第4話
階段を降りると今入ってきた扉と同じような扉がまたあった。その隙間からも光が漏れている。
「さすがにまた階段って事はないだろう」
自分に言い聞かせるように呟いて扉を開けた。
扉の先にはいわゆる酒場が存在していた。場所は隠れ家バーみたいな所にあるのに、50席近くある大きめの酒場が存在していた。
「いらっしゃい、良く来たね」
「……こんばんは」
右を向くとカウンターがあり、その奥にお婆さんが座っていた。声をかけられるまでその存在に気づくことができなかった。なんとか叫ばずに返事をすることはできたがかなり驚いた、この人にも認識阻害の魔法がかかっていたんじゃないか?
「いつまでそこで突っ立っているんだい、こっちに来て座りな」
当たり前だが、酒場に入ったことなどないのでビビりながらカウンターに座った。
「じゃあ、とりあえずオレンジジュースお願いします」
「ふふっ、ちゃんと一杯頼んだのは褒めてやるよ。酒場でジュースってのは締まらないけどね」
「すいません、一応未成年なんで」
「はいよ。最初の一杯はサービスしてあげるよ」
そう言ってお婆さんは俺の前にグラスを置いた。
「ありがとうございます。名乗りが遅くなりました、シンです」
「そんな堅苦しい喋り方しなくていいよ、私はジュリア・モルタンド、ここのオーナーみたいなものさ。ジュリ婆って呼びな。」
「わかりました。いや、わかったよジュリ婆」
「聞き分けがいいね坊や、それでここには何の用だい」
「坊やって、別に用ってものはないな。たまたまこの場所を見つけたんで」
「たまたま入れるような場所じゃないんだけどね」
確かに暗視スキルを持っているプレイヤーがここまで辿り着かないといけないから、なかなか見つけられないのかもしれないな。
「ここが裏ギルドとはわかってはないみたいだね」
「裏ギルド?なんかやばい仕事をするとこですか、泥棒とか暗殺とか」
まさかのやばい場所に迷い込んでしまったとビビっていたら、ジュリ婆がムッとした表情をした。
「坊やが想像しているのは闇ギルドの方だね、うちは表のギルドでは処理できない高ランククエストや情報収集クエストがメインだね。まぁ、目立たないように護衛をしたり、表立って処理できない悪人の暗殺依頼もたまにはあるね」
暗殺あるんかーい、と心でつっこんでしまったがとりあえず裏ギルドの方達は闇ギルドとは一緒にはされたくはないようだ。
「この場所にたどり着けたってことは、裏ギルドに所属できるってことですか?」
「まぁ、第一段階だね。何個かテストの代わりにクエストをこなしてもらうね。裏ギルドに入会したいかい?」
これはきっとレアなクエストなんだろう。種族バンパイアのせいで普通のプレイヤーとしてUCを遊ぶ事はほぼ不可能そうなので、せっかくのチャンスは活かしていきたい。
「はい、入会させてください」
「それじゃあ、ウルフの討伐クエストをやって貰おうかね」
『ジュリア・モルタンドから裏ギルド入会クエストが提示されました』
『クエスト1 ウルフを5体討伐せよ』
「了解です。速攻で終わらせてきますよ」
「ふふ、楽しみだね」
やっと、VRMMO最大のポイントであるモンスターとの戦闘ができそうだな。