第179話
「それで、シンくんはどうしてここで料理をしていたんだ」
一通り挨拶を終えると、シオンさんは改めて俺に質問してきた。
どうやらこの人達は悪い人達ではないようなので答えてあげる事にした、というよりも、ここまで接近を許したことで今の俺の状態ではどうしようもないからだ。
「あー、キャラ作成の時に種族をランダムで選んだら昼間に戦うのが苦手になっちゃって」
「やはりレア種族だったか、昼間にハンデがあるということはモンスター系の種族かな?」
「えっ?」
かなりオブラートに包んだのだが、予想以上にバレてしまって動揺してしまった。そんな俺にレイクスさんが説明してくれた。
「ははっ、この国ではあんまりシンくんみたいなタイプの種族は少ないのかな」
「そうですね、今のところ自分以外に会ったことはないですね。というかこの国ではって、皆さんは他の国からいらっしゃったんですか」
「その通り、シオンを見ればわかるかもしれないけど俺たちはゾーオン王国から来たプレイヤーなんだ」
そう言われると、獅子の頭を持つレーベ国王が思い浮かび妙に納得した。
「あぁ」
「あれ、ゾーオン王国に知り合いでもいるの?」
「いえ、知り合いというか縁がありまして前にゾーオン王国の王様とお会いする機会がありまして」
「何っ!」
俺が王様に会ったというとシオンさんからのプレッシャーがいきなり上がったので思わず、少しでも距離を取ろうと後退り腰の剣に手をかけた。
「ちょっとシオン!シンくんも落ち着いて争う気なんてないから」




