表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第6章 回廊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/1176

4

「で、どうなの実際?」


 干し草の上で休憩していたヴァンは、その真下から声をかけられた。


「何がだよ?」

「手、貸してくれる?アタシも座ってみたい」


 真っすぐに手を伸ばすエティを見て、ヴァンはため息をついたまま風で上まで運んだ。


「ありがと。アンタの権能、ホントに便利よね」

「まァな」


 ヴァンにとって、彼女はなんともやりにくい相手だった。

 リーゼとは好き勝手言えるし、師匠やシェルアともそれなりに腹を割って話せていると思う。

 シャグラはあんな性格だから、これでもまだいい方なんだと思っている。


 問題は、エティとの接し方だった。

 最初、気の強さからそれに負けないようにと張り合ってみたのだが、蓋を開ければただの強がりだった。

 本当は弱くて、必死に自分を大きく見せようとする姿は、なんていうか、サトーらと出会う前の自分と似ている気がするのだ。


 エティはちょこんと座りこむと、おもむろにこう尋ねた。


「で、どうなの実際?」

「…………何がだよ?」


 何を言いたのかまるで分からず、苛立ちながらそう尋ねてしまう。

 エティは気にする素振りを見せることなく、再度こう聞いてきた。


「だから、サトーとシェルアの事よ。シャグラに聞いてもはぐらかされるし、リーゼはなんだか聞きにくいし…………」

「んで、オレのとこに来たってか」

「そういうこと。で、ヴァンはどう思う?」


 目を輝かせながら、何かを期待しているようにヴァンの方を見つめている。


 これはいわゆる、恋の話とやらだろうか。

 男なら一切関係のない話だろうと思っていたのだが、機会は思ってたよりもずっと容易くくるらしい。

 だからといって、特に何も思うことはないが。


 で、だ。

 ここで適当に返事をすればエティが暴れる可能性がある。

 オレが最後ということは、それなりに期待してるのか、他に当てがないのだろう。

 じゃなければ、わざわざヴァンのところに来ないはずだ。


(クソ面倒だな…………)


 そうは思うが、退散したところで余計に面倒なことになるのは確かだった。

 なにより、変にはぐらかして話が拗れるのは望むところではない。 


「…………そうだなァ」


 ヴァンはそう呟くと、胡坐をかいたまま頬杖をついた。


「師匠はまァ、いい人だよなァ」


 なんでかは知らないが、一人で牧場の中を黙々と歩いている。


 羊に不審そうに近づかれている姿は、そんなに凄い人なのか不安に思われるだろう。

 だけど、土壇場の強さと判断の早さはこの中でも群を抜いている。

 戦闘能力が低いというのもあるかもしれないが、それを差し引いても咄嗟の判断は目を見張るものがあるし、尊敬している点の一つだ。


「んで、シェルアさんもお姫様だとは思えねェくれェいい人だよなァ」


 なんか一人でジタバタしているが、あれでも一国のお姫様なのだから間違いなく普通ではない。

 最初見た時、どこのお金持ちかと思ったが、流石にお姫様だとは思えなかった。

 正直、親しみやす過ぎるからか、今でもあまり思えていない。


「で?どうなのよ?」

「んー…………」


 仲はいいだろう。

 ここに来る間も一緒に行動していたのだから、険悪な関係ではないはずだ。


 だけど、だからと言ってあの二人が恋仲だとは、あまり思えなかった。

 距離が近すぎるとか、仲が良すぎるとか、理由は色々ある。

 でも、実際のところ、言えることは一つだった。


「なーんか、そんな感じがしないんだよなァ…………」

「はぁ?なにそれどういうこと?」


 エティが不思議そうにそう言うが、はっきり言ってそうだとしか言えないのだ。


 恋仲。

 恋人。

 夫婦。


 自分がそういうのとは無縁だからなのかもしれないが、彼らの関係がそういう方向に進んでいくイメージがまるでしないのだ。

 もしくは、自分の中にそういうイメージがないのか。


「……………………答える方が面倒だわ」

「あ!ちょっと!」


 エティの制止を無視して、ヴァンはひらりとその場を後にする。

 自力で降りることができず、半泣きのエティがいじけていることに気付くのは、それから少し後のことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

☆☆☆現在更新中の作品はこちら☆☆☆
墜星のイデア ~生まれついて才能がないと知っている少女は、例え禁忌を冒しても理想を諦められない~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ