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VRMMOの夜を楽しむ  作者: 皇崎帝牙
2章 紅い刀
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第17話

 王子が捕らえられたあの夜から1週間が経った。


 国王や王子が去った後、墓場でジュリ婆からクエストクリアを告げられ、正式な裏ギルドのギルド員に認められた。その時システムからもメッセージがきて称号を得た。


『称号「最初の裏ギルド員」を獲得しました』


 称号をもらったからといって特にジュリ婆の態度が変わることもなく、この1週間は夜のフィールドでウルフを倒してレベル上げをしていた。


 今夜も裏ギルドの酒場に顔を出すと、奥の席に女性が1人座っていた。何故かこちらを見ている、というよりもこちらを睨んでいるという方が正確だろう。

 あまり関わらない方が良さそうだと、そっと視線を外しジュリ婆のいるカウンターに座った。


「こんばんは」


「……」


「お水下さい」


「……」


「オレンジジュース下さい」


「はいよ」


カウンターに座るたびに金を巻き上げられることに対し、抗議の視線を送るがこちらを見ようともしない。


「何か用があるんじゃないのかい?」


「国王陛下にさっき会ってきました、かなり余罪があったみたいで、ジョナサン王子は廃嫡の上で処刑されたそうです。表向きには流行病で倒れたと発表されるみたいですよ」


「そうかい」


「国王陛下からジュリ婆に伝言で正式に発表できず申し訳ない、との事です」


「それくらいの事情は分かっているさ、これでレベッカも少しは浮かばれるだろう」


 ジュリ婆がおもむろに荷物を渡してきた。


「これは?」


「以前預かった影狼の毛皮から作ったマントだよ、きっとシンの役に立つはずさ」


 荷物はフードの付いた全身を覆う様な肌触りが良く、何より美しい光沢のある黒色のマントだった。アイテムの説明を見てみると破格の性能が付いていた。


影狼のマント

DEF +150

影狼の毛皮から作られたマント。日光の光から身を守ることが出来る。


「すごい!これで太陽の下で歩くことが出来る、ありがとうジュリ婆!」


「日光によるダメージは受けないけど、ステータスの減少までは防ぐことは出来ないよ」


「十分だよ、本当にありがとう」


「まぁ、クエストの報酬だと思いな」


「了解です……ところでさっきからこっちを見ている女性はどちら様ですか?」


「さっき入会したギルド員だよ」


 聞き耳を立てていたのか、話題に上がった途端に奥のテーブルからこちらに近づいてきた。

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