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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-21話 新たな街での遭遇


二人は、フレイに言われた通りしばらく進むと街へたどり着いた。


てっきり田舎の町程だと思っていた二人だったが、中心街にはビルが立ち並んでおり二人が想像していたよりも都会だったようだ。

少し外れると変わった外国風の色々な住居用の建物が立ち並ぶ。


一貫性はなく好き放題に建てたのだろう。

街の外れの方ではアラビア風の中東様式の建築物が立ち並ぶ。

「すげぇな… もっとチープなもんかと思ってたが」

「カルナ、何想像してたのよ。ここ田舎じゃないんだから」


市場が幅広く展開されている。

果物や肉だけではなく魚介等も並んでいる。


そんな食材を見てカルナが

「腹が減ったな」

「そうだね、私のバッグ… こうへー君が持ってったから」

「お前が持たしてたんだろぉが」

「うるさいな… なんでいつもそんな喧嘩腰なの」


いつもの二人の会話を他所に、こんな賑やかな都市でも暴力事件~殺人事件までが横行している。

なかでも最近は、若い女性の変死事件の話が巷で話題だ。


そんな話がちらほら聞こえてくるので、ゆいは少し心配する。


仲の悪い二人が市場を進んでいると、女性が声を掛けてきた。

客引きかと思ったが、何やらそうでもないみたいだ。


「あの…お困りでシたら宿をお貸シシまス」


シスターのような服装で、少し変なカタコト言葉で話しかけてくる女性に対し、カルナは怪しさ全開の臭いに気付くがゆいは

「――え。いいんですか? 長旅で私達とても困っていて」

「はい… 近頃はぶっソうですので。ソんな困っている方々に、わたシ達は手をサシのべまス」


フレイの件もあってか、ゆいはあまり人を疑わない。

もしくはそれが彼女の性格なのだろう。

「では宿までご案内致シまス」


そういうとシスタ―風の女性に続き案内されるがまま二人は歩く。


「――こちラデす」

宿というより廃墟に近い今にも壊れそうな家がある。


二人はシスターに続き、恐る恐る中へ入ると想像通りお化けでも出そうな雰囲気だ。


だが出てきたのはお化けではなく人。

しかも数人で、見覚えのあるターバンにアラビア風の服装の男達だ。


ゆいが気づく。

「この人たち…砂漠の‼」


シスターが大きく笑う。

「――きゃきゃきゃきゃ――人生の死游着天でス‼」


BAANNNG‼ と銃声が鳴る。


「――ほらな あんまり人を信じすぎるとこうなるんだよクソアマ」

カルナが引き金を引き、シスターの頭を撃ち抜く。


なんの躊躇いもなく頭を撃ち抜けたのは、怪しさ全開のシスターと出会った時からこうなることを予測していたからだ。


命の危険を覚悟していたカルナだからこそ、ためらいなくすぐに判断が出来た。


シスターが痙攣し始め、体が下から上にかけて波打つように動きだし、上体が起き上がる。


「―――kyakyakyakyakyakya kyakyakyakyakyaky kyakyakyakyakyakya a――――」


シスターの気味の悪い笑い声が、その場の不気味さを引き立たせる。


「…逃げるぞ」

「無理だよ… 逃げられない…」


「……」

カルナは辺りを見渡す。

「――お前の能力で天井にある飾り梁を落とせ」

「え? そんなこと急に言われても」

「やらなきゃ二人共死ぬだけだ」


ゆいは壊れかけて落ちそうな梁に目をやってイメージする。

もう一人の自由な透明の自分を。


「――落としたらすぐに出口へ走れ‼――」

カルナの銃が呼びかけに応答するように機械音声が流れる。『拡散出力』


梁が落ちた瞬間、カルナは風の弾丸をぶっ放す。

――DONNN‼

落ちてきた梁が吹っ飛びシスターに激突する。


風圧はそれだけでは収まらず、建物にまで衝撃がいき渡り崩れ落ちる。

元々が違法建築なのかと疑うくらい建物の強度が脆い。


ゆいはギリギリ外へ脱出し、カルナは反動で入り口の外まで吹っ飛び、なんとか建物の下敷きにならずに済んだ。


以前は反動など思いもよらず、後方へ吹っ飛んだので受け身を取る暇がなかった。


だが今回は二回目で何とか受け身を取ることには成功したが、体にダメージや疲労が蓄積する。


外で何人か待ち受けていた盗賊達は建物が崩れるのに意識が向き、呆気に取られていた。

カルナは外に出ていたゆいを引っ張り起こしてすぐに走り出す。


「はッ…お前ラ‼ 待テ‼」

走り去る二人に盗賊たちは気づき追いかける。



カルナとゆいの二人を盗賊たちが追いかけて行った後に、崩れた瓦礫の中からシスターが這い出てきた。


シスターは目線を少し上にあげる。


周辺の住宅の屋根には、赤のフード付きのマントを頭から被った謎の集団により、辺りを囲まれていた。


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