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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第5章 白日の虎

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16

「…………それにしても」


 言葉を探していた三人に変わって、シャグラが口を開いた。


「随分親切だねぇ。わざわざ丁寧に説明してくれるなんて、なにか目的でもあるのかい?」


 シャグラが勝手に持ってきた水を飲みながらそう尋ねた。

 てか当たり前のように飲んでいるが、遠慮するという選択肢はないのだろうか。

 なんなら衛生的に危ないとすら思うのだが、元騎士にもなれば毒味の一つや二つくらい簡単にできるのかもしれない。


 同じことをエティも思っていたのか、少しだけ驚いた様子の後で、こう答えた。


「そりゃ、仲間にしろって頼んでるわけだしね。下手なことされて注目されたくないし、あなたたちに危険が及ぶってこと、アタシにも危険が迫ることだし」

「確かにその通りだねぇ」


 初対面の段階で相当に目立っていた気がするがあれは違うのだろうか。


 そんなことを想いつつ、ふとシェルアを見ると、明らかに心ここにあらずの状態だった。

 完全に上の空というか、完全に話を聞いていなかった。


「シェルア、大丈夫か?」

「…………え、あ、うん!平気!ただ、ちょっとリーゼが心配なだけ」

「…………だよなァ」


 頭の後ろで手を組んだヴァンが同調する。


 サトーも、はっきり言ってしまえば今すぐにでも探しに行きたいのだが、シェルアの意見はそうではなかった。

 だからこそ、それを尊重しようと一度は考えたのだが。


(やっぱすぐにでも探すべきだったかもな)


 得られた情報と釣り合う訳がない。

 そんな当然のことに気が回っていなかったサトーは、少し間を置いてからこう提案する。


「探しに行くか?」

「それは構わないけど、ここって結構裏道あるわよ?」


 何も気なしにエティはそう言うと、カーテンが閉じられている窓の方を見る。


「ここだってそう。街で売ってる地図は種類によって内容が違うくらいだし」

「なんだってそんなことになるんだよ」

「この街、かなり古いからギルドも把握してない道とか普通にあるのよ。アタシもそれなりにここに住んでるけど、それでも知らないところの方が多いだろうし。探すってのは、アタシ的にはちょっと勧められないかな」


 そうなってくると、ますます探すのは現実的ではなくなる。


(つーか、なんで急にいなくなったんだよ)


 むしろ迷子になった人を探すのがリーゼの役目で、鉄面皮で無言のブローを叩きつけるのがリーゼらしいとすら思う。

 そこまで考えて、サトーはあることに気づいた。


(そういや、リーゼにどつかれてないな。別にどつかれたいとは思わないけど)


 リーゼはコミュニケーションの一つに、ちょっとした暴力を使ってくる。

 正確にいえばサトーにだけ拳を振るうのだが、ちょうどエルフの里を出てから一度たりともなかった。


(野営の時とか、結構タイミングあったと思うけど)


 そんなことを考えていると、不意にシャグラがこう提案した。


「とりあえず詳しいことは分かったし、ここは一旦ダンジョンに行くってのはどうかなぁ?」

「リーゼ無しでってことか?」


 サトーの問いに、シャグラは頷き肯定する。


「兎にも角にも、このままここにいても状況は変わらないどころか、むしろ悪化するかもしれないからねぇ。さっきシェルアちゃんが言ったけど、ギルドの本部はお互いの共通目標ではあるし、人を探すなら目撃者が多い方がいいだろうし」

「まぁ、確かにそれはそうかもしれねェっすけど…………」


 ヴァンは口を濁らせながら、ちらりとシェルアの方を見る。

 それに気づいたシェルアは体の前で握り拳を作ると。


「私は大丈夫。リーゼならきっと何も問題ないと思うから」


 健気、という言葉以外で表せない姿に、流石のサトーも涙腺にくるものがあった。

 初めて出会った時は、どこか憂いを帯びている姿だったのに、いつの間にか大人になっている。

 親のような心境だが、だとしても嬉しいものは嬉しかった。


「アタシとしては助かるわ。じゃんじゃん稼ぎたいし」

「随分と欲求に素直なことで…………」


 会ってまだ一日も経ってないのに、この図々しい感じは流石としか言えなかった。

 きっと、誰に対しても同じなのだろう。

 その自分に正直なところは羨ましいと感じた。


「…………いや、意外と素直かもな」

「ん?どうかしたんすか、師匠?」


 気が付けばヴァンを除いて外に移動していたらしい。

 ブツブツと呟いているサトーに気が付いたらしく、心配して声をかけてくれたようだった。


「先行ってますよ?」

「あ、うん、悪い。今行くわ」


 サトーは慌ててヴァンの後に続いた。

 何かが背中に引っかかったような気がして、サトーは後ろを振り向く。


「…………?」

「なんかあります?」

「や、気のせいっぽいわ」


 適当に返事をして、サトーは先を歩くシェルア達の元を急ぐ。

 その背後に銀髪の女性がいることに、サトー達は気が付かなかったのだった。

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