表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第1章 始まりの森

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/1176

25

「…………はー」


 六畳余りの部屋に、深いため息をつく少年がいた。


 ベットの上で大層座りをする少年は何度もため息を繰り返していた。

 ひときわ目を引くアフロ頭は顔面の倍くらいの大きさもあるため、膝に顔を埋めているのか、押し付けているのかまるで見当がつかない。


 少年の全身に包帯が巻かれている。

 肌がほとんど見えないことから、傷の多さがよくわかる。


 実際問題、少年はかなりの重症だった。

 常人であれば十回以上は死んでいてもおかしくない状況を乗り越えて、今ここにいる。


 だが、


「俺、完全にやっちまったよな」


 この少年はとあるお姫様の従者として働いている。

 それなのに、咄嗟にため口で話しかけ、名前を呼び捨てで連呼してしまったのだ。


 更に、なんか色々恥ずかしいことを連呼した気がするし、挙句の果てに魔獣を倒してもらった後、そのまま気絶し現在に至る。


 もうなんというか、全体的に封印しておきたい印象しかない。


「良くて追放、悪くて処刑ってとこか…………」


 いや、確かに非常事態だったし、それなりに活躍できたとも思う。

 ため口だって、そもそもは彼女からの提案だ。

 であれば従わない選択肢はない。


 だが、問題はもう一人のほうだった。

 あの冷酷無比のメイドは確実に許すはずがないだろう。

 なにより、ここに来るまでの記憶がまるでない。


 記憶喪失が更に記憶を失うとかよくわからない文章だが、どうして自室の、ベットの上で寝ているのかまるで分からない。

 しかも服には血の痕跡のかけらもなく、包帯を自分で巻いた覚えはない。


 いくらなんでもこれをシェルアにやらせるとは到底思えない。

 つまり例の、あの冷酷非情なメイドがやったことになる。


 要するに迷惑をかけた上に、更に世話になったのだ。

 どんな処罰が下されても何も言えないだろう。


 そうこう怯えていると、ガチャリと部屋のドアが開いた。

 ビクリと体を揺らし、恐る恐る振り返ると例のメイド姿の女性、リーゼが立っていた。


「ようやく起きましたか。まったく、随分と手間をかけさせますね」


 手にはスープとパン、それと水の入った容器とコップがあった。

 どうやら食事を運んできてくれたらしい。

 普通ならば感謝する場面だが、先ほどの妄想があったからかそれが最後の晩餐にしか見えなかった。


「どうして私を見て怯えているのか分かりませんが、特にあなたを責めるつもりはありませんよ」

「…………え?」


 思わずそう聞き返すと、リーゼは心底あきれた様子で口を開く。


「あれだけの状況であれば、おおよその検討はつきます。それこそお嬢様の命の恩人であるあなたに対し、感謝以外の言葉があるのですか?」

「…………」


 やばい。なんだろうこのこの気持ち。

 胸がきゅっと締まりながらも、無性に暖かくて、目頭が熱くなっていく。

 あかん。これは我慢できないやつだ。


「まったく、その自己評価の低さはお嬢様とそっくりですね。私はそれほどまでに冷たい人間だと思うのですか?」


 呆れつつ、小さく笑みを浮かべるリーゼは、ひとまずこれをと食事をベットの近くの机になった。

 その机は片方に足がなく、自由に動かせるため、寝たまま食事ができるように工夫されていた。


「あの、その…………ありがとうございます」

「こちらこそです」


 短く言葉を交わし、サトーは勢いよく食事を食べ始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

☆☆☆現在更新中の作品はこちら☆☆☆
墜星のイデア ~生まれついて才能がないと知っている少女は、例え禁忌を冒しても理想を諦められない~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ