それが一般的な部屋ではないことをシェルアは知らないだけではあるが。


「制服選んでもらった部屋を勝手に使ってて、私物はそこにあるんだ。部屋にごちゃごちゃ物があるのってなんか嫌なんだよね」


 因みに、ここの支部長には後出しで許可を得ている。

 勝手に部屋を使っていることを知られるも、その物の多さに支部長の心が折れた、というのがおおまかな流れであった。


「さ、遠慮しないで座って座って。元々は私のお姉ちゃんが使ってたものなんだけど、結構いいやつだから」


 入って左手のベットに腰かけたライナは、ポンポンとベットを叩くと座るよう指示した。

 シェルアは予約していた宿から持ってきた荷物を床に置くと、静かにベットに座る。


「お姉様は、今どちらに?」

「別の支部で受付してるよ。多分そのうち会えるんじゃない?」


 『明星の狼』の支部はそれなりの数が存在する。

 その全てに行くことは中々ないと思うが、ライナの姉であれば会ってみたいと思った。


「それで、初めての労働はどうだった?」


 そう聞かれ、今日のことを思い浮かべると、自然と微笑んでいた。


「なんていうか、とても楽しかったです。皆さん非常に優しくて、分からないところも丁寧に教えてくださって」

「いいなー、私も働きだしたばっかりのときはそんなこと思ってたなー。今じゃ早く終われーって思ってるけど」

「そうなんですか!?とてもそんな風には見えませんでしたが」


 驚いた様子でシェルアが尋ねると、片手をヒラヒラと振ると、


「そりゃやりたい仕事だったけど、仕事の内容は全部地味だしね。文句言われることも多いし、ギルドの職員だからって好きに冒険できるわけでも、目新しいことが起きるわけでもないし」


 慣れない仕事を必死にこなしながらも、ふとした瞬間にライナを見ていたシェルアにとっては結構な驚きであった。


 少なくとも、彼女の働く姿は心底楽しそうに見えるものであったからだ。

 そういうものなのか、とシェルアは考えると。


「ところで、あの人はどうだった?」


 なにやら隠し事を話すかのように声のトーンを落とすライナに対し、シェルアもつられて声のトーンを落とした。


「一日中ずっと寝てました。あれでは話ができるとは思えません」

「だよねー。私もできるだけ見てたんだけど、ずっとあの席で寝てるんだもん。前見た時はお酒呑んでた気がしたんだけどなぁ…………」


 不思議そうに首をかしげるライナを見て、シェルアも少しだけ気にはなっていた。


 シャグラさんといえば、確かよく酒を呑んでいたような気がする。

 それでも業務には一切の支障をきたしていないのだと、小さい頃彼の部下らしき大人に言われたのだけはよく覚えている。


 当時は大人は凄いのだと感心していたが、よく考えればそんな彼が常に泥酔していることがあるのだろうか。


「まぁ、まだ一日目だしね。これからチャンスがあるかもしれないし」


 ライナが明るく言うと、シェルアもまた笑顔で頷き返すのだった。

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