infinitiy Taka
天気は快晴。
見渡せば整備され綺麗に立ち並ぶビルと景観を損なわないように草木、樹木が配置されている。
ただこの世界では各世界の世界観が織り交ざっているため突出した個性的な建物もあるが、妙にそれが坦々とせずアクセントになっており調和がとれている。
ここに住まうのは各世界の重要人やスカウト・または成り行きで来た人々がロクサスに所属している。
和のテイスト木造の中に洋風、幻想にも近く近代の科学も融合された独特の世界が入り込む今人気のオープンカフェから少し離れた大通りで男は歩いていた。
短髪の銀髪にグラサン、まるで百獣の王ライオンのような野性的威圧的なオーラを振りまきながら歩く男の名はタカ。
彼のまたのあだ名はインフィニティタカ。
誰が付けたのかも知らないが変なあだ名がなぜか定着してしまっていた。
「おい あれインフィニティタカじゃん!! ちょ写メを」
この街ではちょっとした有名人になっている。
その理由の一つが
「―――ちょいと待て インフィニティタカ。てめぇこの前はよくも―――」
声を掛けられたが足を止めずに無視して進む。
「無視すんじゃねぇぞ!! そんな態度でいられるのも今のうちだ!」
するとぞろぞろと前からも後ろからも二十人ほどの人であっという間に取り囲まれた。
「今日はやけにおとなしいな、―――まさかさすがにブルっちまったか?」
目も合わせず無視を貫き通すが
「こいつがあの噂のインフィニティタカか? 噂だけじゃねぇのか?」
好き放題言わせてはいるが人にも限界というものがある。
「この辺りでお前が顔を利かしているせいで俺らは歩きずれぇんだわ」
タカは歩く先にいる道を阻む男の前まで行き
「じゃ――歩かなけりゃいいじゃねぇか」
振りかぶった拳を顔面に叩き込むと相手は後方へ吹っ飛び止まっていた高級車のフロントガラスをぶち破った。
この世界では前述で述べたが、ロクサスが腕に自信のある者をスカウトしてこの世界へと来ている。
横の黒スーツの大男が叫ぶ
「こここいつ やりやがったな‼ やっちまえ‼」
各個人個人が能力、技、何かの技能に長けた者達が一斉に牙をむく。
タカは大声を上げる男達に
「なぁ~にが やりやがった、だ⁉ ―――グダグダ言ってねぇでかかってこいやぁあ‼」
タカに向け銃や獣の召喚、炎や水・風の魔法・超能力、武器使用による近接戦闘が行われる。
それに対しタカは己の肉体のみで挑む。
真昼間の大通り、そこら中で乱戦が繰り広げられ爆炎があがり、まさにお祭り騒ぎだ。
お祭りに似つかわしくも、人が打ち上げ花火のように上がっていく。
ただそれは爆風によるものではなくタカの拳によって。
煙が収まるとタカを囲んでいた野郎達が伸びて無造作に倒れ転げている。
倒れていた男がボソッと呟く。
「ほほ、…ホントに、ランクEなの…か?」
ランク、依頼とは別で評価は表に出ないが、ロクサス組織上層部内の裏で個人評価付けされているワードである。
その裏ランク表は噂で広がり一人歩きしている。
個人が意図的に流したものなのかどうかは誰にもわからない。
六段階評価制度で下から順にF・E・D・C・B・Aになっている。
評価内容としては、F=一般人+銃刀での武装レベル~A=annnounnまでとなっている。
この評価でその人物の強さが決定されている訳ではない。
だがやはり高位能力者・技術者が優遇され、ランク=強さで評価されていると思っているものが殆どだろう。
個人の技能、能力、魔法、様々あるが、客観的に見ての評価になるため相対すれば変わるのも当然のことだ。
現にタカは、噂の裏個人表ではランクEだ。
だが今回喧嘩を吹っ掛けてきた二十人のメンバーの中にはランクDの者もいたが関係なく返り討ちにあった。
やはりそんな表だけでは個人を評価することはできない。