カレー(擬人化)と恋するゲームのヒロインに転生しました
私の名前はホワイト。ホワイト・ライス。ライス伯爵家の長女にして、本ゲーム「華麗な彼~辛いのか甘いのかハッキリしてよ!」のヒロインです。
前世とも呼ぶべき記憶を思い出したことは、まぁ、いい。いや、いいのか悪いのかわからないけど。前世を思い出さなければ、「ホワイト・ライス」って名前の意味も気付かなかっただろうけど。そう、「ホワイト・ライス」。直訳して「白米」。ヒロインのデフォルト名だが、もっとやる気を出してつけろと言いたい。気付かないほうがよかった。
さて。ここまでで察しましたか? 察しましたね?
そう。このゲームの攻略キャラは擬人化されている。元ネタは皆さまお察しの通り、カレーだ。イエス、カレー。擬人化したカレーとの恋愛ゲームだ。カレーなのか華麗なのか、はっきりしてほしい。
何を言っているかわからないって? 安心してください。私も何を言っているのかわからないので大丈夫です。私は正気だ。文句は開発した会社に言ってくれ。
とはいえ。私にとっては生まれ育った第二の故郷。ここがゲームの世界だとしても、平穏に生きていくことだけを夢見る一貴族。
そう、平穏。できれば攻略対象達にはかかわらず、平穏に生きたい。何せ、カレーを元にしているだけあって、性格に一癖も二癖もあるキャラが揃っている。その上、攻略対象は全員が高位の貴族。結婚すれば、平穏には程遠い生活が待っているだろう。そんなのは絶対嫌だ。
私の目的は、攻略キャラたちに近づかず、恋愛関係にもならず、平穏に学生生活を終えること。そして静かで平穏な人生を歩むこと。ただそれだけだ。
学校の入学式。つまりは、ゲームの開始初日。今日、私は攻略キャラたちに遭遇する。となればやることは一つ。
仮病だ!!
ごほんごほんと軽く咳き込んで見せれば、私に甘い親は簡単に騙されてくれた。ふふふ、やったね。出会いイベントさえ起こさなければ、始まるものも始まらないからね。大丈夫、明日からはちゃんと学校行くから!!
・・・そう思ってたんだけど。
「なんでいるの?」
今日は入学式だけなので、学校が早く終わるのは理解できる。できるが。
何故、ダールが我が家の応接間でくつろいでいるんですかね?
「失礼な奴だな。わざわざ様子を見に来てやった幼馴染に対してそれか?」
「追い返してよかったのに」
「ほーう?」
ぽつりと呟いた言葉は、ちゃんと聞こえていたらしい。しまった、と思う前に、眼前に迫る綺麗な顔。
何を隠そう、この男。ダール・レンズは攻略キャラの一人だ。悔しいことに、子供の頃からの幼馴染にして、従兄でもある。侯爵家の息子なんだけど、私の母親がダールの父と兄妹なんだよね。
なので、すでに出会いイベントは終わっている。記憶を取り戻した後、なんとか距離を取ろうとしたのだが・・・
なにかあれば、こうやってすぐに家に来てしまうものだから、全然上手くいかない。家の人にも迎えなくていいと言っているのに、なぜかみんな言うことを聞いてくれない。何故だ。今日もきっと、誰も咎めることなくここまで案内したのだろう。警備はどうなってる?
不満は顔に出ていたと思う。それでもダールは気にする様子もなく、優雅に紅茶を飲んでいる。
「随分と元気そうだな。仮病か?」
「薬飲んだから落ち着いてるんですー」
一応反論してみたけど、きっとバレてるだろう。ダールは楽しそうな笑みを崩さない。
「明日は来れそうか?」
「・・・うん」
さすがに二日連続で休むのは、それも入学早々というのはまずいとわかっている。出会いイベントももう起こらないだろうし、学生としての本分に励むのは必要なことだ。
ダールは私の答えに、「そうか」と頷くと
「わかった。迎えに来る」
「え、いらない」
「遠慮するな」
「してない!」
全力で拒否してるのがわからないのかな!? わからないのかな!!
手で罰を作って首を振るが、聞いてくれるようには見えない。えー、これ絶対強引にくるやつだ。嫌だ。迎えに来られる前に出てやろうか?
「大人しく待ってろよ。いいな?」
強く念押しするダールには一応頷きながらも、私はどうやって出し抜いてやろうということしか考えていなかった。
翌日。家の人たちみんなに足止めされ、結局ダールと一緒に登校することになった。解せない。
そう思っていたのは、馬車に揺られている間だけだ。ダールにエスコートされて、馬車を降りれば。
なぜかいろんな人の視線が、一斉に私に向いたのだ。
「え、何? 何!?」
思わずダールの背中に隠れて、身を縮める。ダールが笑う声が聞こえたけど、今はそれどころじゃない。
「気にするな。顔を上げろ、前を向け、背筋を伸ばせ」
バシンと背中を叩かれて、前に出される。意味がわからないが、おかしいところがあるわけではないのなら・・・貴族の端くれとして、しゃんとしなくては。
言われたままに前を向いて、背筋を伸ばす。ダールは満足そうに口角を釣り上げ、私の前に手を差し出した。
エスコート、してくれるのか。確かにこの状態で一人で歩きたくはない。ありがたくその手を取ろうとした時だった。
「お前がホワイト・ライス嬢か」
急に名前を呼ばれて、ぴしっと固まった。この声とセリフ、聞き覚えがある。嘘だ。嫌だ。確認したくない。
「王子である俺が声をかけたんだ。返答くらいしたらどうだ?」
あーー! やっぱりキーマ・マター王子かーー!! なんで出会いイベントが発生してるんですか!!
頭の中では絶賛混乱中だが、皇子の言葉を無視するわけにはいかない。王子とは初めて会うので一度目の無礼は不問にしてもらえるだろうが、名乗られた後だと流石に無理だ。
渋々・・・本当に渋々と、声の主を見る。思ったよりも近くにいたキーマ殿下と、ばちりと目が合った。
「・・・初めまして、殿下」
「ああ、初めまして。噂通り、本当に真っ白なんだな」
「・・・・・・」
・・・ああ、そうか。この見た目のせいで、人目を引いたのか。
私は、髪や瞳が真っ白だ。肌も本当に血が通っているのかどうかわからないくらいに白い。我が家系はアルビノの性質なのか、髪や瞳、肌の色が白い者が多い。その中でも、私は私は特にその性質が強く出ている。普通はどこか一ヶ所が白い程度なのに、いたるところが真っ白なのだ。
その結果、つけられた名前が「ホワイト」。まぁ、白米だから仕方ないけど。ないけどさ。もうちょっとなんとかならなかったのかな、って思いはする。
黙り込んでしまった私の前に、影ができた。ダールが背中に庇ってくれたのだとわかって、思わず彼の服を握りしめる。
「ダール。俺は今、ホワイト嬢と話をしている」
「見た目から入る話ですか? ハッ、無礼にもほどがある。仮にも王子の所業とは思えませんね」
ダールの言葉に、殿下がぐっと黙り込む。まぁ、正論だからね。服装を褒めるならともかく、本人の外観に関しては失礼だ。現代風に言うなら、セクハラ?モラハラ?の類とされ、貴族内ではいい顔はされない。
だから、この場ではダールのほうが有利だ。それがわかっているから、私はぐいとダールの服を引っ張った。
「ダール。私は気にしてない」
「お前が気にしなくても俺が気にする」
「いいから。病み上がりの従妹を放っておく気?」
昨日のは仮病だけど、ここまで言えばダールも私を優先せざるを得ないだろう。現に、恨めしそうな目で睨み付けられたけど、しぶしぶ頷いてくれた。
「・・・殿下、見逃すのは今日だけです」
「承知した。すまなかったな、ホワイト嬢。悪気はなかったのだ」
そりゃそうでしょう。何せ、ここでダールが割って入らなかった場合・・・つまり、通常の出会いイベントならば、「美しい」と繋がるはずだ。思い出したぞ。
が、私はとにかく攻略対象のキャラには近づきたくない。にこりと笑って首を横に振り、もう一度だけダールの服を引く。
それだけで十分だ。
「行くぞ、ホワイト」
「ええ」
歩き出すとき、わざわざ腰を抱き寄せられたけど、ここで文句を言ってまた注目を浴びるわけにはいかない。何故か満足そうなダールにイラっとはするが、いまだけだと我慢する。
はー・・・朝から出会いイベントとか、ほんと勘弁してほしいわ・・・
殿下との出会いイベントがあったおかげか、他のキャラとの出会いイベントも順調に発生した。発生してしまった。
まぁね。バニール・マッカーニ先生はね、仕方ない。担任なのだ。出会わないわけにもいかない。
が、ココ・ナーツは完全に誤算だった。あと、ムルグ・マカニも。本来なら、入学から数日以内のランダムイベントで出会うことになるはずなのに、なぜ初日に発生するんだ。イベントの発生個所には近づいていないのに、廊下でばったりとか絶対おかしい。速攻で逃げたけど。
あと、ライバル令嬢であるナーン・ローティー令嬢にも出会った。こちらは想定内なので問題ない。ナーン様との間に恋愛イベントはないし、乙女ゲームによくいる悪役でもない。カレーには白米もナンもどちらも合う。喧嘩など不要なのだ。その分、切磋琢磨する友人にしてライバルなので、彼女に出会うイベントはむしろ発生してくれてありがとうと言いたかった。
が、これがすべて初日に起きたとなると話は別。パンクしそうになる頭を押さえて家に帰ったので、家の人たちには心配された。
でもまぁ、昨日休んだばかりだからね。しかも仮病でね。ちゃんと翌日も学校に行きましたとも。日本人は真面目ですね。
ちなみに、この学園は1年制だ。入学から卒業までの1年間がゲーム期間となる。年齢は16~18歳まで。私は17歳で入学したけど、殿下やダールは一つ上の18歳だ。攻略キャラのココ・ナーツは一つ下の16歳。年齢は違うけれど、みんな同級生になる。
学校に通えば、自然とイベントが発生する。してしまう。イベントが起きる場所も時間も避けているのに、なぜかことごとくイベントが起きてしまった。
起きてしまったことは変えられない。ならばと好感度の上がらないように接しているのに、実際にゲーム内では上がるどころか下がるはずなのに、なぜか次のイベントが発生し続ける。
ここまでくるとホラーだ。なんだ、あいつら。ドMなのか?
だが、私には最強の対策がある。それは、これ!
「カレー食べたい」
と言わないことだ!!
これはカレーのゲーム。頭の狂ったゲーム会社が作った、カレーと恋するゲームだ。(褒めている)
とはいえ、この世界にカレーはない。絵本に登場するだけの「カレー」という幻の料理を作るために、試行錯誤するゲームと言い換えてもいい。最終的に、キャラの名前になっているカレーが作れたら、攻略成功だ。自分の名前のカレーを作って食べてハッピーエンドとか、頭狂ってるよね。(褒めている)
なので、私がやることはただ一つ。
どれだけイベントが発生しても、カレーを食べたくならない事! それを口にしないことだ! 楽勝だね! そう、カレーと・・・
「かれぇ? なんだ、それ?」
「・・・はっ!?」
ふと我に帰れば、目の前には怪訝な顔の従兄殿。思わず周囲を見渡せば、ここは間違いなく私の部屋で。
「なんでいるの!?」
「今更だろ」
せめて悪びれろこのやろう!! 我が物顔で紅茶を飲んでるんじゃない!!
家の人たちも、なんで部屋の主に断りもせず入れちゃうかな? 例え幼馴染で従兄であっても、最低限の礼儀は必要だと思うんだけど!!
思わず拳を握りしめたが、もちろん、手を出したりはしない。ダールは優雅な仕草でソーサーにカップを戻すと、
「で? かれぇ? ってなんだ?」
「かれぇ? なあに、それ?」
「お前が今言ってただろ」
「さぁ? 覚えてないわ」
痛い痛い。視線が痛い。だけど私としては、しらばっくれるしかない。自室だと思って油断した。あっぶな!
平然を装って、メイドさんに自分の分のお茶を頼む。ダールはじーーっと私を見てるから、私の言葉を信じたわけじゃないだろう。
それでも、追撃するのはやめてくれたらしい。
「そういや、この間の授業で・・・」
そんな日常の出来事を口にしたダールに安心しながら、私は入れられたばかりのお茶を口にした。
それから、1ヶ月ほど経ったころ。
「ホワイト、これ」
教室で本を読んでいた私の前にダールが置いたものに、思わず顔が引き攣った。
「・・・これは?」
「香辛料。前にかれぇがどうこうって言ってたろ」
また頬がぴくって動いたのがわかった。ああ、くそう。用意しちゃったのかー!!
それでも以前は知らぬ顔で通せたのだ。今回もそうしたかったのに。
「お前のところの執事に聞いた。小さいころ読んでた絵本に出てくる食べ物なんだろ?」
「・・・・・・ソウデスネ」
まさかのー! 聞くなよ!!
そう。この世界にカレーはないのに、カレーの話はある。元の世界でもアニメやマンガの料理を再現するレシピがあったけど、この世界でのカレーは同じ立場だ。ただし、あまり面白い絵本ではないため、知名度はとても低いのだが。
そして、運がいいのか悪いのか、攻略対象たちは高位の貴族。多少珍しいものでも、頑張れば手に入らないことはない。現に今、頑張った結果が目の前にある。おー、のー・・・
「絵本の食べ物が食べたい、なんて、お前もお子様だな」
「・・・・・・」
なるほど。あの日誤魔化したのは、ダールの中ではそういうことになったのか。子供だと思われたくないから隠した、と。目の前の笑顔が憎々しく見えてきた。
その上、
「ホワイト嬢、カレーがわかるのか?」
ひょい、と会話に割って入ってきたのは殿下だ。ここまでくると、もうこれがイベントの一種なのだと嫌でもわかる。
もうほんと勘弁してほしい。
「ダールが言った通り、絵本で読んだだけです」
「なるほど。俺は肉を使ったカレーが食べたい」
「何がなるほどなのかさっぱりわかりません」
人の話を聞いてましたか、この王子!? 絵本で読んだだけなんですが!! 誰も作るとも何も言ってませんが!!
思わず早口になってしまったけれど、殿下は「何がわからないのかわからない」という顔をしている。もうやだ・・・頭痛くなってきた・・・
痛くなった頭を抑えても、頭痛が消えるわけではない。それどころか、ダールまで、
「種類があるのか?」
だなんて食いついてきた。知ってるー。これイベントで見たー。知ってるー・・・
「・・・絵本はシリーズでね、一冊ずつ違うカレーが出てくるの」
「なるほど。俺が好きそうなものは?」
「・・・・・・・・・・・・」
「絶対あるだろ。ホワイト」
どうやら見逃してはくれないらしい。念を押すようにまた名前を呼ばれて、しぶしぶその名を口にする。
「・・・・・・レンズ豆のカレー」
「ああ、いいな。うちの名産じゃないか。俺はそれにする」
ここでゲーム内に出てこないカレーを言えればよかったんだろうけど、生憎、レトルトカレーで育った私にそんな知識はない。馬鹿正直にゲーム内で見たカレーを言えば、ダールは機嫌良さそうに頷いた。
あー・・・これはもう逃げられそうにない。とはいえ、最後のあがきくらいは許されるだろう。
「じゃあ、うちのシェフたちにお願いしてみる」
そう言った途端。さっきまで機嫌良さそうだったダールの雰囲気が一気に変わった。
「何言ってる。俺がお前にやったものを、他に渡すと? お前も料理はするだろう」
こっわ! 怖い!! 心臓がひゅんって縮んだ気がする!!
でも、ここは引けない!!
「私にカレーは作れないわ」
「作る前から諦めるのか?」
「レシピもないのよ。絵本の情報だけで作れるはずがないわ。これ、貴重な物でしょう?」
「失敗しても構わない。また手に入れればいいだけだ」
これだから貴族様は・・・いや、私も貴族だけど。それでも、香辛料を手に入れるのは簡単ではないはずだ。現に、最初に話した時から今日まで、1ヶ月かかっている。ダールがあの日すぐに行動に移したのだとしたら、手に入れるだけで1ヶ月かかるほど苦労した、ということだ。値段も、手間も、聞きたくない。
私は料理はするけれど、もちろん、カレーを作ったことはない。これは前世も含めてだ。そりゃあ、前世ではカレーは普通に食べていたから、味はわかる。けど、それはカレールーという素晴らしいものがあったからだ。スパイスから作ったことなんて、もちろんない。
ダールと私は、しばし無言で睨みあった。けれど、もちろん。折れなくてはいけないのは、私のほうだ。
だってこれは、カレーを作るゲームなのだから。
「・・・わかった」
そう答えた途端、ぱっとダールの周りに花が咲いたように見えた。
「ただし! 失敗しても絶対文句言わないでよ!? 失敗してもいいって言ったの、ダールだからね!!」
「ああ、もちろん。お前が作ったものなら、どれだけマズくてもちゃんと食うさ」
た、食べてくれるんだ・・・それはちょっと嬉しいかも・・・
思わず表情が崩れたのが、自分でもわかる。ダールの機嫌も戻ったようで、さっきまで睨み合ってたのが嘘みたいにいつも通りに戻ってる。
この時点で、私はこの場にもう一人いることをすっかりと忘れていた。
「ふむ・・・つまり、材料を渡せば、ホワイト嬢の手料理が食べられる、ということだな」
そう呟く声が聞こえてくるまでは。
「はっ!? いや、今のは従兄妹同士の約束なので、殿下には通用しませんよ!」
「その通りです。殿下は王室お抱えの凄腕シェフたちに強請ってください」
私が慌てて否定すれば、ダールも一緒になって否定してくれる。
だけど、この殿下と来たら、
「お前だけホワイト嬢の手作りなんてずるいだろう。もう決めたからな」
ああ、もう。強情殿下め! だけど、ここは学園の中だ。王室の権威は使えないはず!
「それは皇太子殿下のご命令ですか?」
そう聞いたら、殿下はきょとりと目を丸くした後。
「いや、同級生としてのお願いだ。まぁ、俺が空腹で死ぬ可能性は否定しないが」
「・・・・・・」
それもう脅迫じゃん・・・もっとタチが悪いわ・・・同級生がカレーを作らなかったから王子が餓死、とか、もはやホラーだわ・・・
「・・・・・・わかりました」
結局、これ以外の答えなどあるはずもない。嬉しそうな殿下には悪いが、これからの苦労を考えると眩暈がするわ。
ちらりとダールを見れば、ものすごく不満そうな顔をしている。というか、これは怒っているな・・・でもまぁ、教室でこういう話を出したダールも悪いと思ってもらうしかない。
かくして。私は結局、ゲームのシナリオ通りに、カレーを作ることになったのである。
ダールが持ち込んでくれた香辛料は、その日は持ち帰って、うちのシェフたちの助言を聞くことにした。とはいえ、彼らもカレーは未経験。初めて見る香辛料に目を輝かせてはいたけれど、カレーの作り方となると全員が首を捻って終わった。だよね、わかる。
まぁ、失敗してもいいと言ってくれたし。次の日、とりあえずいろいろ混ぜて作ったカレーもどきは、正しくカレーもどきだった。食べれないことはない。けど、口の中が忙しい。「食材が喧嘩する」って例えあるじゃないですか。まさしくそんな感じだった。
文句ひとつ言わずに完食したダールに、ちょっとキュンとしてしまったのは内緒です。
そして、何故かその場にいた殿下は顔が露骨に歪んでいたけど、こちらも完食してくれた。こちらはキュンとするより先に、申し訳なさが勝った。いや、ほんと、申し訳ない・・・
最初の失敗を生かして、ルーの開発から始めることにした。まずはルーがないと何も始まらない。香辛料を少しずつ混ぜ合わせて、スープのように飲んでみる。これなら失敗しても被害は少ない。ベースさえなんとかなれば、きっとなんとかなるはずだ。
作り始めると楽しくなってくるもので、それからの日々は充実していた。ダールも殿下も、きっと同じ気持ちなんだろう。次第に他の攻略キャラやナーン嬢も合流してきたけど、みんなでわいわいと一つのモノを作るのは楽しかった。なるほど、これは恋も芽生えるわー、なんて、他人事のように分析できた。
そして、この日がやってくる。
「・・・おいしい」
ごくりと一口飲んだルーは、馴染んだ味というより、お店で食べたことのある味に近い。スパイシーなカレー。これはまだサラサラで具も入っていないのでカレーというよりスープだけど、それでも、今までで一番おいしくできた。
「ホワイト、私にもくださいな」
「ちょっと待ってね」
この数ヶ月間で仲良くなったおかげで、ナーンの私に対する口調はすでに砕けている。もちろん、私もだ。彼女と仲良くなれたのは、やっぱりうれしい。
今、いつものキッチンにいるのは3人だけだ。ナーンとダール、あとはココ君。殿下たちは今日はいないので、3人分をスープカップによそって、それぞれの前に差し出した。
「どうぞ」
促せば、3人が同時にカップに口を付ける。そして・・・
「へぇ」
「あらあら」
「・・・からい」
美味しそうに相互を崩したのは、ダールとナーン。ココ君だけは、うえ、と舌を出してしまった。可愛い。
「ココ君には辛かった?」
「はい・・・美味しいとは思うのですが」
慌てて付け加えたような一言も、ゲーム内のココ君を知っている私は気にならない。彼は元々甘党だ。彼を攻略するには、辛いカレーではなく甘辛いカレーのココナッツカレーが必要になる。
「具材を入れたら野菜やお肉のうまみも加わってまた味が変わるだろうし、これをベースにアレンジまでできて完成、かな。ココ君は何入れたい?」
「・・・ヤシの実は可能でしょうか?」
「たぶんできると思う」
私の答えに、ココ君の表情がぱっと輝く。それを微笑ましいと思う前に、首に痛みが走って、視界が急に変わった。
「それより先に、俺のレンズ豆」
「わかってる。約束だもんね」
ダールに顎を掴まれ、無理矢理上を向かされたのだろう。ダールも私を覗き込むように見ているから、私の視界には彼しか映っていない。
満足そうに笑う、至近距離のダール。心臓に悪いわ、これ。
赤くなった頬を隠すように笑って、ダールの手を振り払う。案外簡単に外れた手を避けたら、今度は目の前にナーン。
「カレーが完成したら、私もぜひ呼んでくださいませ。お米は貴女が用意するのでしょうけど、パンは私にお任せを!」
ドンと胸を張るナーンに思わず笑みが零れた。ナーンの領地は小麦が主食だ。パンもいろんな食べ方をしているらしいので、きっと立派なナンを持ってきてくれるだろう。
「楽しみだなぁ」
気持ちは勝手に口から零れていた。白米とナンで食べるカレー。絶対絶対、美味しいに決まっている。
楽しみすぎてにこにこしていたら、ナーンも同じようににこにこと笑ってくれた。笑顔のナーンは可愛いなぁ。やっぱり仲良くなれてよかった。
にこにこにこにこ。
私の楽しい気持ちが、皆にも伝わっているんだろう。ダールもココ君も機嫌良さそうで、この日はとても楽しい間に一日が終わった。
カレー作りが楽しくなってきた私は、すっかり忘れていた。
そう。ここが乙女ゲームの世界であることを。カレーの完成は、恋愛イベントの到達点であることを。
カレールーの成功から1ヶ月。その間に、ダールのレンズ豆のカレーと、殿下のキーマカレーが成功した。ここまで美味しいと思っていなかったんだろう。二人ともお米もナンもおかわりして、作ったカレーはその日のうちに全部なくなった。二人とも無言で食べてたから、相当気に入ってくれたんだろう。作った側としてもありがたいことだ。
今はココ君のココナッツカレーと、先生用のチーズカレーを開発中だ。開発中なのだけど。
「お前、まだ作ってるのか」
私は今、不機嫌なダールに、足止めされています。
いや、ほんと足止めって言葉そのままだよ。前世では壁ドンってあったけど、まさしくあれ。長い足が壁を「ドン!」って踏んで、私の行く手を遮っているんだから。
「カレーの事? 作るよ。楽しくなってきちゃったし」
やっべー、これイベントだわ・・・そういえばここ恋愛ゲームの世界だったわ・・・
思い出しても、時すでに遅い。ダールはギロっと私を睨んで、
「言い出したのは俺だ」
「そうだね。でも今はもうみんなで作ってるものだよ」
表面上はできるだけ冷静を装っているが、内心は心臓がバクバクして死にそうだ。これは恋愛イベントだ。それも、嫉妬イベント。やばい。
「お前、わかって反らしてるだろ」
「な、なんのこと?」
チッ、と舌打ちが聞こえたかと思ったら、背中に衝撃。痛みに目を閉じれば、耳元でダンと硬い音が響いた。そして、近距離に迫るダールの顔。
壁に押さえつけられてる、と気付いた時には、もう逃げることもできなかった。
「俺を見ろ。お前が気にかけるのは俺だけでいい」
言葉と同時に、唇が降って来る。額に、目尻に、そして頬に。次々に降って来るそれは、けれど、唇にだけは決して触れない。
これがゲームの中だったのなら。黄色い悲鳴が上がる場面なのだろう。実際、私もプレイヤーの時は変な声が出た記憶がある。
だけど。自分が当事者になったら。声を出す余裕もない。だって、これは誰だ。私が知っているダールは・・・こんなに強気なことを言いながら、こんなにも切ない表情をする人だっただろうか。
「ホワイト、頼むから・・・」
俺を好きになって。
音にならない言葉が、聞こえた気がした。
ダールと別れた後も、私はその場からしばらく動けずにいた。頭が混乱している。心もだ。こうなるとわかっていたはずなのに、わかっていたのに。私は何が起きたのかわからなかった。
「そんなところに座っていたら、服が汚れるよ」
だから、目の前に殿下が現れた時も。働いていない頭で、声のした方向を見るだけで精いっぱいだった。
「いい顔してる。食べたくなるな」
「・・・へ?」
なんだって?
あまりにも爆弾発言すぎて、我に返った。返らざるを得なかった。ぽかんと口を開いた私に、殿下の整った顔が近づいてきたと思ったら。
べろんと。首筋を舐められた。
「ひえっ!?」
思わず変な声が出て、壁にぶつかるまでずり下がる。とはいえ、最初から壁との距離はほとんどない。ゴンと頭を打って、痛みにまた変な声が出た。
私の反応に、殿下はとても楽しそうに笑っている。
「良い反応。もっと俺に染めたいな」
いーーやああああ! これ! これも、イベントじゃん!? なんで連続して発生してるの!?
やめて欲しい。今すぐ逃げ出したい。なのに殿下は私の手を取り、
「ダールの時も、ちゃんと逃げた?」
だなんて聞いてくるから。
「・・・へ?」
なんとも間の抜けた声が出てしまった。
声だけじゃなく、表情も間の抜けたものになっていると思う。そんな私に、殿下はなおも質問を続ける。
「言い方を変えよう。ダールにされて、嫌なことはあるかい?」
ダールに・・・? え、どうだろう。
ダールと初めて会った時の記憶なんてない。物心つく前から一緒にいるんだから、当たり前だ。幼いころは元気すぎるほどに元気なダールに振り回され、いろいろなところに無理やり引き摺り回されていた気がする。
だけど、そんな頃でも、ダールは私が「嫌だ」ということはしなかった。まぁ、未だに無断で私の部屋に入ってくることはあるけど、控えて欲しいけど、昔からこうなので絶対に来るなとは思ってない。
私たちはもう、家族みたいなものだ。そんなダールにされて嫌な事・・・?
「思いつかない、って顔してるね。まったく、悔しいな」
呆れ声が振ってきて顔を上げれば、そこにはなんとも形容しがたい殿下がいて。あまりにも美しい表情に、目が離せなくなってしまった。
「ダールが嫌になったらいつでもおいで。君なら歓迎するよ、可愛い人」
ちゅ、と唇のすぐ真横に柔らかな感触。それはすぐに離れていき、最後に見たのは、どこか満足そうな殿下の笑顔。
遠ざかっていく殿下を見送りながら、私は何が起きたのかわからないでいた。
どれだけ混乱していても、時間というのは過ぎるわけで。呆然自失のまま家に帰った私は、そのままベッドへと横になった。
状況を整理しよう。
まずはダール。これは間違いなく嫉妬イベントだった・・・と思う。でも最後がゲームとは違った。あんな・・・あんな切ない表情、ゲームの中のダールはしない。思い出すだけでも、胸がじわじわと苦しくなってきた。
そして殿下。こちらも嫉妬イベントだと思うのだが・・・全体的に、ゲームとは違った。殿下の言葉をそのまま受け止めるなら、殿下はもう攻略対象からは外れたことになる。
そう。殿下の言葉をそのまま受け止めるのなら。ダールに、私を譲るということだ。
「・・・ダール、か・・・」
目を閉じれば、浮かぶのはダールの最後の表情。耳に届くのは、聞こえなかったはずの言葉だ。
とたん、顔に熱が集まるのがわかる。ああ、もう。これはもう仕方ない。気を紛らわせようと思っても、脳裏に、鼓膜に、焼き付いて離れないのだから仕方ない。
認めなければ。従兄妹であり、幼馴染でもある彼を、私も恋しいと思っていることを。
そう考えて、なんとも居た堪れない気持ちになり、ベッドに顔を埋めていた。ううう・・・まさかこんなことになるとは。攻略しないつもりだったのに、なんで、いつからこうなっていたんだろう。
基本的にダールは自分勝手だ。自分がやりたいことは何でもやるし、やりたくないことは梃子でもやらない。私の部屋に勝手に入って来るのも、その延長だ。私がどれだけNoといったところで、入りたいから入って来る。マナーやモラルは関係ない。ただ、「そうしたいから」しているだけだ。
だけど、ダールを語るにはそれだけでは不十分だ。彼は懐に入れた人には甘い。幸いにも、私は物心ついたころから懐の中にいて、甘やかされていた自覚はある。彼に言われた通り、見ないふりをしていただけ。私を決して「従妹」と呼ばない彼に、従妹として貫き通してきただけだ。
「はぁ・・・」
そこまで考えて、ため息を一つ。ひどい女、だよなぁ。それでもダールはずっとこんな私を思ってくれていたのだから、頭が上がらない。
今さら何を、と言われるかもしれない。だけど、ダールの横に私以外の誰かが立つのは嫌なのだ。あの表情を、私以外の女性に向け、愛を囁く。それは・・・・・・とても、嫌だ。考えるだけで、胸がぎゅうっと締め付けられる。
こうなったら仕方ない。ダールは侯爵家の跡取りだ。平穏な生活には遠いかもしれないが、幸いにも、ダールの両親は私にとっても叔父叔母にあたる。多少不出来な嫁でも、許してくれるだろう。
「・・・よ、め」
あーーーー!! 気が早い!! 絶対に気が早い!! いや、貴族である以上、というか恋人になったら、行き着く先はそこだけど! でもまだ恋人にもなっていない段階で考えるには早すぎる!!
そうだ、ちゃんと最初から始めなくては。ダールは気持ちを見せてくれた。今度は私の番だ。
「よし」
気合いを入れて起き上がり、机に向かう。まずはナーンにお手紙を書かなくては。これ以上カレーを作り続けて、攻略対象の好感度を上げるわけにはいかないからね! というか、カレーの完成=好感度のMaxだということを忘れていた私も悪い。ここはゲームではなく、現実の世界。自分の気持ちに気付いたのだから、これ以上の好感度は上げないほうがいいだろう。
とはいえ、ナーンにゲームの話はできないから、それをそのままは言えないけど。でも、ダールのことを言えば許してもらえるはず。あとはレシピをお伝えして、私ではなくナーンが考えたことにしてもらえば、それで大丈夫だろう。
それが終わったら、ダールのことを考えなければ。ああ・・・なんて返事をすれば、彼にこの気持ちは届くんだろう? 怖くなってきたなぁ。
でもダールはこの恐怖を乗り越えて伝えてくれたんだから、私もしっかりしなくては。頑張ろう!
って気合いを入れてたのにさ・・・まさか、あの後ずっとダールに会わなくなるとは思わなかった・・・たぶん、ダールは私を避けてたんだろけど・・・これは傷つく・・・もしかしたら、もう私の事なんて好きじゃなくなったのかもしれない。それでもいい。私は私の言うべきことを伝えるだけだ。
悶々としながらも、時間は進む。今日はもうゲーム最終日。つまり、学園の卒業式だ。今日こそはなんとしてもダールに伝えなくては。
卒業式と言っても、ここは貴族の学校。前世のような厳かな卒業式などはなく、パーティーがあるだけだ。つまり、ドレスコード。その名の通り、ドレスで向かわなくてはいけない。
「お嬢様、お綺麗です!!」
そう家の人たちが褒めてくれたから、変な恰好ではないはず。それでも、このドレスの色の意味はちゃんとわかっている。
若草色。ダールの好きな色をまとう意味くらいは。
パーティー会場について、真っ先にダールを探した。今まで散々逃げてくれた彼の事。今日もどこか見つかりにくい場所にいるのだろうと思ったが・・・
「いた」
一番奥。柱の奥に隠れるように、ダールがいた。
背筋を伸ばして、まっすぐに傍へと向かう。できるだけ気配と足音は殺して、近づいているのが私だとバレないように。ここで逃げられては意味がないからね。
注意しながら進むことしばし。ダールの服が掴めるほど近くに来た私は、やっとその名を呼ぶことができた。
「ダール」
「っ!」
呼ぶと同時に彼の服を握りしめる。もう逃がすつもりはない。そのまま思い切り引っ張れば、ダールがやっとこちらを見た。
そして、これ以上ないというほど、大きく瞳を見開いた。
「お前、そのドレス・・・」
「似合う?」
ふふ、と笑って、ひらりと裾を翻す。ダールを捕まえたままだから回転はできなかったけど、まぁ、全身像はそこまで重要じゃないだろう。
真っ白な私が、ダールの色をまとっている。大事なのは、その一点のみだ。
返事を期待する私の前で、ダールは言葉を飲み込むように口元に手を当てた。あれ、おかしいな。てっきり褒めてくれると思ったのに。
けれど誉め言葉はいつまでたってもかけられない。代わりに聞こえた声は、絞り出されたように震えていた。
「・・・自惚れて、いいのか?」
・・・まぁそうね。姿だけじゃ、正確な回答にはならないよね。
まだ信じられないのなら、信じてくれるまで言葉を返すだけだ。
「自惚れて欲しいわ。そうじゃないと、着てきた意味がないでしょ?」
「本当、に・・・? お前が、俺と同じ?」
「それはわからない。貴方の気持ち、ちゃんと聞いていないもの」
あの日紡がれた言葉は、態度は、たった一つの答えを表している。だけど、それは全部私の受け止め方次第で変わるものだ。
だって、明確な言葉は言われていないのだから。
ダールもそのことに気が付いたんだろう。驚いたように目を丸くしたと思ったら、ばつが悪そうに視線を反らした。
・・・ゲームなら。告白をするのはダールからなのだけど、もうだいぶゲームとは変わっているのだ。今更もう一つくらい変わってもいいよね、きっと。
私が伝えたいことを伝えると、決めていたのだから。
「好きよ」
何度も何度も練習した言葉は、思っていたよりもさらりと口から出た。弾かれるように私を見たダールに向かって、私はにっこりと笑って見せる。
「ダールが好き。気付くのが遅れてごめんね」
その後のダールの行動は、驚くほど速かった。
気が付けば、全身が締め付けられるように痛い。あまりの痛さに、ダールに抱きしめられているのだとすぐにはわからなかった。だけど。
「好きだ。愛してる。子供の頃からずっと、俺にはお前だけだった」
耳元で囁かれる愛の言葉に、体中に熱が集まった。痛いし熱いし、もう何がなんだかわからない。
「これからは思う存分、お前に伝えていいんだな」
嬉しそうなダールが嬉しくて、私も彼に手を回してぎゅうと抱きしめる。YESの返事代わりのそれに、ダールはますます嬉しそうだ。
これだけ嬉しそうな反応をされるなら、ちゃんと伝えてよかった。そう思ってたんだけど。
「俺の色に染まるお前は、今よりもっと美しいんだろうな」
声音からは、嬉しさが溢れている。もちろん、表情も、態度も、すべてが「嬉しい」と言っている。言っているんだけど。
なんだろう、この悪寒は。私の髪を整えるように触れていく手は優しいのに、嫌な予感にぞわぞわする。
「明日から楽しみだな」
・・・早まったか!? ねぇ、これ早まってない!? 眠っていた獅子を起こしたような、そんな恐怖感なんだけど!
思わず固まった私の手を、笑顔のダールが静かに握りしめる。
「まずは今日だ。踊るぞ、ホワイト」
静かに、だけど力強く歩き出したダールに引っ張られるように、私もゆっくりと歩き出す。嫌な予感はするけど・・・うん。
ダールの隣ならどれだけ刺激的な生活でも大丈夫。今は強く、そう思えた。
カレーが食べたくなりますように。
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わかりづらかったと思うので補足。
最後のほうでダールがホワイトを避けていたのは、殿下とキスしているところを目撃したからです。(正確には未遂ですが)
やりすぎたことを謝って一緒に帰ろうと思って引き返したところ、あの現場に遭遇したため回れ右して帰りました。
その後は、振られるのが怖くて避けていました。




