第1-22話 窮地に現る
「探したぜ」
一人の男がフードを取り家の下へと降る。
ツンツンの赤髪が印象的で、頬には炎のような入れ墨を入れて、両腰には剣を三本ずつ所持している。
その数、計六本の剣を所持していた。
赤のフードを被った女子が
「エイタ なんで勝手に先走るのよ 今回のポイントは私にくれるって言ってたのに」
エイタと呼ばれる赤髪の青年が答える。
「だいじょーーぶ! 夏鈴、ポイントはやるよ! けどこいつは俺に任せとけ」
その人物はシスターの方へ歩き出す。
この男はかつて王都にはびこる、ドルドと言われるドラゴンの群れを討伐した英雄なのである。
その右や左の腰に所持している計六本の剣には特徴があり、戦況により特徴を使い分けている。
中でも、『ゼロ』という剣が、名の通った名剣で、エイタは窮地の時にしか使用しない。
使えば彼の前に立っているモノは、元の形を保ってない。
世界屈指の名刀だ。
そのエイタに付き従うのは、先ほどエイタと話していた夏鈴や魔法・格闘センスがずば抜けている個性豊かな仲間達の八人だ。
エイタは剣を抜き構える。
「―――この街へ来て二週間もブラブラ探し回って体がなまってんだ」
シスターもエイタが構えたことにより戦闘態勢に入る。
「さぁ ――いくぜ!」
八人はいつもの依頼となんら変わりないエイタの戦いを見守る。
その頃、カルナとゆいの二人は道も知らない住宅街を潜り抜け、人通りが多い市場へ入り駆け抜ける。
後ろを振り返って追ってを確認するが、まだ盗賊は追ってくる。
彼らの方が、地の利があり、徐々に距離を詰めてくる。
「っち――しつけぇな」
焦りが二人の精神を追い詰める
カルナは(もう殺るしかない)――と思ったが
人混みの中からカルナの手が引っ張られる。
「こっち‼」
いきなり手を掴まれたカルナは、女の子に手を引っ張られるがまま、入り組んだ道を進んで行く。
カルナは(新手の盗賊か?)と思ったがそうではないみたいだ。
三人は進んだ先にあった小さな喫茶店に入り、身を隠した。
「よかった~」
とゆいはホッとする。
「なんとか撒けたみたいだね」
カルナを引っ張った女の子の容姿が、日本だと曲がり角でぶつかり口に咥えていた食パンを落として、なんだかんだイベント発生的な出会いが、何回か発展しそうなロングツインテールで学生服が特徴の印象的な女の子だ。
「――また次から次へと… お前誰だ?」
「ちょっとカルナ! そんな言い方やめてよ」
「あぁ?」
「この子が助けてくれて私達助かったのに!」
「元はといえば、お前のせいだろうが」
二人の会話を聞いて女の子が仲裁に入る。
「あは…二人共喧嘩はやめてね」
ゆいは――ハッ――として
「ごめんなさい! 私ゆいって言います。お礼が遅れました。助けてくれてありがとうございます」
「ゆいちゃんね。あと…カルナくん? ――私はマリルって言います!」
マリルは二人を眺めながら新たに質問する。
「君たちはどこから来たの?」
ゆいがフレイに説明したように、また長々と喫茶店のお茶を優雅に飲みながら説明し始めた。