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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第1章 始まりの森

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 幼い頃の記憶は、あまりない。


 父の顔も母の顔も、思い出そうとするとどこかぼんやりとした印象でしかなくなる。


 ただ、毎晩髪を梳いてくれたこと。

 その度に「綺麗だね」と言われたことはよく覚えている。


 その記憶だけが、両親とのたった一つの繋がりで。

 今でも夢に見るたびに、枕が少しだけ濡れていた。


「仕方ない」

 

 リーゼとは、初めての友達で、昔はとてもやんちゃだった。

 二人で王宮を探検して、怒られて。

 その時に他に姉妹がいると聞かされた。


 会ったことはそれほどない。

 恐らく、向こうもかなり小さいころだ。

 私は覚えていても、向こうが覚えているとは思えない。


 そして気が付けば、リーゼは私に対して敬語を使うようになっていた。

 立場上仕方ないとはいえ、一番の友達であったリーゼにそういった態度を取られるのは少しだけ寂しかった。


「仕方ない」


 私は私にそう言い聞かせるように、心の中でそう唱えた。


 そして、私はリーゼと二人で、この森の館に来ることになったのだった。

 不要な存在なのだと、幼いながらそう思った。


 自分の故郷がなくなったのは、なんとなく察していた。

 それくらいのことがなければ、母が私を迎えに来なくなることなんてないはずだから。

 父が私を迎えに来ないはずがないから。


「仕方ない」


 だから、そう思うことにした。


 誰かが悪いわけでもない。

 ただ、条件が悪かったのだと。

 時期が悪かったのだと。

 運が悪かったのだと。


「仕方、ないよね」


 同じように、何度も何度もそう思った。


 そうして月日が流れた。

 背丈は大きくなっても、置かれた状況は変わらなかった。


「仕方ない」


「仕方ない」


 だってしょうがないのだ。


 家族が何か悪いことをしたわけでもない。


 私の知らないところで何かが起きて、私には何も教えてくれなくて。


 唯一の親友とは会話が減って。


 誰とも会うことなく、ただ一人部屋で本を読むだけで一日が終わる。


「仕方ない」


 私のせいなのだ。

 

 私が関わったから、みんなが可哀想な目に遭う。


 私と関わったから、みんなの人生が滅茶苦茶になる。


 だから、これは正しいことなのだ。


 誰も不幸にしない、みんなを幸せにすること。


 だから。


「仕方ない」


「仕方ない」


「仕方ない」


 繰り返し。

 繰り返し。

 繰り返し。


 唇が切れるほどに、その言葉を繰り返すのだった。

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