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第72話
「なんて数なの、万単位でいるんじゃない?」
盆地を埋め尽くすようにゴブリンの陣は敷かれていた。フィオレが言うようにその数は万を超えているだろう、だがそれよりも問題がある。
「タオ、大丈夫?」
隣では、チィーチがタオに話しかけていた。
「ああ、大丈夫だ。……シン、奴に気づいているか」
「奥にいるあいつがボスだろうな、差し詰めゴブリンキングといったところか」
盆地のちょうど俺たちから反対側に位置するところにいるゴブリンが発している気配は、ジェネラルゴブリンとは比べ物にならない程凶悪なものだった。
「万単位の軍を率いるゴブリンキングが相手では、流石に俺たちだけではどうしようもないな」
「ジェネラルゴブリンをあっさり倒した2人がそこまで慎重になるなら相当やばい相手なのね、どうするの?」
「心強い援軍がいるじゃないか」
「援軍ですか?」
トモミは不思議そうに俺の方を見た。
「大会のために集まった猛者たちが王都に溢れているだろ」
「なるほど、大規模レイド戦というわけね」
UC初のイベントはまだ終わってはいなかったというわけだ。




