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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
二章 【ロクサス】編
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第2-8話 森の獣ジバウルフ

絨毯ごと、三人は吹き飛び木や地面にぶつかる。

木や地面にぶつかり勢いが落ち、透明フレームのコーティングで覆われていた魔法が割れて三人は外へ投げ出された。


「ッ…」

カルナは木にもたれかかる様に目が覚めた。


(ッ痛…意識が何分か何秒か飛んでいたか?)

そんな事を考えていたら前から巨大な何かが突っ込む。

「―――ッ⁉」

カルナが横に飛び込むように転がり回避する。


急いで体制を立て直し自分がいた元居た方へ振り向くと木はなぎ倒され地面がえぐれていた。


そこにいたのは狼だ。

ただ元居た世界の狼とは大きさからして違う。

異様な大きさの白い狼だ。

だが違うのは大きさだけではなく毛が甲羅のようになっており、口はアリクイのように長く、手足は筋肉質なのに細く、目の瞳は深くどす黒く暗い。


何より人間でいうと子供とボディビルダーチャンピオンとの差ぐらい筋肉の質が違う。


「おいおい、薬でもやってんのかよ」

カルナに再度突っ込んでくる狼を背にして逃げようとしたが


(どうする⁉ 逃げきれない 追いつかれる 戦うか⁉ 死ぬだろ?)

「無理ッ」

ボソッとカルナの口から結論が出たが目は諦めていない。


白い狼が飛び掛かると同時に腕を振り上げカルナを薙ぎ払う。


―――『八雲/薄雲(やくも うすぐも)』―――

シュウ、という音がしたと同時に手の軌道が反れて空振りに終わる。

カルナの目の前にはタケミが刀を構えて立っていた。

「お前⁉」


タケミがカルナに

「歩けるか⁉ 雫が足を挫いたみたいなんだ。頼む! 雫を連れて先に逃げてくれ」


カルナはすぐに雫がいる場所まで走りだす。

他人から見ればタケミを置いて逃げた無責任なやつに見えるかもしれない。

だがカルナは言い訳になるかもしれないがその場所にとどまってもタケミの邪魔になると判断しタケミを置いていく選択をした。


白い狼はカルナを追いかけようとする。


だがそれをタケミが阻止する。

―――『八雲/筋雲(やくも すじぐも)』―――

狼に斬撃が入りタケミに注意が向く。


狼は大きな口を開けてタケミに襲い掛かる。


タケミはなんとか培った身のこなしや剣技でカルナと雫を逃がす時間を稼ごうとするが


(早すぎて、交すので精一杯だ、―――ッそんなに長くは持たない)


カルナは雫がうずくまっている場所までたどり着き、雫を背中に背負い場を離れようとする。


だがカルナは足を止めた。

「タケミを置いて行ってもいいのか⁉」 

とヒーローや主人公なら思うだろう。


悪に立ち向かいこの困難を打破するためにタケミと協力し行動するが、カルナが足を止めたのは別の理由だ。


『ヴゥゥゥゥゥゥ』

「…夫婦か…」


別の狼がいたのだ。


絶命的ピンチに雫を落して逃げようかとも頭によぎったが、そうしたやつからホラー映画では真っ先に死ぬのがお決まりなのを思い出してしまった。


体が動かない。


(かと言ってこいつだけ逃がしても)

「お前は先へ行け 俺がこいつを引き付ける!」――なんてカルナはかっこよく男らしく、雫を先に逃がすイメージをするが、


(多分俺は瞬殺され、走れないこいつも瞬殺される)


打破する案が思い浮かばない。


獣のよだれが滴り落ちる音が緊張感を増し空気を重くしていた。



すると

『伏せて‼ 』 

女の声が聞こえた。


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