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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?  作者: イサキ
第4章 エルフの里

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8

 しばらく里の中を歩くと、三人はとある木の中にある洞を利用して作られた一室に案内された。


「どうぞおかけになってください」


 中はそれなりに広く、恐らく複数の木々と繋がっているらしい。

 部屋は円型で、部屋と部屋の境目の部分が僅かに狭くなっていた。

 奥は台所になっているのか、老人がお茶の準備をしていた。


 三人は横に並びながら近くにある椅子に腰かけた。

 木の幹をそのまま使っているような、そんな素朴な椅子だったが、敷かれている座布団のおかげかそれほど硬さは感じなかった。


「それで、これは依頼にあった文書です」


 老人がお茶を持ってきたタイミングで、シャグラが懐から書簡を取り出した。


 高級そうな木の箱に赤い紐が結ばれているそれを、老人は受け取るとその場で読み始める。

 その様子を眺めていると、老人は深くため息を吐いて顔を上げた。


「なるほど。確かに受け取りました。報酬は後程ギルドの方で受け取ってください」

「その、何が書かれてるんですか……?」


 気になったシェルアがそう尋ねると、老人はゆっくりと首を横に振った。


「生憎と、それはお伝えするなと書かれておりまして…………申し訳ございませんが」

「いえ、別に!こちらこそ無理を言って申し訳ありません」


 その文書を勝手に読んだシャグラは、まるで関係ないと言わんばかりにお茶を飲んでいた。


 それを見たシェルアもまた、出されたお茶に口をつける。

 ほんのりと温かく、それでいて鼻に抜ける香りを楽しんでいると、リーゼが口を開いた。


「それで、お話とは?」


 老人は手に持っていたコップを置き皿に置くと、こう切り出した。


「あなたがたは『盗賊狩り』という人物をご存じでしょうか?」

「『盗賊狩り』?」


 盗賊は主に行商人を襲い、その積み荷を奪う稼業をしているものを指す。

 それを狩る、ということは、奪った荷物を更に奪うということだろうか。


 確かに盗賊はお金になるものを持っている可能性は高い。

 だが、それはあまりにリスクが高い行為である。


 なにせ盗賊ができるということなら、それ相応に腕が立つ。

 今の時代、わざわざ盗賊を狙わずとも、稼ぐ選択肢はいくらでもある。


 するとシャグラは合点がいったのか、こう呟いた。


「なるほどねぇ。それは確かにあそこじゃ話しにくい」


 どういうことかとシェルアがリーゼの方を見ると、リーゼは簡単な説明を始めた。


「つい先ほど、盗賊に襲われたときのことは覚えてますか?」

「う、うん…………凄い竜巻が起きたことしか分からないけど」

「実はあの時、盗賊を襲う一人の少年がいたのです。彼こそが『盗賊狩り』であり、その正体がここの里の者だということです」

「おっしゃる通りでございます」


 老人はそう言うと、続けて説明をした。


「彼はこの里の者ではあるのですが、如何せん凶暴でして。我々としても手に余るというのが正直なところなのです。なにせ勝手に里を出ては、好き勝手に暴れまわる始末。今は誰にも迷惑をかけていなくても、いつどうなるのか分からないのが実際のところです」


 老人は一気に捲し立てると、少し乱れた息を整え、こう続けた。


「そこで、皆さんにお願いしたいのは、彼をあなたたちの一行に加えてほしいのです。勿論、無理にとはいきませんが、それ相応の報酬はお支払いいたします」

「どういう、意味ですか…………?」


 シェルアがそう尋ねると、老人は俯きつつこう答えた。


「彼の目的がどうであれ、風を操る姿は里を連想させます。ですが、貴方たちの仲間になれば、その時点で里とは一切の関係がなくなる。荒くれ者ではなく、ただ冒険者であれば、他の者も口出しすることはできなくなるでしょう」

「それって…………」


 言い淀むシェルアに代わり、リーゼがはっきりと言い切った。


「里から追放したい。ただ、それで里の評判を下げたくない。そういうことですよね?」

「…………こういうことをあなた方に頼むのは、些か心苦しいところではありますが」


 答えにならない返事をする老人に向けて、リーゼは重ねて質問をする。


「事情は理解しましたが、それはここの規律に反する行為。なにより、エルフの身体的特徴は一目で分かるものです。仮に私たちと行動を共にしても、エルフだとすぐに見抜かれるのでは?」


 再三触れているが、エルフの里は基本的に排他的な環境下にある。

 そして彼らは、特徴的な鼻と耳をしている。


 仮に冒険者になったとて、外見からこの里を連想する結果は変わらないはずだ。

 だが、老人はこう答えた。


「それには及びません。なにせ彼はエルフではないですから」


 その言葉にシャグラは眉を顰め、シェルアとリーゼはどこか不思議そうな表情を浮かべるのだった。

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