第2-3話 まといカフェ
研修日当日の朝は、余裕をもって起きたカルナは支度をすませて、朝食を東エクスポートビルまでの道途中のカフェで過ごす。
すると先日ゆいといた女子のうちの一人を見つけた。
優雅にお茶をする姿は美術館にでも飾られていてもおかしくない程神々しい。
カルナは気飾らずとも絵になってしまう絶世の美女に話しかけた。
「あんた この前あったよな?」
「…どちら様ですか?」
まさかの忘れられていることに少しショックな表情をカルナは浮かべる。
女性は少し考えた後
「…あぁ! チルカさんとお話していた方ですね」
「チルカ?」
(あぁ あの女か)
「あの時は申し訳ございません。チルカさんも悪気があって言った訳じゃないんです。ヘタレ男子を少しいじろうとしただけですわ」
「もしかして、今、まさに俺をいじってる?」
「…」
少し分かりにくいいじり方で場を支配している彼女はティーを飲む。
「あんた ここへはよく来るのか?」
一息つき彼女は答える。
「ここは私が趣味で経営するお店ですもの、よく来ますわ」
驚いた表情を浮かべ店の名前を見る。
店の看板は、まといカフェという名前だ。
「もしかして、あんた…まといか?」
「はい、そうですわ」
彼女は笑顔を浮かべる。
最近クラウドへ来たカルナも まとい と言う名前には聞き覚えがある。
百貨店~飲食チェーン店まで幅広く手掛ける、まといというカリスマ的女性がいるとの噂が先日アイス店を案内してくれた少年に聞いたのだ。
「あ、チルカさん!」
カルナが振り向くと明らかに不機嫌そうな顔を浮かべたチルカと呼ばれる女がこっちに向かって歩いてきている。
厄介絡みになると感じ取ったカルナは急いで食べかけのパンを取り、慌てて出ていった。
カルナは急いで今日の研修場所を目指す。