表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
二章 【ロクサス】編
48/163

第2-12話 タケミの過去〔前編〕


―――七年前―――


雪が降り続く、山奥にある村に住むのが八雲と言われる部族だった。

その部族の中でも八雲流を扱う長として村を収めているのがタケミの父、ナギであった。


ナギは八雲流最強と各地へ名を広めた第一人者であった。

戦場に出れば敵は恐れ、戦う意志すらなくす程、名も広まっていた。


だが家族を持ち第一線から退き、戦場での依頼は弟のミナへ任せ、村の指揮を主に出していた。

「ナギ殿、本日もお疲れさまでした」

「あぁお疲れ様。お前もゆっくり休め。そういえば食料の方はどうだ? 蓄えはあるのか?」

「はい。以前ナギ殿に頂きまだ十分に生活できそうです」

「そうか、また困ったら言ってくるといい。家族が大変な状況で助け合うのは当然だからな」

「ありがとうございます」

長としても慕われ尊敬されるナギも家に帰れば父として、役目を全うしていた。


「父さん! 母さん! あと一か月後には俺も一人前の八雲流後継者なんだ ちゃんと大人として扱ってくれよ」

外にまで声が響くようにして話すのは幼き日のタケミであった。


「ははは、何言ってんだ。儀式は形だけだ。お前はまだまだ子供だ。」

「ぬぅうう 母さんも父さんに何か言ってくれよ」

はやく一人前と認めてほしいタケミに母が

「それじゃ、タケミは大人だから、食後のデザートは抜きだねぇ」

「えぇええ⁉」

すると双子の弟ノオが

「僕はまだ子供だからお兄の分も食べる!」

「何言ってんだ、俺のだ…俺も子供でいいいい‼」


ははっはと笑い声が賑やかな家族だった。


父の仕事が休みの時はタケミとノオは父に稽古をつけられ八雲流後継者として育てられた。

「タケミ・ノオ、お前たち二人には過酷かもしれんが、この村の命が乗っかっていると思って刀を振れ。もし長が死ねばどうなる? まずは自分で考え己で答えを出してみろ」

「でも父さん、答えが間違っていたらどうするの?」

ノオが聞く。


「ほら、今のも自分で答えを出すべきだ」

と言い頭を掻きながら父は

「まぁそういう時はな、家族や友達、自分の大切の人の支えがあって出せるものなんだ」


「えぇぇズルい‼」

「まぁお前たちは人生、何事においても経験不足だなハハハハハ」

タケミが

「強かったら大丈夫じゃないの? それで皆を助けられる」


「タケミ…それは正解であって正解じゃないんだよ」

「どういうこと? 八雲流を極めれば最強になれるんじゃないの?」

「強さに、力は必要ないんだよ、力は人を守る手段であってその選択が一つだけじゃない」

「ぬぅううわかんない」

「今は分からなくていい。とりあえず人を助け身近な仲間を大切にしろ」


その言葉の意味を、当時のタケミにはよく分からなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ