第51話
闘技場で選手の紹介がされた後、それぞれのパーティーがフォーメーションを組んで試合開始の合図を待っている。
「ポロウニアはこれまでと同じ形っすね」
確かに今まで勝ち抜いてきたのと同じフォーメーションだ。前衛のアルブルが魔法使いのポロウニアと狩人チィーチ、ヒーラーのティーラを守る形で配置についている。
「そしてレオンのパーティーもいつもと同じだ」
「このフォーメーションに隙があるのね?」
「隙って程ではないけど、狙ってみる価値はあるかなって」
試合開始の太鼓が叩かれた。
配置についてみるとレオン達は予想した通りのフォーメーションを組んでいる。こちらから見るとレオンが先頭に出てきて、その左斜めに剣士のリキト、レオンの右側後方にはヒーラーのレンジと斥候のライクがいる。そしてレオンの後方に魔法使いのロダンと呪術師のルミだ。
「よし、じゃあ皆作戦通りに行こう」
昨日まで考えた作戦では、試合開始直後の動きが1番重要だ。全員が太鼓の音に集中する。
太鼓が鳴ると同時にレオンがこちらに向かって走り出した。一拍遅れてアルブルも走り出し、それに続いて僕とティーラも敵陣に向かって走り出した。そしてチィーチは弓を構えてヒーラーのレンジに狙いを定めた。
優秀なプレイヤーであるレオンは魔法使いとヒーラーが前衛に向かってきたのに戸惑ったのも一瞬で、狩人の狙いを即座に見極めてスッと右に寄せて後方のヒーラーを守るように射線に入った。
「ファイヤーボール」
走りながら魔法をレオンにぶつけるが盾で塞がれて、ほとんどダメージは入らない。
「問題ないよ、ただの目眩しだから」
アルブルが盾を使ったことで視線を僅かに奪われたレオンの横を駆け抜けた。その後ろを僕とティーラも続いていく。
さすがにアルブルが自分を無視したことにレオンも驚いたようだが、すぐに体勢を立て直してその後に続く後衛職に剣で攻撃しようとしてきた。そこにチィーチから矢が放たれて、反射的に盾で防御した。矢を反射で防ぐのも凄いことだが、それにより攻撃の手は止まってしまった。
僕とティーラもレオンの横を駆け抜けて、そのまま後方を目指す。反応してきたリキトをアルブルが防ぐと、その横も走り抜けさらに後方を目指す。
「最初のターゲットは君だ、呪術師ルミ」




