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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第4章 エルフの里

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18

「────ん?」

「どうかしたのか?」


 その思いは感じた気配で遮断される。

 直後、里の方で大きな悲鳴が聞こえた。


 サトーは近くに立てかけた盾を背負い、その間にヴァンは里へと跳んでいってしまう。

 数秒後、目の前にあったのは惨劇だった。


「んだ、これ…………」


 魔獣。


 それもかなりの数だ。

 至る所にそれは群れ、中には空を滑空するものまでいる。


 狙いは、里の人間だ。


(結界を破られた?この短期間に二度もか?それに、里の連中があれだけの数の魔獣の接近に気づかねェなんてことあんのか?そうじゃねェなら、魔獣どもはどっから)


「なにがどうなって……」

「おらぁぁぁぁぁあああああ!」


 すぐ真下で怒声が聞こえると、少しの距離を吹き飛ばされる魔獣が見えた。


 そこにいたのはサトーだった。

 地面を駆けてなんとか追いついた彼は、ヴァンの真下辺りで襲われていた里の人を庇うと、持った盾で殴り飛ばしたのだ。

 決して勢いのあるとは言えない攻撃だったが、それでも盾の重みのおかげが吹き飛ばすのには十分だった。


「ヴァン!他の人を頼む!」

「──────分かってる!」


 動けなかった。

 そう理解した直後、怒りと共に里にいるほとんどの魔獣を風で斬り倒した。

 魔獣は躱すこともできず、塵となって消えていく。


 だが、木々の間を縫うようにしてまた新たな魔獣の群れと、燃え盛る火の壁が遠くに見えた。


「なんじゃありゃ!?」

「逃がさねェ、ってか…………」


 意識を広げると、炎は森を囲ように広がっていた。

 確実に誰かが意図的に火を放ち、魔獣に里を襲わせているのだ。


 魔獣の数は先ほどと同等程度いたが、森にはその数倍はいた。

 しかもどこからか補充されているのか、あちこちで新たな魔獣が現れている。


 魔獣一体一体は大したことないものの、根本を叩かないとキリがない。

 ジリ貧の状態だった。


「とりあえず、ここはなんとかするよ」


 声がした直後、数体の魔獣が塵となって消えた。

 いたのは剣を構えたシャグラの姿だった。


 いつの間に用意していたのか、戦闘用の鎧を身に着けている。


「ヴァンは親玉のとこに行って。サトーはオジサンと一緒にここの対応」

「てかリーゼは!?」

「シェルアのとこ。まだ寝てるし、護衛が必要だからね」


 二人は話しながら、魔獣の群れと戦いながらお互いの距離を縮めた。

 それを見たヴァンは目を閉じ、全神経を風に傾ける。


「──────見つけた」


 十数キロ先、小高い丘の上に誰かがいる。


 数は二人。

 大柄の男と小柄の人物だ。

 感覚のせいか、小柄の方は性別が分からない。。


 小柄の方が何か話していて、右手で魔術陣を操作しているらしい。

 風が触れた魔術陣は、まるで見覚えのないものだった。

 

 少なくとも、凡庸的なものではない。

 オリジナルかそれに近い魔術だろうか。


「十数キロ先に二人いた!多分だが、魔獣を操ってやがる!」

「相手できるかい?」

「たりめェだろ!悪ィが、里は任せた!」


 シャグラの実力は知っているし、サトーならなんとかなるだろう。

 そう判断したヴァンは、一息で森を飛び出し、火の壁を飛び越えた。


 二歩。

 三歩。


 空中を飛び越えて。

 標的へと容赦なく風の塊を放つ。


「…………おいおいおいおい、随分と危ないじゃないか。君は礼儀というものを知らないのかい?いや失礼、知っているのであればこんな愚行をするはずがなかったね」


 だが、その風の塊は何かに防がれ霧散してしまう。

 せいぜい、その二人組の髪を揺らす程度だった。


「うっせェよ。人の里襲っておいてどの口が言うんだ」

「おや、君はあの里の人かい?炎の壁があったというのに、それを超えてくるなんてなかなかにやるじゃないか」

「はっ、敵に褒められても嬉しくもなんともねェっての」


 ヴァンは挑発の言葉を選びながら、その二人組を注視した。


(ガキは雑魚だな。典型的な魔術師なら、近づけばそこまで脅威じゃねェ)


 小柄の方はマジシャンのような恰好をしている。

 左手にはステッキが握られ、右手で魔術陣を操作している。

 口ぶりから察するに、魔獣の操作をしているのアイツで間違いないだろう。

 声はどこか中性的というか、まだ声変わりもしてないくらいの子供だった。

 明らかに舐めてる目つきな生意気なガキそのもの。


(問題はその護衛だなァ。一目で分かる。強ェな)


 大柄の方は白の僧衣に身を包んでいた。

 特徴的なのは腰に巻いた綱で、服を留めておくものにしてはあまりにも大きすぎる代物だった。

 現実世界における力士の、横綱のようなものだが、紐ではなく、布を織って作られた代物らしい。

 両手足につけた具足は、指と甲が露出している造りだった。

 履いているそれはサンダルというのが正しいだろう。


(そんでもって、見慣れねェ道具か。まともにやってたら時間が足りねェなァ)


 大柄の男は妙なものを握っていた。


 ハンマー、いやトンカチというべきだろうか。

 大柄な体に見合うほどの大きさの手で持つそれは、明確に小さく、戦う武器としては適していないように見えた。

 あのサイズ比だとさながらミニチュアかおもちゃにしか見えない。


「で?逃げねェんだな、アンタら」


 二人組は、居場所がバレたというのに逃げるそぶりを微塵も見せなかった。

 それどころか対話をするくらいの余裕すらあった。


 一瞬、小柄の方がぽかんとするも、ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべる。


「まっさかー。だって君じゃ彼には勝てないからね」


 彼、と言われた大柄の男がゴキリと首を鳴らした。

 どうやら直接的な戦闘は彼が担っているらしい。

 さながら護衛といったところだろうか。


「面白ェ……!やれるもんならやってみろや!」


 ゆっくりとやってる暇はない。

 最短最速で倒すと、ヴァンは風を纏うのだった。

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