第12話
リーダーの後をつけて行くと、同じ貧民街にある倉庫に入っていった。荷物の影に隠れて様子を伺っていると、ブツブツと呪文を唱えている。すると手元から何やら外に飛び立っていった。
「伝書鳩的な魔法か?」
30分ほど待っていると、反対側の出入り口から騎士の格好をした男が2人入ってきた。
「何の用ですか、貴方からの連絡を許可した覚えはありませんが」
「も、申し訳ございません」
「用件を言ってください、貴方と会っている所を見られる訳にはいかないんですよ」
「はい、それが先程アジトを襲われました。俺以外全員やられてしまったんです」
「それで庇護でも求めているんですか?」
「それが、そいつレベッカの事を探っていたみたいなんです」
「そいつ?1人にやられたと?」
「はい、直接は見ていないのですが。1人だったようです」
「やられて逃げてきたという訳ですか、困りますね仕事はちゃんとしてもらわないと」
「どうかお助けください、なにとぞ殿下の庇護を」
「あなたに依頼主について教えたのは失敗でしたね、そんなに簡単に口に出されては困るんですよ」
「申し訳ありません、ですが」
「襲ってきたその人物は、依頼主の正体に気づいているんですか」
「いえ、俺以外は殿下については知りませんので分かってはいないと思います」
「学習しない方ですね。まぁいいでしょう、あなたの口を封じれば誰にもバレない訳ですしね」
「えっ、何を」
それまで会話に入って来なかった方の騎士が剣を抜き、リーダーに振り下ろした。リーダーはそれきり動かなくなってしまった。
騎士たちはそのまま倉庫を出ていった。
「殿下、ね」
ここアルべトレッサ王国に殿下と呼ばれる人物は2人だけだ。現国王の長男である王子とその妹の王女だ。
「犯人が王族、初心者がやるクエストの難易度じゃないだろコレ」




