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VRMMOの夜を楽しむ  作者: 皇崎帝牙
2章 紅い刀
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第31話

 俺たちは3人でパーティーを組むと、夜の草原フィールドにやってきた。


「わざわざモンスターが強くなる夜にボスへ挑むなんてね」


「悪いな、昼間だと全く戦力になれないんでな」


「別に責めてるんじゃないのよ、気をつけましょうって話」


 フィオレはそう言うと、ツナヤスの方を見た。


「まぁ、武器も新しく作ってもらったし大丈夫でしょう」


 ツナヤスはつなぎにエプロンの格好をやめ、皮の鎧を着てすっかり冒険者の服装だ。


「俺も剣作って貰っちゃって、ありがとうございます」


「2人にはたくさん助けて貰ったんで、こんなんで恩返しできない事はわかってるんですけど」


「十分恩返ししてもらってますよ、あんまり気にしないで下さい」


 話をしながらも3人でウルフを倒しながら草原を進んで行った。


 王都周辺の草原フィールドにはボスと呼ばれるモンスターがいる。その内の1体は俺が倒したシャドーウルフだ。シャドーウルフはウルフを大量に討伐すると一定の確率で出現するレアモンスターらしい。その実力はすでに実感済みだ。

 そのレアモンスターと同等の実力を持つのが、フィールドボスのキラーベアーだ。フィールドボスは次の街に進むためにプレイヤーが必ず倒さないといけないモンスターだ。実力は同じくらいと言われる2体だが、その情報量の差で攻略自体はキラーベアーの方が難易度が低いと言われている。


「そろそろボスエリアね。夜は他のモンスターと一緒でキラーベアーも強くなるから、攻略法がわかっていても油断しないように」


 フィオレの忠告に男2人が頷いた。すると間もなくキラーベアーの咆哮が聞こえた。


「ガオーーーー」


 ビリビリと身を震わせるような咆哮だ。


「……こんなに迫力がある咆哮って情報でしたっけ?」


「いいえ、そんな情報はなかったと思うけど」


 ツナヤスとフィオレが動揺している所に、ボスであるキラーベアーが現れた。体長が3メートル以上はありそうな立派な体躯を誇る熊だ。その毛皮はツヤのある赤黒い色だった。


「キラーベアーは黒い熊って話じゃ」


「最近赤い色に縁があるな」


「感慨に耽ってる場合じゃないわよ、思い出した」


「やばい奴なのか?」


「赤黒い毛皮を持つキラーベアー、まだ討伐情報のないレアボスモンスター。レッドキラーベアーよ」


「ガオーーーー」

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