第34話
レッドキラーベアーを俺が引き付けて、フィオレとツナヤスにダメージを稼いでもらう戦術で、順調に戦闘を続けていた。
「ガオーーーー」
HPバーが2割を切った所で、今までで最大の咆哮が上がり、目の前にいた俺は吹き飛ばされた。
「おいおい、咆哮で吹き飛ぶとかファンタジーだな。しかも若干ダメージまであるし」
レッドキラーベアーの様子を見て、2人が側に寄ってきた。
「HPが2割を切ると凶暴化する所は他のボスモンスターと同じなのね」
毛皮の色がさらに赤くなっている。
「確か、STRが増す代わりにVITが下がるんだったよな?」
「他のボスモンスターと一緒ならね」
「そこは賭けに出るしかないな」
「やる事は変わらない。俺が気を引き、2人が攻撃する」
「やれるんすか?」
現状、薙ぎ払いも防御した上でダメージがある相手に凶暴化されてしまえば長期戦は考えにくい。咆哮ですらダメージが入ってしまうのだ、ある程度のリスクは覚悟して短期決戦を挑むしかないだろう。
フィオレも同じ結論に至ったようだ。
「やるしかないって事ね」
「そうゆう事」
また2人が左右に分かれていく。レッドキラーベアーはそちらには目も暮れず、俺を睨んでいる。
作戦上はそれでありがたい、後は俺が瞬殺されずにレッドキラーベアーの動きを止める事が出来れば勝ちだ。
剣を鞘に戻し、素手になる。
「黒爪」




