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第118話
レノーナ王女に抱えていた後ろめたい気持ちが全部とは言えないが少し消えた。
「わざわざそれを言いに来て下さったんですね、ありがとうございます」
「いえ、陛下にもシン様は信頼にたる人物だと聞いておりましたのでわだかまりなどが無くなれば良いなと思いまして」
「そのような評価をいただき恐縮です。後、その様付けはどうにかなりませんか?」
「殿方を呼び捨てにするような事はちょっと、そこまでの関係性ではまだありませんので」
「あ、すいません。じゃあ大丈夫です」
年下であろう王女様が魅惑的な笑みを浮かべてこちらを見てくるので、たどたどしく返事した。
それからしばらくは、たわいも無い会話を続けていたが違和感を感じて剣を鞘から抜いて立ち上がった。
「シン殿何を!」
少し離れた位置で話を聞いていた侍女が驚いて声を上げる。
「お二人とも動かないで下さい。フィオレ!」
馬車の上にいるフィオレに声をかける。
「何も見えない。シンっ!」
カキン
何かが飛んできたので剣で払い落とすと、地面に矢が落ちた。
「リザードマンよ!」
静かだった夜にフィオレの声が響き渡った。




