master mind
タカは大社にある長の部屋に向かうと長が倒れていた。
「おい、息はあるか?」
「―――あ、ご武人、か、…、聞いておくれ、壺は滝の品が…本物ではないのじゃ。これが壺、じゃ、」
長が首元に下げていた小さな結晶の石をタカに渡す。
「エネを…任せ、る」
長は最後に力を振り絞りタカにエネを託した。
「おい、…」
タカは何か聞こうとしたが長は息を引き取った。
(まだ何かエネについて隠してやがったな)
タカは部屋に置いてあった壺を取りダミー用にして南にある小屋へと向かう。
「久々だ。俺がこんな仕打ちを受けたのは…」
森を最短距離で駆け抜ける。
(あぁあああ――――血管がキレそうだ、やべぇ)
今にも爆発寸前で考えながら向かっていると携帯に着信が入る。
―――PULLLLLL―――
「やぁ。兄貴! こといい、インフィニティタカ。俺だ、オカモトだ」
電話をかけてきたのはオカモトだった。
彼は話を続ける。
「壺は持ってきてるか? 俺はね。待ち遠しいよ、ちょいとさ、壺を確認させてくれよ」
タカは動揺もせず画面越しに壺をみせる。
すると向こうからエネが
「パパ‼ きちゃダメ‼ お願い引き返して‼」
タカの身を案じてか引き返すように言うが横から
「ちゃーーんと、この通り、木のガキもいるからよぉ、しっかり守って運ぶことだな‼」
プツンっと言いたいことだけ言って通信が切れた。
だが切れたのは通信だけではない。
タカ自身も何本もプツンプツンと堪忍袋の緒がキレている。
小屋が見えたタカは真正面からではなく近くの木から上空へ飛び、小屋の上から突入することに決めた。
タカが叫ぶ。
「久々に ここまでキレたぞ‼ おぉぉぉオおおおかぁもとおおおおおおお‼‼!!!!」
上空から拳を叩きつけ小屋をぶち破り中へと到着する。
だが小屋の中には、エネもオカモトもいない。
あるのは大量の爆発物だけだ。
タカの目の前が閃光のように輝き、DOONNNNN‼ と小屋が吹っ飛ぶ。
小屋の破片、煙、土が舞い上がり、火が周りの木に移り燃え広がる。
街でも宣伝されていた、この世界のリアルヒーロー・フォース戦隊過激レンジャーのポスト・レッドが仕掛けた数十個の爆弾によりタカは小屋諸共吹き飛んだのだ。
『悪は淘汰された‼ 我らフォース戦隊過激レンジャー‼‼‼‼』
四人のレンジャーがポージングを決めて勝利を確信した。