第2-27話 急襲
カルナが考えて歩いていると二人はドアの前に着いた。
タケミが次のドアを開けて二人は中に入る。
「え?」
とタケミが言った途端、カルナはタケミに横に押され吹っ飛んだ。
カルナは列車の窓下の壁に背中をぶつけタケミに文句の一つでも言おうとしたが
「てめぇ何しや―――」
そう言いかけた途端
銃撃の嵐が起こった。
通ってきたドアが穴だらけになり吹き飛び、座椅子より高い位置の壁も穴だらけになっている。
銃声が鳴りやまない。
カルナがいる位置とは反対に目を向けるとタケミも反対側で体を屈めながら機を伺っていた。
押した反動でタケミも座椅子を壁にして隠れたようだ。
カルナが銃声音に声がかき消されながら叫ぶ。
「――ッどうなってんだ‼ これは!? もう奴ら中にいるじゃねぇか!!!」
「――――からーー。俺がーーー援護――――れ」
タケミの声も連射される銃声で声がかき消されてカルナも聞こえずらくなっている。
銃の威力が強力で座椅子が削れて、もう壁として持ちそうもない。
相手も撃ちながら二人のいる場所に近づいてきている。
タケミが刀を構える。
近づいてきた盗賊団のメンバーがタケミに向け銃を構えようとしたその時タケミが刀を抜く
―――『八雲/筋雲』――――
盗賊団の銃が真っ二つに切れタケミが動揺している男の手をひねり後ろへ回して刀を突き付ける。
人質にして乗り切ろうとしたのだ。
だが銃が続けて連射される。
その男は弾丸で体が穴だらけになり血が噴き出す。
タケミは座席の上へ。跳躍し弾丸を避けながら飛び回り相手に近づいていく。
まるで日本の歴史に出てくる牛若丸のように。
(三人か、なら…)
―――『八雲/霧雲』――――
タケミが刀を抜き振ると煙幕のような霧が発生し視界が霧に覆われた。
霧で視界が見えなくなり盗賊団達が前面に向けて乱射する。
だがタケミは上へ飛びあがり天井を蹴って盗賊団の後ろへ移動する。
盗賊団の男が声を上げて持っていたダガーナイフをタケミに切りつけようとするが。
防いだタケミはダガーナイフを刀で折る。
その流れのまま刀が相手のあばらに食い込む。
まるでバットに当たった野球ボールをスローモーションで見た時のように、くの字に体が曲がり吹き飛んだ。
直ぐに態勢を立て直し銃弾を交わすべく、タケミは態勢を低くし上半身が地面すれすれで走る。
霧が銃弾の痕から抜けていき視界が晴れる。
その時には残りの二人もタケミに吹き飛ばされていた。
カルナは銃声が納まり見通しが良くなるとタケミだけが立っていた。
「カルナ もう大丈夫だよ」
何事もなかったかのように普段通り笑顔で話しかけてくるタケミに感心していた。
すると黙って眺めていたエルンが
《ほれ 言うてみぃ がきんちょ一人なら即死んでおったの これも童のおかげじゃハハハ》
(そーかそーか)
《でもこれで終わりじゃなく 列車はまだ前方に六両あるから頑張れ》
(なんでそんなこと知ってる?)
《童はなんでも知っておるのじゃ 敬え 崇めろ ひれ伏せ ガハハハッ》
そんなことを言っているとタケミが
「カルナ この列車は残り六両ある 俺が今みたいに突っ込むからカルナは援護してくれると助かる」
「わかった。 ―――なぁ… なんで六両だと分かった?」
「え? だって上に書いてあるから」
「… あ…」
普通に列車に書いてあることを見落としていただけに、エルンに偉そうにされていたのが恥ずかしいと思った。