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VRMMOの夜を楽しむ  作者: 皇崎帝牙
1章 ゲームスタート
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第1話

 高校1年生の修了式を終えた金曜日の夜、田宮信悟(たみやしんご)は明日の正午から開始されるゲームの準備に勤しんでいた。

 最新VRMMOゲームである「Unknown Continent(未知なる大陸)」、略して「UC」は今までにない画期的なVRゲームだと世間でも盛り上がっていた。β版の段階からゲーマー界隈のみならず、あまりゲームに熱心ではない層からも評価が非常に高く、初回販売数350万台は倍率12倍という高倍率となって世間を騒がせた。

 その最新ゲームを運良く手に入れることができ、それが昨日届いたのだ。最新VR機器本体を部屋に設置しながら幼馴染の朋浩(ともひろ)と電話をしていた。

 奇跡的に幼馴染4人全員がゲームに当選したので、一緒にパーティーを組んでゲームをしようということになったのだ。


「最初の国は王国だよな、アルべトレッサだったっけ?」


「そう。事前情報じゃ、中世の騎士たちが治める国らしいしファンタジーゲーム楽しむなら調度いいでしょ」


「じゃあ、キャラ作成終わったら集合ってことで」


「了解」


 UCはゲーム内の情報がほとんど公開されず、β版のプレイヤーは情報をネット上に載せないように誓約書まで書かされたという噂がネットで上がるほどゲーム内の情報がないのである。

 公式サイトにはプレイヤーが最初に選べる所属国家や種族の情報くらいしか載っておらず、あとはゲーム内の美しい風景画像で人々をただただワクワクさせているのだ。

 天才プログラマー金野秀之(こんのひでゆき)が開発した自立型AIが大陸を一から自動でプログラミングしていて、風景やNPCの会話、モンスターの行動が今まで発売されていたVRゲームとは一線を画すともっぱらの噂なのだ。

 送られてきた荷物の中にはVRゲームの世界では半世紀も前から定番となっているヘルメット型ゲーム機とコード、設定のための説明書と至ってシンプルなものだったが、きっとこれが初回販売の抽選に当たった350万人をわくわくさせているのだろう。

 明日のお昼から土日はぶっ通しでゲームをやるつもりなので、今日はしっかり睡眠を取ることにした。


 次の日、午前11時55分までには食事やトイレを済ませてヘルメットを被るとベッドに横になった。


「ふー、確かゲームにログインすると最初にキャラメイクだったよな。せっかくゲーム開始からスタート出来るんだし最速ログインでも目指してみるか」


ーーUnknown Continentにログインしますかーー


「ログイン」


 音声認識に反応して、睡眠に落ちるように自然と意識が落ちていった。



 次の瞬間には真っ白な空間に立っていた。感覚的にはまばたきをしたらゲームにログインしていたのだ。


「さすが最新機種、導入のスムーズさがこれまでの比じゃないな」


「こんにちは、プレイヤーさん」


 声をかけられて振り返ると、青い髪が背中の中程まである女性が立っていた。


「こんにちは、チュートリアルNPCの方ですか?」


「はい。あなたのキャラメイキング及びチュートリアルを担当させていただくアドリーです」


「よろしくお願いしますアドリーさん。さっそくで悪いんだけどキャラメイクのランダム作成ってあります?」


「キャラ名と容姿は決めていただきますが、それ以外はランダムに出来ますよ」


「じゃあ名前はシンで髪は茶髪にしてください。国はアルべトレッサで、それ以外はランダムでお願いします」


「完了しました。種族の説明やチュートリアルはどうしますか?」


「スキップできるならスキップで」


「了解しました。それではUnknown Continentの世界をお楽しみください」


「じゃあ、いってきます」


 アドリーに挨拶をするとログインの時と同様にまばたきした瞬間また違う空間にいた。


「すごいなこれは……」


 頬を撫でる風、石畳の感触はまるで現実の世界にいるようだ。前評判通りのゲームであることは間違いなさそうだ。見えてはいないが聞こえる音と飛んでくる水飛沫でうしろに噴水があることすらわかるのだ。

 周りにプレイヤーの姿は確認できない、一番乗りに成功したようだ。

 せっかくだし噴水も見てみようと、振り返ってみた。


「ん?水は赤いのか?あれ、全体的に赤くなってる」


『HPが10%以下になりました』


「は?どういうことっ」


『HPが0になりました シンは死亡しました』

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