第22話
衛兵達は2人ともすでに怪我をしているようで、壁に寄り掛かってぐったりしている。
紅い刀は衛兵に近寄って行って、刀を振り下ろそうとしていた。俺は急いで屋根から飛び降りて駆け寄ると、後ろから左足で脇腹に蹴りを入れて振り切った。
紅い刀は10メートル程、路地を転がりながら吹っ飛んでいった。
「大丈夫ですか?」
倒れている衛兵達の側にしゃがんで声をかけたが、明確な返事が聞こえない。かなりの深手を負っている、両者とも袈裟斬りをされた様な跡からダメージエフェクトが漏れている。
持っていたHP回復ポーションをかけると、顔色は少し良くなったが、傷を完全に塞ぐことができずダメージエフェクトが漏れ続けている。
「出血ダメージみたいなものか?このままじゃ不味いな」
最近のレベル上げでは、ダメージを受けることも少なくなっていたのでポーションは最小限の数しか持ってきていなかった。
さらに状況は悪くなる、通りに目を向けると紅い刀がすでに立ち上がっていた。
「一撃とまではいかないにしても、結構良いの入ったと思ったんだけどな」
紅い刀の頭上に浮かぶ、赤色のHPはほとんど減ってない様に見える。
フィオレがいつ来るかわからない中、2人を守りながら戦うのは俺のレベルでは難しいだろう。
NPCである衛兵達は死んでしまうと復活する事はもちろんない。2人を助けたいが、どうしたものかと迷っていると衛兵の首にかかった呼子笛が目に入った。首にかかった紐を引き千切ると、思いっきり笛を鳴らした。
ピーーーー ピーーーー
静かな路地に甲高い音が鳴り響いた。これで近くを見回っている人がいれば気づいてくれるだろう。
「もう少しだけ頑張ってください」
紅い刀から2人を守る様に立つと、腰の剣を抜き紅い刀を持った男と向かい合った。




