第2-32話 思い
「あ――――爆弾なら解除したぜ」
「……」
バッチは驚かない。逆に笑みを浮かべて
「知ってるぜ 倉庫にネズミが入り込んだと情報を受けて見に行かせたら爆弾は解除されてたさ」
けど、とバッチは続ける。
「この全列車の底に着いている爆弾までは解除することは出来なかったようだな」
バッチの言葉を聞きカルナが
(あの倉庫だけじゃなかったのか)
と倉庫を思い返す。
確かに一両に集中するより全車両に爆弾を仕掛ける方が被害は大きくなるイメージがカルナの頭の中に出来た。
バッチが
「お前たちがオルカと殺しあっている間に爆弾稼働モニターを見させてもらった。――――しっかり動いていたぜ」
それを聞いたノクスが
「――――お前のせいで、取り外すの大変だったんだぜ⁉ 走る列車の裏側に潜り込んで死ぬ思いしながら解除して… 背中削れるかとヒヤヒヤもんだったんだ。ったく」
「は… ?!」
とバッチは慌てて爆弾稼働モニターを取り出し確認する。
モニターではまだ動いている。
「――じゃこのモニターは何なんだ‼」
「それはダミーだ」
ノクスは続ける。
「俺んとこにはオタクの天才的頭脳を持つアホ女がいるんだよ… 相手が悪かったな。てか依頼時間、急すぎて少なすぎんだよ」
バッチは焦りながらもう一つの手段を言う
「爆弾は止めてもこの列車は止めれまい⁉ どのみちお前らは死に、… 都心に… 奴らにッ… 少しでも被害を与えれば俺の気が少しでもはれる」
必死に復讐しようとするバッチにノクスは
「お前はそんなことをして、本当にお前の気がはれるのか? ―――お前の娘も本当に喜ぶのか?」
「なんでそのことを… ―――ッ… 俺のことを調べたのか?」
「あぁ―――まぁ、ぶっちゃけ言うと俺はお前の境遇がどうだろうが、お前がどうなろうが興味はねぇし、お前の自由だ。ただ自分の大切だったものを自分で汚すな」
バッチはノクスの言葉に考え
「ッ俺はーー」
「あっ――今ムリ‼ 電話きたから」
ノクスに無線が入る。
「ノクスーー! 限界ラインまで残り二分しかない」
「あぁ そろそろ準備するわ」
ノクスがバッチに
「お前が爆弾をあんなに盛沢山、列車の下に付けてくれたおかげで助かりそうだ」
「?」
「あいつなぁ取り外すのにだいぶキレてたからな――ハハ」