第184話
クリスさんの素顔は灰色のゴツゴツとした質感の皮膚をしていて、下唇の両端からは鋭い犬歯が覗いている。
「私はハーフオーガになってしまって」
「ハーフオーガですか、そういう種族もあるんですね」
「クリスはこの種族のせいで体格も変わってしまって苦労していた所に出会ったんだ」
「私は聖職者なのですが、この見た目が恥ずかしくてずっとフードを被っていたら、パーティーにもなかなか誘って頂けなくて」
「ご苦労なさったんですね」
「シオンさんとレイクスさんには本当に助けていただきました」
「そんな事を言われると照れちゃうな」
レイクスさんは照れくさそうに頭を掻いた。
「でも、レア種族になってそういう苦労をしているプレイヤーも少なくないみたいだよ。さっき言ったスケルトンもそうだし、四足歩行型のモンスター種族になっちゃった人にもあったなー」
「β版の頃にはスライムが人の言葉を喋っていたって話もあったな」
レイクスさんの話を聞いて、静かにしていたシオンさんも会話に参加してきた。
「あー、あったね。手足のない不定型のスライムでプレイなんか出来るのかって言われてたよね。他にもドッペルゲンガーの都市伝説みたいなのもあったなー」
「いろんな種族があるんですね」
レア種族について意外と話が盛り上がった。




