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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-6話 自業自得


その頃、ゆいを陥れた三人の女子達は、暗がりの廊下を携帯のライトで照らしながら進んでいた。

「まさか、あのゆいが役立つときが来るなんてね~」

「そうだよね。ちょっとやりすぎた感はあるけど」

「さいか! あんた同情でもしてるの⁉」

「なわけないでしょ、――ちょ 押さないでよ」

「押してないしぃー!」


三人がそんなやり取りをしていると後ろから大きな足音が近づいてくる。


「やばっ――なんか後ろから来てない?」

「おそいって――さいか邪魔‼」

「――はやくはやく行ってぇぇえええ」


三人は化け物に気づき廊下を走り出す。


この廊下の先には非常扉があり、閉めてなんとか時間稼ぎをしようと三人は思ったのだが、先にいた一人の男がその扉を閉めようとしていた。

「ちょっと‼ 待ってよ‼ まだ私達いるのに」


男はその言葉を聞いたが、扉を閉める手を止めない。


女子の言葉を無視して、ドンと扉が閉まる。


三人は必死に扉を開けようとするが開かない。

「誰よ‼」

「ちょっと‼ ふざけないでよ‼ はやく開けてよ‼‼」

後ろから迫る化け物に、三人の必死さが増す。

「「ねぇ‼ おねがいぃいいいいい あけてぇええ開けて開けてぇえええ‼ っ開けろ‼」」

三人が扉を叩き、泣き叫ぶ。


すると何度も扉を叩く女子達に、扉の向こうから男の声が聞こえてきた。

「…… お前らも助けてと、そう言った友達を見捨てて来ただろ?」

彼女たちの頭にはゆいの顔が浮かんだ。

だが

「違う‼ あの子は友達じゃない 表面上でしかつるんでなかっただけだから」

「こいつらもそう‼ お願い‼ はやく開けて」

「なんでも言うこと聞くから‼」

自分のことを良いように言いたい放題必死な女子達に男は

「そんなことはどうでもいいけどよぉ、お前らみたいなクソを俺が、危険を冒してまで助けるぎりねぇよ」

「え…なにそれ…おまぇえええええええぎやああやああああああああああああ」


彼女達の悲鳴が聞こえるが、次第に肉がちぎれ、骨が折れる音と共に聞こえなくなった。



(この扉もそんなに時間稼ぎにならねぇな)

叶はすぐにその場を離れ途中で待たしているタマオと合流する。



レン、アロー、ゆいは一息ついて落ち着きを取り戻した。


「さて 行くか」

レンは出発を促し、アローは助けたゆいに尋ねる。

「ゆいちゃんはどうする? 俺らは友達を助けに行くけど無理に俺たちに付いてこなくてもいいけど」

「私も行く‼ こんな状況じゃ一人で逃げ切れないし」


付いてくるというゆいにレンが

「アロー‼ ゆいちゃんのフォローを頼む」

「おーけぃ了解! 任せろ」

「俺は先に行って様子を見てくる。後から付いてきて」

レンが先行するような形で、後に続きアローとゆいが続く。


険しいルートでは、アローがゆいをフォローして、なんとか三人は目的の場所付近までたどり着く。

「警備室までもうすぐだ」

「――待って‼」 

ゆいが二人を急に引き引き止める。


アローが不思議そうに尋ねる。

「―どうした? ゆいちゃん」

「あそこを見て!」

ゆいが指さした方角を見ると二人は絶句した。


こうへいだ。こうへいが他の学生達と校舎と道路の境界線でパントマイムをしている。


「あいつ何してんだ。――やっぱアホか」

だが様子が可笑しいことに気が付く。

(いつもおかしいが、今日は違う)


レンが異変に気付く。

「…… もしかして、外に出られないのか?」


アローやゆいはレンの言葉に耳を疑う

「は? そんなことがあるわけ……マジで?」

「え? 出れないの⁉ じゃぁ……これからどうするの?」

 

三人は、こうへい救出後この地獄から脱出予定だったのだが、その予定も潰えた。



―――『空…を、見ろ』――――――


声が頭の中に直接聞こえる。


アローは嫌な感じがした。

とても気味が悪い。

「なんだ? この声⁉」


その声を聞きゆいが指を空に指す。

「空を見て‼」


(……数字?)



『Ⅲ=8』

『2=壱五』

『壱=七』


奇妙な声と共に、空に数字が表れる。


学生の演出にしては凝りすぎている気がする。

プロジェクトマッピングやそういった物が思い浮かぶが、違う気がする。


そして遠目から見ても分かるくらい校内のある場所が赤く黒く深く滲むように光る場所が何か所かある。


三人が見上げながら考えていると、また声が聞こえてきた。

『―――あれは出口だ。東が壱。2が南。Ⅲが西門に赤黒く輝く扉が出現している。急いで逃げてくれ――』


響く声に三人は怪しむ。


「どう思う。レン…?」

アローはレンに答えを求め、ゆいは心配そうな顔でレンを見つめる。


「状況からみて、これは罠の可能性は低い思う」

「やっぱそう思う?」

「あぁ。それに、ここで足踏みをしていても現状俺たちに打つ手はない。まずはこうへいと合流しよう」

「わかったで、レン」


レンの判断力、落ち着いた声のトーンが不思議とアローやゆいを安心させる。


(こうへい待っていてくれ)

そう思うレンだが…


だがこうへいは先いた場所から既にいなくなっていた。

アローが見渡して探すがいない。

完全に三人は見失った。

「あいつどこへ行きやがった」


レンも焦って辺りを見渡す。

「――ん。あれは」

よく見ると遠くにこうへいの後ろ姿があった。


出口だと思われる方角へ走って行ったのだ。


レンは考える。

「……」

こうへいに振り回されっぱなしなことに、流石にアローも限界のようで

「今度こそ放っておくぞ…レン‼」


考えたレンは

「――いや、こうへいに続くよ」

思っていた答えと返答が違ったアローは再度聞く。

「え? なんで⁉」


「上の数字が変わっている」

レンの言葉にアローとゆいが上を見上げると



『Ⅲ=4』

『2=壱四』

『壱=六』


確かに下の数字が変化している。


「あの上の数字は場所=外へ出れる人数だと思う。」

頭の回転が速いレンはすぐさま答えを絞り出す。


「そう言われてみれば確かに……そうだけど…」

「でも何でこうへい君に続くの? それなら2の出られる数が多い方に行くのが賢明じゃないの?」

ゆいは案を出すがレンが


「2は真ん中のセントラルガーデンを突っ切らなくてはならない、それで追われたら身を隠せる障害物がない」

「確かに」

「それに2の数があまり減ってないのはそういう事だと思う。抜け切れる者がそういない」


ゆいの顔が真っ青になり恐る恐るレンに尋ねる。

「じゃ三人が行っても一人ぐらいしか、ギリギリ通れるか通れないかってこと⁉」

するとアローが

「いや、多分無理やろ」


レンは一番可能性のある提案をする。

「こうへいが行ったルートの先には、おそらく壱の出口がある。幸いにも校舎からすぐの所だ」


「こうへい君は分かっていて選んでいるのかな⁉」

アローはそんなゆいの疑問をすぐに解決する。

「いや 単なる感と… やっぱ単純に近さやろ」


「それに気づいてⅢや壱の出口に向かう人達も出てくるはずだ。――急ごう」


こうへいの後を追い三人は急ぐ。


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