第2-38話 後輩
逃げ回るノクスに黒フード男は
「いい腕だろ? この力で俺、いや、―――これから俺たちは世界に変革をもたらせる」
(――俺たち? やはりチームで動いているのか…… 変革だと?)
「おれもそんな腕がほしいもんだッな‼」
圧縮した弾丸を打ち込む。
だが黒フードの男に届くまでには腕で威力が殺される。
「安心しな お前も俺のコレクションに加えてやる。さ」
攻撃は無数の腕により防がれた。
(いつになったらダメージ与えれるんだよ!)
黒フードの男はノクスが着地した地面の中に腕を隠して仕込んでいた。
下からマグマが噴出するように呪いの籠った腕によってノクスは上空へ吹き飛ばされる。
「ぐっ―――ッ」
すると―――NNNNNN――――とノクスの服から音が鳴った。
「―――やべぇ… エリアの数が切れたか」
エリアとは前述で述べた、いわゆるバリアのようなものだ。
重症を負うような外的要因(爆破や斬撃)等でバリアを展開するのか、ある程度の外的要因(打撃)でも展開するのかでバリアの持続時間や展開する回数が変わってくる。
展開のタイミングはスーツ全体に仕組まれているセンサーが自動で感知し判断してくれる。
その他にもスーツ補強による肉体強化補正や衝撃吸収繊維システムが組み込まれている。
そのためスーツを着用するだけである程度の能力者、技能者とも渡り合えるようになっている。
ノクスはこのエリアのおかげで呪術を防いでいたのだが、回数が大まかに決められており、切れるとエリアは発生しなくなり、しばらくの間使用不可になるのだ。
(―――ッぁ、一撃もらったら死ぬなこりゃ…)
「どうした? 顔色が真っ青だぞ?」
男は無数の手を向ける。
すると一つに集まるように手が一点に収縮する。
集まった瞬間、爆発するように一気に伸びた三本の腕がノクスを襲う。
(―――ッち!!!)
腕がノクスを捉える瞬間、黒く灰に変わる。
「―――なんだ?!」
ノクスの目の前に閃光が走った。
腕が届く刹那、黒い雲が発生し、ビカッ!!―――と雷が落ちたのだ。
――――『八雲/雷雲!!!!』―――――
三本の腕が焦げて灰に変わる。
腕の先にいる者に黒フードの男は視線を移す。
「だれだ貴様…」
「―――なんとか間に合いました」
「ふぅ」と汗を拭い、三本の腕を消し炭にして改めてノクスに言う。
「遅くなりました。先輩」
タケミがノクスの前に立つ。