planning and strategy
慌てて集まったロクサスメンバー達が急いで構える。
「E級のゴミがよくも!!」
「そろいもそろってエリート気取りの無能どもが。何かっこよくやる気出してんだ?」
幹部のゲルトが割って入る。
「やってくれたな。ーーーお前、この状況で生き残れると思っているのか?」
「あぁ? そりゃもちろん。生け花しながらでも余裕だ」
ゲルトは状況を理解していないタカに説明する。
「お前が殴り飛ばした彼はロクサスとの財源を少なからずも担ってくれている世界の一つ、重要会社の会長にして、その息子である社長を手にかけたんだぞ? 例えこのままクラウドに帰還しても不利益、そして損害を被ったお前には、正式に上から処分されることになるだろうがな」
「なんだ脅しか?」
自慢の息子を目の前で吹き飛ばされたことにより腰を抜かしていた会長が
「こいつを、……こいつを殺ってくれ‼ 一番むごい殺し方でな‼ 金ならいくらでも払う」
吠える会長にタカが手を前に突き出した。
「お前らに教えといてやる。じきにここへはこの世界の警察が到着する。このやり取りもすべてそこにある小型ドローンで街中に中継されている」
エネの懐で超小型ドローンが一部始終撮影していた。
「ななにぃ!! いつの間に⁉ いつからだ‼ いつからーーー」
「お前らもこそこそドローン使ってたから分かるだろ?」
会長が思い返す
「まさか、貴様、あの時から既に」
「お前の読みが当たってるか知らねぇが、そこで伸びて寝ているガキに予めプレゼントとして渡しておいたんだよ」
「まぁ中継と俺の伝手もあって、この会社が行ってきた悪事等も情報が洩れている頃だ。この部屋での、お前ら親子の会話も中継されていたからな~。それを国民や国はどう思うかな? 人殺し戦隊の親玉さん」
「きぃき貴様こそ、ワシの息子達と気絶して転がっていた木のガキもお前が先程壊したガラスのせいで致命傷になっておるではないか!」
「俺はヒーローになりたいわけじゃねぇがよ、ガキは無傷だ。そしておまえらの理屈なら殺しは殺しでも悪党はぶっ殺しても罪に問われないんだろ?」
会長は混乱しながら床に寝転がっているエネを見ると無傷だ。
「なに… なななぜじゃなぜじゃああ」
エネの横には宝石のように輝く石が落ちて割れていた。
その石は違う世界の石で所有者を危険から一度守ってくれるという魔法の石だ。
「なんで危険と分かっていて、このガキにはプレゼントのドローン一つだけなんだ?」
「貴様… 最初から全て気づいておったのか… ぁあああぁあおのれぇえええあああああ!!」
会長が怒り狂っていると入ってきた警察に逮捕され連行されていく。
その様子を見ていたゲルトがタカの耳元で
「この世界の件はこれで片が済んだかもしれんが、お前にとっての処分は変わらんぞ。ロクサスへの不利益・損害を被り、ましてや街中にロクサスという機密事項さえ漏らしたのだからな」
ゲルトが嬉しそうな顔で話しかけてくるので、ネタ晴らしを始める。
「中継には数秒のタイムラグがあってな。途中でオタッキーどもが編集しながら中継してたから情報が漏れていることはねぇ」
次に二つ目! と言わんばかりに指を二本立てる。
「因みにこの件でロクサスへの損害もねぇ」
「何を馬鹿なことを」
ゲルトの部下から話が入る。
「――――――な、んだと… むしろプラスだというのか!!?」
驚いているゲルトにタカは
「これでお前が言うロクサスとの何だかんだはなくなったはずだ。後はお前の私情と俺との問題だ さぁどうする? このまま続けるか?」
ロクサスメンバー達が戦闘態勢に入る。
だがタカは、あっ! と言いそびれた事を思い出す。
「お前が今回の釣り依頼でロクサスのゴミ達の掃除を、あの会長達と結託して仕組んだ事はちゃんと黙っといてやるよ。今まで上層部に媚び諂えて、上へ上がるために仲間を蹴落として犠牲にしてきた陰気野郎なんだからよ? 今回は多めに見てやるよ 」
タカはゲルトの情報も事前に調べていたようだ。
ゲルトは怒りで震えながら今にもタカに向かって飛び出しそうな拳を引っ込めて帰還に乗り出す。
何かまだ策があるのか、余裕なタカを見ての判断だ。
「今回のこと、覚えておけ」
ゲルトはメンバーを引き連れロクサスに帰還する。