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ある日タカが携帯で現在募集している依頼を検索していると、ランクEの割には報償金が高めに設定されている広告があった。
こんな条件の良い任務は競争率が高く失敗する確率も高いが、なんと言っても時間が掛からなさそうな内容であったため登録した。
人気があり応募登録数が多いと抽選になるが、すんなりと通った。
内容は壺を回収し届ける。
至ってシンプルだ。
ランクはE判定。
タカは準備を済ませ、すぐに道にいくつも設置されているフリードアでのゲートを使い、異世界の集合場所へと向かう。
「ここか…」
到着したのはこの世界でも名が通った財閥、井戸財閥の本社である。
ロクサスから猛者達がゾロゾロと本社のホール会場に集まったところで、井戸財閥会長直々に挨拶がなされる。
「皆様、はるばる遠くからよくぞ、よくぞ来てくださいました。今回ワシが発注した依頼についてじゃが、ここから南西にある七輪林峠にある壺を回収して来てほしいのじゃ」
会長の話であれば距離はここから徒歩で丸二日かかる程度。
「あと今回の依頼での変更点がある。それは協力して何名かで壺を持ち帰ってもらった者たち一人一人にも各個人に依頼用の報償金を全額支給させて頂く。これは依頼成功を何としても行ってもらいたいからである」
場内が「おぉ!!」と感心の声が聞こえる中、タカに話しかけてくる男がいた。
「―――なぁ あんた! 俺と組まないか?」
タカの方へと近寄り改めて名乗り直す。
「俺はオカモト! オカモトすぐる。今回こんな条件に変更になったんで、折角だから一緒に組んでみないか?」
「―――オカモト、お前と俺が組むメリットは?」
「そりゃ一人より二人のが心強いだろ?」
「却下だ。こういったシンプルな依頼は一人でやった方が楽で速い」
「待った。 あんたこの世界に詳しくないだろ? しかもどうやってあの峠まで行く気だ?」
「知り合いがいる。車の手配も事前に済ませた」
「ひゅう~やるなぁ じゃ俺も一緒に連れてってくれよ」
「話聞いてなかったか? 他の奴と―――」
「道案内は必要だろ? しかもあの峠の森は色々出るって噂だ。俺はあそこに過去の依頼で何回もいってる。どうだ?」
「…」
タカは少し考えたが、
「わかった。足は引っ張るんじゃねぇぞ」
「わかったぜ 兄貴!」
「―――あ?」
「だって名前教えもらえてないから、男らしいワイルドイケメン兄貴なんで、そう呼ぶことにするけどダメ?」
「調子良いやつだな」
財閥本社を出てタカとオカモトは手配した車がある店まで向かった。




