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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
22/163

第1-20話 砂漠の旅 ⑩


カルナは警戒し、様子を伺うが、ゆいが答える。

「私たち… 上から落ちて道に迷って… もし出口とか知っていれば教えて頂けませんか⁉」


明かりが差し込み、周りの光の輝きが増し、彼の姿が見える。


金色の髪に青色の瞳、白いコートのような服装に身を纏った青年だ。

まるでハリウッドスターかというくらいのオーラを発している。

腰には、如何にも貴族の伝統が詰まっていそうな剣が携えられている。


金髪の青年は

「そうでしたか。――この辺はとても危険なので、僕が出口まで案内しますよ」

今にも倒れそうな二人に、彼は水と食料を渡して休息を少し取るよう促した。


その間彼は仕事をしてくると言い、少し場を離れた。


それからしばらくして、青年が戻ってくると二人に声をかけた。

「――お待たせしました。もう動けそうですか?」

「はい 準備万端です!」

「わかりました。では、僭越ながら出口まで私がご案内させて頂きます」


青年はゆっくりと先導して歩き出す。

「こっちです」


しばらく進むとゆいが道案内をしてくれる青年に尋ねる。

「あの… ありがとうございます‼ 私ゆいって言います。あなたのお名前は?」

「――申し遅れました。僕の名前はフレイ・リングです」


まるで芸名かと問うくらいカッコいい名前だが、名前負けしていない顔立ちなので許されるのだろう。

まだ余っていた食料を頬張りながらゆいは

「フレイさんはなぜこんなところに?」


「僕は、ここでしか取れない貴重な宝石を探しに仕事で来ています」


「トレジャーハンターですか⁉ 凄いお仕事ですね」


「はは、ありがとうございます」

他愛無い二人の会話をカルナは横で聞いて疑問に思った。

(仕事が宝石探し? なら剣はなんだ?)


カルナの視線でフレイは疑問を察したのか

「この辺りは凶暴な魔獣が多く、僕は護身用に剣を持っています」


カルナに向けて微笑むフレイを見て、カルナは嫌な奴の顔を思い出す。


「ここはとても複雑で普通の人が入れば、二度と出られない魔のラビリンスとして、この付近の方も近寄らない場所です」

「――えっ…そうなんですか⁉ フレイさんは大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。ここの抜け道を知っているのは僕とほんのわずかな人くらいで。――僕は何回も来ているので」

「そうなんですね! 本当にフレイさんに出会えてよかった」

「そう言ってもらえると嬉しいです」


進みながらゆいはフレイにここまでの道のりの説明をする。

フレイはゆいの話を信じたのか信じていないのか、すんなり話を飲み込んだ。


「――でも、まさかこんなところで人と出会うとは思いませんでした」


「私もです! こんなにイケメンで優しい方に出会えるなんて、私の横の人に垢を煎じて飲ませてあげたいくらいです!」


何故か脳震盪や体の痛みも治まり元気になったゆいにカルナが

「――うるせぇビッチが」

「フレイさん! 案内は私だけでいいです! この人は置いて行きましょ⁉」

冗談を笑顔で流すフレイだが、ゆいは冗談ではなく本気で言っている。


クネクネと道が曲がり何本も枝分かれしている道を進んでいく。


―――しばらく歩くと出口に到着する。


するとフレイから、ゆいとカルナにあるものを差し出す。


「よければ君たちにこれを――」

それはフレイが先ほどラビリンスで集めた宝石だ。


何個か袋に入れ、ゆいとカルナに渡す。

「――え⁉ これ大事なモノなんじゃないんですか⁉」


フレイは話す。

「きっとこれから先、役に立つときが来ると思います。大事に持っておいてください」

「本当にいいんですか?」

ニコッと微笑むフレイから、プレゼントをゆいとカルナは受け取る。


ゆいはフレイに

「本当に何から何までありがとうございます! フレイさん」


お礼を言い、カルナは近くの街への行き方を尋ねる。


「街へは、この出口の方向を真っすぐ行くと到着します。魔獣やモンスターもいないので安心して進んで大丈夫ですよ」


フレイはニコッと微笑み二人を見送った後またラビリンスへと入って行った。



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