第20話
3人と会った日の夜も裏ギルドに顔を出した。
「ちょうど良いところに来たね。表のギルドからクエストが来たよ」
「表のギルドで解決出来なかったやつを俺が解決できますか?」
「ちょうど、シン向きのクエストだったからね」
「俺向きですか」
「最近王都で剣を振り回して、人を斬りつける奴が現れたらしい」
ポロウニア達が話していた奴が早速クエストになっているらしい。
「それが俺向きのクエストなんですか?」
「そいつは今のところ夜にしか現れないらしくてね、夜の王都の見回りをするクエストさ」
「見回るだけなの?」
「見つけたら捕まえて構わないけど、他に衛兵も見回っている中でなかなか犯人を見つけるのは難しいだろうね」
その夜からとりあえず2日間、夜間の王都を歩いてはみたものの、なかなか犯人を見つける事は出来ない。
NPCの衛兵や冒険者ギルドでクエストを受けたプレイヤーたちと情報交換をしたが一向に正体が掴めない。今のところ、被害に遭っているのはプレイヤーだけの様だ。PKされたプレイヤーもいるみたいだが、それは立ち向かったからで、逃げたら追ってくることもないらしい。
そして誰に聞いても、犯人の武器は紅い刀を持っているらしいと言っていた。特徴的な武器の所為で、その人物の印象が残らないようだ。だからみんな、その犯人の事を「紅い刀」と呼んでいた。
3日目の夜、見回りを終えて酒場に戻ると、フィオレとジュリ婆が厳しい表情で座っていた。
「ただいま、何かあったの?」
「紅い刀が衛兵を襲ったの、幸い一命は取り留めたけど重症だったわ」
「フィオレが助けたの?」
「衛兵の笛を聞いて駆けつけたら倒れてたの、ポーションで傷が治ったから良かったわ。その衛兵が紅い刀にやられたって教えてくれたの」
「クエストのレベルも上がったよ。今までは不死身と言われる、あんた達プレイヤーしか被害に遭ってなかったけど、こちら側も狙われるとなれば話は変わってくるよ」
「クエストが上がったって、具体的にはどう変わったの?」
「見回りは衛兵や表ギルドに任せて、裏ギルドは紅い刀の排除に全力を尽くすよ」
「「了解」」
俺とフィオレは同時に返事をして、席を立った。




